仕事に求める要素や価値観は、各世代を生きる人たちに応じて異なります。近年は、いわゆるZ世代にあてはまる新卒者も増えており、Z世代の採用活動を効率的に進めていくには、特徴や企業に求める要素を把握しておくことが大切です。
本記事では、Z世代の特徴や重視する働き方などを解説します。
Z世代の離職理由や採用活動で気をつけたいポイントも併せて解説するので、Z世代の採用で課題を抱える企業の担当者はぜひ最後までお読みください。
Z世代とは
まずはZ世代がどの世代を指すのか、なぜ注目されるようになったのかを解説します。
1990年代半ば〜2000年代に生まれた世代のこと
一般的にZ世代とは、1990年代半ばから2000年代に生まれた世代のことを指します。2023年現時点では、10代中頃~27歳前後がZ世代に該当します。
アメリカをはじめ世界各国では「ジェネレーションZ」と呼ばれている世代です。
Z世代は生まれたときからインターネットや電子機器に囲まれていたため、「デジタルネイティブ世代」と呼ばれることもあります。
インターネットを使用する機会が多く、世界のさまざまな考え方に触れており、個人の価値観を大切にする傾向にあります。
Z世代が注目されるようになった背景
近年は、人口に占めるZ世代の割合が世界的に増えています。Z世代に注目が集まっている理由は、人口の割合が多く社会への影響力が大きいからです。
インターネットに触れる機会が多いZ世代は、情報リテラシーが高いことが特徴です。従来の世代に比べて多様な価値観を持ち合わせているため、マーケティングや人材市場などのビジネスシーンでは欠かせない存在になっています。
また、少子高齢化が進む日本では、労働者不足が課題のひとつです。2030年には生産年齢人口不足が深刻化し、多くの業界が労働者不足に陥ることが危惧されています。
Z世代は終身雇用に固執せず、転職への抵抗が少ない傾向にあります。転職が珍しくなくなった現在では中途採用の比率も増えており、企業はZ世代の人材を確保する対策が必要でしょう。
Z世代と他世代との違い
年代の区切りにはZ世代のほかに、X世代・Y世代・α(アルファ)世代があります。各世代は、生まれたときの時代背景やそれに起因する価値観などが異なります。
- X世代 :1965年~1980年代前半
- Y世代(ミレニアル世代):1980年半ば~1990年代半ば
- Z世代 :1990年代半ば~2000年代
- α(アルファ)世代 :2010年代前半~2020年以降
各世代の特徴を解説します。
X世代
X世代は、1965年~1980年代前半に生まれた世代のことです。2023年時点では、40代前半から50代後半くらいの人が該当します。
X世代が生まれたのは、第二次世界大戦後に起こった人口の増加後です。いわゆる団塊世代が高齢者になったときの社会問題の影響を直接受けるため「団塊世代ジュニア」と呼ばれることもあります。
X世代はバブル崩壊や就職氷河期などのさまざまな変化に直面した経験を持っており、適応力が高いことが特徴です。
また、X世代が子供のころの情報源はテレビや新聞がメインで、成人してからインターネットに触れ始めた人が多いことから「デジタルイミグラント」と呼ばれることもあります。デジタルイミグラントとはアナログ環境に生まれ、成長とともにデジタル環境に慣れてきた世代です。生産年齢人口の多くを占めており、経済力があり、消費活動の中心を担っているという特徴もあります。
Y世代(ミレニアル世代)
Y世代は、1980年半ば~1990年代半ばに生まれた世代です。社会進出した時期がいわゆるミレニアム・イヤー(2000年)以降になるため、「ミレニアル世代」と呼ばれることもあります。
2023年時点では、20代後半から40代前半くらいの人が該当します。Y世代はパソコンや携帯、インターネットの普及とともに成長しているため、「デジタルパイオニア」とも呼ばれ、デジタルテクノロジーを駆使している人が多いのが特徴です。
インターネットを通してさまざまな人と触れ合い、自分と異なる価値観を持つ人を尊重する傾向にあります。また、バブル崩壊やリーマンショックなどの不況を経験しており、物への執着心や購買意欲が強いとされる世代です。
α(アルファ)世代
α(アルファ)世代は、2010年代前半~2020年以降に生まれた世代を指します。Zに続くアルファベットがないため、ギリシャ文字で1番目を指す「α(アルファ)」が使用されています。
2023年時点では、0歳~10代前半くらいの人が該当します。生まれたときからスマホやタブレットなどの使用環境が整っており、デジタルネイティブであるZ世代よりもさらにITが発展した世代です。
Y世代の子供の世代にあたることから、多様な価値観を受け入れることに抵抗がない人が多いようです。まだ成人していないα世代が、将来的にどのような価値観を持つのかが注目されています。
Z世代の5つの特徴
Z世代の採用活動を効率的に進めるには、世代の特徴を把握しておくことが大切です。ここからは、Z世代の特徴を解説します。
情報リテラシーが高い
Z世代は、生まれたときからインターネットや電子機器が身近にあった世代です。日々の連絡もインターネットを介するのが当然だったため、情報の検索や収集もスムーズに行える人が多くいます。
また、TwitterやInstagram、LINEなどのSNSにも慣れており、目的に合わせて使い分けるスキルも身につけています。インターネットで自分の意見や価値観を発信することに抵抗がない人が多いのも特徴です。
「タイムパフォーマンス(タイパ)」を重視する
Z世代のひとつ前の世代であるY世代、いわゆる「ゆとり世代」は、コストパフォーマンス(費用対効果)を重視する傾向にありました。
しかし、Z世代には、コストパフォーマンスよりもタイムパフォーマンス(時間対効果)に価値を感じる人が増えています。
これは急速なデジタルツール・IT技術の進化によって、一つひとつの情報にかけられる時間が短くなったことがおもな理由でしょう。
インターネットを中心に情報が身の回りにあふれている環境で生まれ育ったZ世代がタイパを重視するのは、自然な流れだと考えられます。
社会問題への意識が高い
近年は、テレビ離れや新聞離れが叫ばれるようになりました。これはインターネットが普及し、テレビや新聞以外で情報を得られるようになったのが一因です。Z世代は、インターネットやSNSを通じてリアルタイムで世界の情報を知る機会が多い世代です。
世界で起こっている状況を即時に把握できるため、環境問題や貧困問題などに対して関心が高い傾向にあります。
特に近年は環境問題の課題解決に向けて、持続可能な社会が求められています。商品を購入する際には環境に配慮されたものを選ぶなど、個人でアクションを起こす人もいるようです。就職先を選ぶときにも、社会問題に積極的に取り組んでいるかが重要な要素になっています。
多様性を尊重する
Z世代はインターネットやSNSを通じてさまざまな情報に触れ、自分とは異なる価値観を持っている人が多いことを知っている世代です。教育の場でも自分と異なる価値観でも認め合い、尊重する姿勢が大事であることを学んでいます。
そのため、Z世代は多様な考え方や価値観を大切にし、自分と異なる人種やジェンダーを持った人を受け入れる傾向にあります。
現実主義者が多い
Z世代は不景気な時代とともに成長しており、親世代の経済的な困窮を経験した人も少なくありません。日本経済の将来性に対する期待値が低く、現実主義者が多い傾向にあります。
2011年の東日本大震災や2020年の新型コロナウイルス感染症流行を目の当たりにしているZ世代は、仕事やキャリアに関してもやや保守的です。
経済面においても慎重で、雇用の安定性を重視する傾向にあり、無駄遣いや衝動買いを控え、コスパを重視したり節約したりする人も多いようです。
Z世代が求める働き方
Z世代は、他の世代とは異なる働き方を求めています。Z世代の採用活動をする際には求める働き方を把握し、企業側が柔軟に対応できるかがポイントになります。
ワーク・ライフ・バランスを重視する
Z世代は仕事とプライベートの両方を楽しもうとする傾向にあります。
ワーク・ライフ・バランスを重視するため、就職先を選ぶ際には自分のライフステージが変化しても快適に働ける労働環境であるのかを重視する傾向にあるようです。例えば男女ともに育休取得率が高い企業は強みになることでしょう。
柔軟な働き方を求める傾向にある
Z世代は時間や場所に縛られる働き方を望まない傾向にあります。
就職する際には、リモートワークやフレックスタイム制などの働き方を自由に選べる労働環境を求める人が多いようです。
Z世代の採用活動を成功させるには、自社がどのような働き方を提供できるかがポイントになります。
パラレルキャリアへの関心が高い
Z世代は、パラレルキャリアへの関心が高い傾向にあります。パラレルキャリアとは、本業を持ちながら別の分野でもキャリアを築くことです。
パラレルキャリアは「収入を得ること」を目的とする副業と異なり、「第二の活動でキャリア形成すること」が目的です。
第二の活動は、収入を得られる仕事に限らず、無償で行う社会貢献活動も含まれています。副業禁止の企業は、許可できる体制を整備するのもよいでしょう。
Z世代の主な離職理由
Re就活が20代・転職を希望する社会人にとったアンケートによると、「給与・年収をアップさせたい」「もっとやりがい・達成感のある仕事がしたい」といった理由が多いことがわかりました。
転職しようと思った理由 |
ヤングキャリア層(就業経験3年以上) |
第二新卒(就業経験3年未満) |
給与・年収をアップさせたい | 55.5% | 43.6% |
もっとやりがい・達成感のある仕事がしたい | 39.4% | 40.5% |
残業を減らしたい、休日を確保したい | 23.4% | 28.2% |
より会社の風土や考え方が合う企業で働きたい | 20.2% | 22.9% |
自身の市場価値を高めたい、スキルアップしたい | 16.1% | 12.8% |
もっと頑張りが評価される環境で働きたい | 14.2% | 6.2% |
希望の勤務地で働きたい | 10.6% | 11.9% |
業界の先行きに不安があった | 9.2% | 7.9% |
幅広い経験・知識を積みたい | 8.7% | 8.4% |
専門知識・技術を習得したい | 8.3% | 9.3% |
テレワーク可の企業で働きたい | 7.8% | 7.0% |
ライフステージの変化によるため | 7.3% | 2.6% |
他にやりたい仕事ができた | 6.9% | 18.1% |
感染症対策などの対応に不満や不安があった | 2.8% | 2.2% |
倒産・リストラ等やむを得ない理由で | 2.3% |
2.6% |
U・Iターンしたい | 1.4% | 2.6% |
その他 | 3.2% | 7.5% |
※出典元:20代の仕事観・転職意識に関するアンケート調査(転職理由)2022年7月版(Re就活)(https://service.gakujo.ne.jp/jinji-library/report/220722/)
情報リテラシ―の高いZ世代はインターネットを使い、自身をより評価してくれる・よりよい環境で働ける職場を日々探しています。選択肢が豊富にあるため、転職理由も前向きなのが特徴です。
Z世代への採用活動で気をつけたいポイント
Z世代の採用活動を成功に導くには、企業側がZ世代の求める働き方に対応していることをアピールするようにしましょう。
Z世代に魅力的に伝わる企業風土か吟味する
Z世代は、一人ひとりの価値観を尊重している企業を求める傾向にあります。教育現場でもお互いの価値観を認め合い、誰もが平等であると学んでいるため、属性による待遇差がないことを重視します。
たとえば多様な人種を採用しているか、男性も育児休暇を取りやすい環境かなどです。企業がダイバーシティに取り組んでいるなら、それをアピールすることでZ世代に魅力が伝わりやすくなります。
企業の情報をオープンにする機会を積極的に設ける
Z世代の採用活動をする際には、企業と求職者が直接コミュニケーションをとれる機会を設けることが大切です。
会社見学や社員とディスカッションできる機会があれば、社内の雰囲気が伝わるため、不安の解消につながるでしょう。
対話する際には求職者の話に耳を傾け、意見を述べやすい環境作りを心がけます。
SNSマーケティングを活用する
Z世代は、TwitterやInstagramなどのSNSを中心に情報収集をしています。就職活動も同様で、企業の公式アカウントから発信される情報を重視しています。そのため、Z世代の採用活動をする際には、SNSを駆使して積極的に情報発信していくことが大切です。
SNSに社内の雰囲気や社員が働く様子などを投稿すると、実際に自分が働く状況をイメージしやすくなります。また、静止画だけでなく、動画コンテンツで自社の魅力を伝える方法もあります。
SNSを使った採用活動を検討しているなら、「あさがくナビコミュニケーター」がおすすめです。あさがくナビコミュニケーターは、Z世代が慣れ親しんでいるLINEを使って求職者にアプローチできます。応募者管理やリマインド配信もすべて自動化できるため、採用活動の工数を削減できます。
Z世代の受け入れ体制を整備して採用活動を成功させよう
Z世代は、従来の世代に比べて自由な働き方を求める世代です。
Z世代の採用活動を成功させるために、オフィスに出社する以外の働き方を推奨するのも一つです。リモートワークやハイブリッドワークの導入を検討してみましょう。
また、優秀な人材を確保し、より長く働いてもらうには、働き方だけでなく副業や各種休暇などの制度も見直す必要があります。
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