カジュアル面談は、企業の担当者と求職者がリラックスした対等な雰囲気のなかで行う面談です。一般的な選考面接とは異なり、合否を評価するものではありません。
本記事では、カジュアル面談の具体的な内容や導入するメリット、カジュアル面談の進め方や必要な準備について詳しく解説します。
カジュアル面談を行う際に知っておきたい注意点や成功させるためのポイントも紹介するので、ぜひ導入時の参考にしてください。
カジュアル面談とは
カジュアル面談とは、企業と求職者が気軽にお互いのことを知れる場です。求職者が求人に応募するかどうかがまだ確定していない段階で行われる面談で、対面またはオンラインで実施されます。
カジュアル面談は、双方がリラックスした雰囲気のなかで行われます。そのため、企業側は自社の魅力やどのような人材を必要としているのかといった情報をリラックスした雰囲気のなかで受け取ってもらうことができるでしょう。
求職者側も、採用面接では合否への影響を気にして聞けないようなことや職場の雰囲気、面接前に気になることなどを質問し、疑問を解消してから応募に進むことができます。
一般的な採用面接との違い
カジュアル面談では、企業側が合否を判断しません。求人への応募に関係なく設定できる面談機会であることが、採用面接との大きな違いです。
またカジュアル面談は、社内やカフェといったオフライン形式やビデオ通話ツールを用いたオンライン形式など、求職者のニーズに合わせて行われます。履歴書など応募書類の提出や、スーツなど服装の指定がないケースがほとんどです。
採用面接は応募してきた人を企業側が評価する場ですが、カジュアル面談は直接意見交換をしながら、お互いのことを知るための場です。
カジュアル面談を導入するメリット
企業がカジュアル面談を導入することで得られるメリットは、おもに次の3つです。
- 求職者・新卒者との接点を増やせる
- 採用面接への応募につながる
- ミスマッチを防ぐことができる
それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。
求職者・新卒者との接点を増やせる
カジュアル面談は一般的な採用面接と異なり、相手が「応募する」「応募しない」に関わらず設定できます。そのため、求職者や新卒者との接点を増やし、企業のことを知ってもらう機会を広げられます。
企業や扱っている商品・サービスの認知度を上げるとともに、さまざまな経歴を持つ人とつながっておくことで、会社に必要な人材を集めやすくなるメリットがあります。
採用面接への応募につながる
カジュアル面談で企業のことを知り、求職者が魅力を感じた場合は、将来的に採用面接に応募してもらえる可能性があります。
また、カジュアル面談で新卒者や求職者と接点が増えれば、求職者同士の情報交換の場で話題に上がり、ほかの方が企業に興味を持ってくれることも考えられます。
応募者数が増えれば、そのなかから優秀な人材を採用できたり、より精度の高い採用活動ができる可能性が高まるでしょう。
ミスマッチを防ぐことができる
カジュアル面談を実施することで、お互いをよく知ってから採用判断や応募の判断ができることも大きなメリットです。
新入社員が早期離職してしまう原因の一つに「入社後のミスマッチ」があげられます。
一般的な採用面接では、求職者は合否を評価される立場となるため、気軽に質問や気になっていることの相談がしにくい環境です。その結果、入社して実際に働いてみたら会社の風土や方針に合わず、働きづらくなって早期退職につながってしまうケースもあります。
一方、カジュアル面談ではお互いにリラックスした状況で相互理解を深められるため、入社後のミスマッチを低減させることができます。
カジュアル面談を進めるときの流れ
実際にカジュアル面談を進める際の流れの一例をご紹介します。
- アイスブレイクで緊張を和らげる
- 自己紹介
- カジュアル面談の目的を確認
- 求職者の状態やニーズを確認
- 状態やニーズに合った企業紹介
- 求職者からの質問
- 次の選考を案内する
まずは求職者の緊張を和らげるために、アイスブレイクとして雑談をするのが効果的です。このとき「いかにリラックスした雰囲気を作れるか」がその後の面談の質に影響します。
アイスブレイクの後は、お互いに自己紹介をして、カジュアル面談の目的を確認します。「合否には関係のない、企業のことを知ってもらうための面談」であることを説明して、求職者の不安を取り除いておくことも大切です。
次に、求職者の現状やニーズなどを質問によって引き出します。面談に参加しようと思ったきっかけや企業に対するイメージ、新卒採用なら就職活動の軸や、中途採用なら転職の動機などを聞いてみると良いでしょう。
求職者の考えや価値観、就職や転職活動の軸、求める働き方などが分かったら、それに合わせた企業紹介を行います。求職者が興味関心を持ちそうなことや知りたいと考えていそうなことを説明できると良いでしょう。質問事項がないか確認し、質問があれば丁寧に解説します。
最後は、次のステップとなる選考の案内です。次のステップへは強制ではなく誘導というスタンスを取ります。「ぜひ応募してほしい」と感じた求職者には、選考のステップをいくつか免除するなど特別な選考フローを案内するのも良いでしょう。優秀な人材の早期獲得が期待できます。
カジュアル面談に必要な準備
カジュアル面談を行う際に必要な準備は次のとおりです。
- 資料を作成する
- 応募者の情報に目を通しておく
- 質問事項を整理しておく
それぞれの準備を詳しく見ていきましょう。
資料を作成する
まずは求職者へわたす資料を作成します。企業の行動指針や経営方針、目指すビジネスモデルなど、企業への理解を深めてもらう資料を作成し、面談前に送付しておきましょう。
また、同時に企業情報を公開しているホームページの情報を送っておくのも一つの方法です。資料では分からない部分の話ができれば面談の質が高まり、相互理解も深まります。
メールで資料を送る際には、面談担当者の簡単なプロフィールも添えておけば、求職者の緊張を和らげるのに役立つでしょう。
応募者の情報に目を通しておく
面談に臨む前に、しっかりと応募者のプロフィールを読み込んでおきましょう。応募者のプロフィールを事前に読み込んでおけば、自社でどのような活躍の仕方ができるか具体的に伝えられます。
また、応募者のプロフィールや情報が分かれば、どのような人物でどのようなことに興味関心を持っているかがある程度想定できます。ある程度想定できた内容をもとに面談の進め方や説明を用意しておけば、面談をスムーズに進められるでしょう。
質問事項を整理しておく
面談が終わったあとに「しっかり聞いておけば良かった」「これを聞きそびれていた」ということにならないよう、応募者に聞きたいことをリスト化してまとめておくことも大切です。必要な質問事項の聞き忘れを防げます。
中途採用の場合は転職の理由、新卒採用の場合は就職活動の状況なども聞いておきましょう。採用面接では本音ベースの話が引き出しにくいような質問は、カジュアル面談で聞いてみるのがおすすめです。
カジュアル面談を成功させる3つのポイント
カジュアル面談を成功させるためには次の3つのポイントをおさえておくことが大切です。
- 他社にはない自社の魅力を伝える
- スーツ以外の服装を指定する
- 次の選考はその場で伝える
それぞれのポイントを詳しく解説します。
他社にはない自社の魅力を伝える
自社の魅力を伝えるときは、事実だけではなく具体的なエピソードを話すと良いでしょう。求職者に企業への関心を持ってもらうためには、できるだけさまざまな角度から魅力をアピールすることが大切です。
特に次の5点を盛り込めば、自社の魅力がより伝わりやすくなります。
- 仕事内容:どのような部分にやりがいを感じやすいか
- 事業内容:社会に対してどのような役に立っている企業なのか
- 社員:どのような想いで働いている社員がいるのか
- 風土・文化:自社が大切に考えていることは何か
- 制度:どのような思いでどのような制度が作られているか
これらを説明する際は、資料やホームページからも分かるような説明ではなく、実際のエピソードや現場の話を交えて具体例で伝えるのが効果的です。
スーツ以外の服装を指定する
カジュアル面談では、求職者が緊張してしまうと本音を引き出せない可能性があります。採用面接のような雰囲気にならないよう、スーツ以外の服装を指定しましょう。
ただし、短パンにサンダルといったラフ過ぎる恰好だとかえって緩みすぎてしまう可能性があるので、極端な服装になってしまわないよう「オフィスカジュアルな服装」などと指定しておくのがおすすめです。
次の選考はその場で伝える
面談を通して「この人を採用したい」「選考に進んでもらいたい」と感じた場合は、
次のステップとなる選考フローをなるべく早い段階で伝えましょう。求職者が企業に対して関心が高まっているタイミングで誘えば、選考への参加率が高まり、求職者の志望度も上がりやすくなります。
もしも相手が他社選考に進んでいる状況であれば、書類選考の免除や一次面接の免除するといった特別な選考フローを案内するのも良いでしょう。
また、求職者に「誰にでも言っているのだろう」「人手不足な会社なのかもしれない」と思われてしまう可能性があるため、選考への参加を案内するときは、「なぜ選考に来てほしいと思ったのか」「自社とマッチしていると感じた点」などをしっかり伝えて案内します。
カジュアル面談で質問すべきこと
カジュアル面談で質問すべきことは次の3つです。
- 就職活動の状況について
- 実績やスキルについて
- 自社について
それぞれの質問内容を解説します。
就職活動の状況について
就職や転職を本気で考えているのか、それとも興味本位で参加してみたのかなどをヒアリングしておくと良いでしょう。求職者の熱量や興味を把握し、それに合わせて話すことで求職者の満足度が高い面談ができます。
また、検討している、興味を持っている業界や企業を確認しておけば、ほかの業界や競合他社に負けない自社の魅力を説明できるでしょう。
加えて、すでに選考に進んでいる採用競合がないかも把握しておけば、他社選考の進捗に合わせて選考フロー戦略を考えることができるため、優秀な人材の早期獲得につながります。
実績やスキルについて
実績や取得しているスキルも確認しておくと良いでしょう。仕事内容を説明するタイミングで聞けば、スムーズに聞き出しやすくなります。
また、これまでの実績や経歴は、自己紹介のあとに確認をするような形で質問すると良いでしょう。「実績や経歴を聞かせてください」と言うと採用面接のような雰囲気になってしまうため、あくまでもプロフィールの確認をしているだけといった様子で進めます。
これまでの仕事で最もやりがいを感じた瞬間や苦労した話などを聞けば、選考のような雰囲気を出すことなく求職者の実績や考え方、価値観などを引き出せます。
自社について
求職者が自社に対して「どのようなイメージを持っているか」「このカジュアル面談でどのようなことを聞けると思っているか」なども確認しておきましょう。自社へのイメージが分かれば、イメージと実際のギャップを埋める説明が可能です。
求職者の期待や聞きたいと思っていたことが満たされれば、面談の満足度が上がって面談自体が盛りあがるとともに、自社への好感度や志望度も高まりやすくなります。
また、「なぜ自社のカジュアル面談に応じてくれたのか」参加の動機も聞いておきましょう。参加の動機は、自社のどこへ興味を持っているのか、求職者の関心がある部分が現れやすい質問です。求職者の興味関心が分かれば、それに合わせた企業説明がしやすくなるでしょう。
カジュアル面談における2つの注意点
カジュアル面談を成功させるために、次の注意点をおさえておきましょう。
- 会話の主導権を放棄しない
- 面接の雰囲気を作らない
それぞれの注意点を詳しく解説します。
会話の主導権を放棄しない
事前に資料や案内をわたしていても、求職者が内容を把握していないケースもあるでしょう。
しかし、相手に聞きたいことを丸投げしてしてしまうと、会話が続かなくなる可能性があります。会話が続かず気まずい空気が流れてしまうと、企業に対するイメージもあまり良くない印象になってしまうかもしれません。
そのため、会話の主導権は面談担当者が持ち、「企業:求職者」が「6:4」くらいの割合で話し合えることを目指しましょう。
一方的に求職者から話を聞き出すばかりでは、求職者に企業のことを分かってもらえません。また、求職者の知りたい情報をしっかりと提供できなければ、求職者の応募意欲も下がってしまう可能性があります。
そのため、求職者の考えやニーズを聞きながら、それに合わせて求職者が求めている情報を充分に説明して伝えることが、面談を成功させるためのカギとなります。
面接の雰囲気を作らない
一般的な採用面接と同じような質問をしてしまうと、求職者が緊張してしまう可能性があります。求職者が緊張してしまうと、カジュアルな雰囲気で相互理解を深めるような対話を期待できません。
そのため、カジュアル面談では選考のような雰囲気を作らないことを心がけましょう。特に一方的に質問し続けることは避け、求職者の考えや意見、感じていることなどもどんどん話してもらうことが大切です。
緊張感を和らげるためには、企業や就職活動の話ばかりではなく、適度な雑談を入れることも効果的です。
カジュアル面談で相互理解を深めよう
カジュアル面談は選考とは異なり、リラックスした対等な雰囲気のなかでお互いに情報交換し、相互理解を深めるために行います。
本音ベースの話ができれば、求職者の志望度が上がるとともに「ぜひ来て欲しい」と思える人材を見つけられるかもしれません。
企業にとっては、就職や転職の意思が決まっていない潜在層へのアピールや、内定はもらったけれどほかにも良い企業がないか探している優秀な人材へ自社の魅力を伝えられる機会です。
さまざまな経歴を持つ求職者との接点を持ち、その後選考へ進んでもらうための積極的な人材発掘の場となるでしょう。
カジュアル面談では、一般的な選考だけでは分からないパーソナルな部分や潜在的な能力、適性などが分かりやすく、相互のギャップやミスマッチを防げるメリットがあります。
自社のカジュアル面談を成功させて、求職者に選考へ興味を持ってもらい、優秀な人材獲得へつなげましょう。
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