面接結果の電話連絡は、「応募者にぜひ会社に入社してほしい」という企業や人事担当者の思いを直接伝えられます。また電話連絡には、ほかにもさまざまなメリットがあります。しかし面接結果の電話連絡に慣れていないなど、人事担当者としてどう合否を伝えたら良いか悩んでしまう方もいるのではないでしょうか。
本記事では電話で面接結果を行う際の理由や、伝えるポイント、かける際の注意点、合格連絡後の手続きなどを解説します。また新卒や中途などのパターン別に、会話例を紹介するので、電話で結果連絡する際の参考にしてください。
面接結果を電話で伝える3つの理由
面接結果の伝え方には、大きく分けて電話、メール、郵送の3つのパターンがあります。メール連絡が主流のなか、あえて電話連絡を選択するメリットをご紹介します。
応募者に早く結果を伝えるため
電話連絡の利点の一つが、迅速性です。郵送の場合結果が届くまでに数日かかり、メールの場合は相手が確認するまでに時間がかかります。一方電話なら連絡がつきしだい結果を伝えられます。
応募者は自社だけではなく、複数社に応募していることが考えられます。自社に興味を持っていてもほかの会社からアプローチを受けていれば、「連絡がこないのでこっちの会社に決めてしまおう」と、他社に入社してしまう可能性があります。自社で採用したい人材なら、合格が決まった時点で速やかに連絡すると良いでしょう。
不採用の場合の連絡は、通常、メールや郵送を用いるケースが多いです。しかし、年末年始で長期休暇に入ってしまう場合や、面接で真摯な対応を見せてくれた応募者に対して感謝の意を示したいときは電話で不合格を連絡するケースもあります。
応募者の反応や意思を確認するため
電話連絡では直接コミュニケーションが取れるため、結果を伝えた際の応募者の反応がよりわかります。内定辞退の可能性にも気づきやすいので、悩んでいる応募者に対しても迅速な対応が取りやすいでしょう。
電話連絡した際に注視したいのは、応募者の声のトーンです。応募者の声が明るく「ぜひ入社したい」というような反応なら、自社への志望度は高めです。しかし声のトーンが低く歯切れが悪ければ、他社と迷っているか、条件面で不満がある可能性があります。「もし不安や悩みがあるなら、サポートするのでなんでも相談してください」のように声がけすると、相手も話しやすくなるでしょう。
複数社を受けている応募者や、内定辞退の可能性がある応募者には、直接コミュニケーションを図ったほうが、良好な関係を築きやすくなります。
応募者に誠意を伝えるため
一斉に結果を送れるメールや郵送と比べて、一人ひとりのために時間や手間をかけて行われる電話連絡は、応募者への誠意が伝わりやすい手法です。合格を待ち望む応募者からみれば、合否を受け取ったときの気持ちは計り知れません。人事担当者が直接伝えてくれた場合は尚更です。応募者の強みや良い点を電話でダイレクトに伝えれば、入社意欲もアップするでしょう。
また不採用連絡でも、企業側からの面接を受けてくれたことに対する感謝が応募者に伝わり、良いイメージを与えられます。ただし、一次選考のように応募者が多い段階では、人数が多いので不採用通知を電話で行うことは現実的ではありません。一次選考の結果はメールや郵送で行い、最終選考結果は電話で行うというように、状況に合わせて連絡手段を決定してください。
面接結果を電話で伝える際のポイント
電話連絡を効果的に活かすためには、いくつかポイントがあります。電話での結果連絡を成功させるポイントを3つご紹介します。
面接から1週間以内に連絡する
面接結果の連絡は面接日から一週間以内に行うことが一般的です。合格連絡は早い分には問題がないので、基本的に1〜3日以内に合格連絡をすると良いでしょう。
あまり期間が空いてしまうと、応募者は不採用になったと考えてしまいます。新しく他社へ応募したり、保留中だった他社からの内定を承諾されたりする可能性が高まるので、採用の意思が明確な場合は、なるべく早いタイミングに採用通知を送るようにしましょう。
応募者に不採用通知を知らせる場合は、基本的に面接から4、5日経過してから行うのが望ましいとされています。企業は慎重に時間をかけて面接結果を検討し、適切なタイミングで通知を行うことが求められます。応募者の気持ちに配慮することを心がけて、即座に不採用通知を送らないように気をつけましょう。
電話は午前中にかける
とくに応募者との取り決めがない場合、面接結果の電話連絡は午前中が良いとされています。応募者が電話に出られなかったとしても、後ほど折り返ししてくれるなど、当日中に連絡がつく可能性が高いからです。逆に避けたほうが良い時間は、終業時間以降です。もし夜遅い時間にかけてしまうと、残業が多いというマイナスなイメージを応募者に与えてしまうかもしれません。
もし可能なら、応募者の事情やスケジュールを考慮して、あらかじめ面接の際に、応募者が電話に出やすい時間を確認しておくと良いでしょう。都合の良い時間帯を確認しておけば、応募者とスムーズに電話でやり取りをすることができます。
合格者には今後の対応も通達する
電話で合格通知をする際は、入社日や事前に準備すべきものなど具体的な入社手続きについて詳しく説明します。そこで合格通知の際は、あらかじめ次の面談の候補日を複数設定しておき、応募者の都合の良い日にちを確認しておくとその後の流れをよりスムーズに進められるでしょう。
また、採用条件や雇用契約の詳細について丁寧に伝える必要があります。給与、福利厚生、勤務条件などの内容をしっかり説明した上で、応募者の合意をとることが求められます。これらは応募者が内定を承諾する際に重要な内容となるので、電話だけではなくメールでも通知するようにしましょう。
入社の意思があるなら、入社日に必要になるものを連絡する必要があります。入社手続きに必要なものには、身分証明書、銀行口座情報、保険証、前職の給与明細などがあります。会社によって異なるので、自社で必要とする書類内容を把握しておいてください。
要件は明確に伝える
電話は情報が耳からしか入らないので、応募者がしっかり聞き取れるように丁寧に伝えることが大切です。まず、名前や社名などの重要な情報は特に聞き逃しやすいので、ゆっくり話すようにしましょう。相手が電車や騒音のある場所にいる可能性もあるので、話ができるか確認して、状況が悪い場合は後で再度連絡することも考慮しましょう。
伝えたいのは面接の結果なので、合格か不合格かはっきり伝えることが求められます。特に不採用の場合、遠回しに伝えることで相手に誤解を招くことは避けたい点です。
伝える内容が多い場合は、後からメールでも知らせる旨を伝え、詳細をメールで送るとスムーズですし、トラブルを避けられます。応募者にとって分かりやすく、不快に感じないような配慮を心がけましょう。
【パターン別】面接結果を伝える際の電話対応
面接評価シートには質問の聞き漏れを防止できる、評価基準の見直しに役立つといったメリットがあります。その一方でいくつかのデメリットもあるため、自社で導入する際には何らかの対策をしておきましょう。
新卒へ合格を伝える場合
新卒の応募者は中途採用者と比べて経験やスキルが限られていることがあります。だからこそ、彼らの強みやポジティブな点を重視し、成長のためのアドバイスを優しく伝えることで、入社へのモチベーションが高まるでしょう。
実際に現場で活用できる、面接結果の伝え方の例を下記に示します。細かな言い回しは、会社の雰囲気に合わせて、フランクな表現や堅めな表現を随所に取り入れるようにしてください。
人事担当者:○○株式会社の採用担当△△です。ただいまお時間よろしいでしょうか?
新卒応募者:はい。大丈夫です。
人事担当者:先日は、面接にお越しいただきありがとうございました。社内で検討した結果、おめでとうございます!〇〇様の採用が決まりました。
新卒応募者:ありがとうございます!うれしいです!
人事担当者:面接では、〇〇様の意欲やポテンシャルに大きな魅力を感じました。強みとなる〇〇(スキルや成長意欲)も評価されたようです。次のステップとして、入社手続きや研修の詳細についてご案内したいと思います。一度本社にお越しいただきたいのですが、来週都合の良い日時はありますか?
新卒応募者:水曜日ならいつでもかまいません。
人事担当者:それでは〇月〇日の〇時からはいかがですか?
新卒応募者:〇日の〇時ですね。大丈夫です。
人事担当者:では、〇月〇日〇時に、お待ちしております。当日の持ちものや詳細は、のちほどメールでご連絡します。何か質問や心配事はありますか?
新卒応募者:特にありません。次のステップに進めることを楽しみにしています。
人事担当者:かしこまりました。では詳細をメールでお知らせしますので、確認をお願いします。
新卒応募者:承知しました。メールを楽しみに待っています。ありがとうございました!
中途採用者へ合格を伝える場合
中途採用では、応募者の経歴や目標が、会社のカルチャーと一致しているかが重要です。なぜなら、会社のカルチャーのミスマッチは早期離職につながる可能性があるからです。そのため、面接結果を伝える会話の中で、応募者が会社に適応できると感じるように配慮することが求められます。
また給与や条件などを尋ねられることもあるので、それに対しても考えておくとスムーズです。
伝え方の例は、次のとおりです。
人事担当者:先日は、面接にお越しいただきありがとうございました。〇〇株式会社採用担当△△です。ただいまお時間よろしいでしょうか?
中途応募者:はい。 人事担当者:社内で検討した結果、おめでとうございます、〇〇様を正社員として採用することが決定しました。
応募者:ありがとうございます。光栄です。
人事担当者:面接では、〇〇様の実績や専門知識、経験が高く評価されました。強みとなる〇〇をぜひ、当社で活かしていただけたらうれしいです。
応募者:自分の実績や専門知識が評価されて、喜ばしく思います。ありがとうございます。
人事担当者:次のステップとして、入社手続きや詳細な条件などをお話したいと考えています。ご都合の良い日程はありますか?
応募者:日程確認をできないため、改めてもよろしいでしょうか?
人事担当者:それでは都合の良い日程をいくつか、のちほど私宛にメールか電話で知らせていただけますか?
応募者:承知いたしました。
人事担当者:何か質問や心配事はありますか?
応募者:特にありません。次のステップに進むことを楽しみにしています。
人事担当者:ではメールをお待ちしております。不明な点は、お気軽にお問い合わせください。それでは〇〇様と働ける日を楽しみにしております。
アルバイト応募者へ合格を伝える場合
アルバイトの場合、一度の面接で合否が決まることがほとんどです。連絡する際には、勤務初日をいつにするか打ち合わせましょう。
伝え方の例は次のとおりです。
人事担当者:こんにちは、先日は面接にお越しいただきありがとうございます。〇〇さんは■■■(例:明るい、コミュニケーション力が高いなど)がとても魅力的でした。〇〇さんをアルバイト採用したいです。一緒に働いていきましょう。
応募者:ありがとうございます!うれしいです!
人事担当者:週3回、〇曜日、〇曜日、〇曜日の△時からの勤務で問題ありませんか?
応募者:はい、大丈夫です。
人事担当者:勤務初日は〇月〇日△時でよろしいですか?
応募者:〇月〇日の△時からですね。大丈夫です。
人事担当者:本日お話した内容はメールでもお送りするので、のちほど確認をお願いします。それでは、一緒に働けるのを楽しみにしています。よろしくお願いします。
不採用の連絡を伝える場合
明確に不採用を伝えながらも、自社に興味を持ってもらったことに対して感謝の意を示しましょう。不採用の理由は聞かれたら答えますが、聞かれなかった場合は伝える必要はありません。
人事担当者:先日は、面接にお越しいただきありがとうございました。○○株式会社採用担当△△です。ただいまお時間よろしいでしょうか?
中途応募者:はい。
人事担当者:結果をお伝えしますが、残念ながら今回は不採用となりました。
応募者:そうですか、残念です。
人事担当者:またの機会がありましたら、ぜひ応募していただければと思います。今回の結果に関わらず、貴重な経験としてご活用ください。
応募者:はい、そうします。ありがとうございました。
内定保留を相談された場合の対応
他社で選考を受けている応募者は、内定の保留を願い出る場合があります。可能なら応募者の意思を尊重し、比較検討の時間を設けましょう。
次の伝え方の例は、合格連絡の際に「相談があるんですが」と切り出されたシーンから始まります。
人事担当者:どのようなことでお悩みですか?
応募者:はい、内定をいただき光栄に思っていますが、他社からの返答をまだいただいていなくて。少し返事をお待ちいただけますか。
人事担当者:他社の結果を待ちたいということですね。承知しました。ちなみに、当社への入社については引き続き検討いただけるということでしょうか?
応募者:はい、他社の結果を待ちつつ、引き続き検討させていただければと思います。
人事担当者:承知しました。他社の結果はいつ頃出るか、お分かりになりますでしょうか?
応募者:一週間程度お待ちいただけますでしょうか。
人事担当者:では、少し長めに10日ほどお待ちしますね。結果が出ましたら、できるだけ早くお知らせください。もちろん、何か質問や疑問点がありましたらいつでもお気軽にご連絡ください。
応募者:ありがとうございます。迅速に連絡させていただきます。よろしくお願いします。
人事担当者:こちらこそ、ご連絡お待ちしています。他社との比較検討が終わり次第、再度お話しましょう。
面接結果を電話で伝える際の注意点
電話連絡は、注意しないとトラブルに発展する可能性もあります。電話で結果連絡する際の注意点を解説します。
必ず本人に直接伝える
固定電話にかけた場合、応募者の家族が電話に出る可能性があります。家族が出た場合には家族に合否を伝えずに、本人に代わってもらうか、留守なら後ほどかけなおすことを伝え都合の良い時間帯を尋ねましょう。
また携帯電話に直接かけて留守電になった場合も、留守電にかけなおす旨のメッセージを残してかけなおしてください。間違っても、留守電で面接結果を伝えないようにしましょう。採用通知は、応募者にとって喜ばしい知らせであり、重要な瞬間です。自社への入社意思を固めてもらうためにも、直接言葉で伝えるようにしてください。
折り返しの電話はすぐにかけ直す
もし応募者が折り返しの電話をしてきたら、いったん切ってすぐに折り返す旨を伝え、企業側からかけなおしましょう。
通話が長くなる場合、通話料を応募者に負担させないようにします。また企業側も折り返すまでのわずかな間に、選考状況の確認とスクリプトの準備ができます。
実際に折り返しの電話をする場合、1〜3分以内を目安に行うようにしてください。やむを得ず折り返しに時間がかかる場合には「〇分後に電話する」と明確な時間を伝えるようにしましょう。
面接結果を電話したあとに行う手続き
面接で合否が決まったら、次のステップに向けて手続きを進めます。内定者の入社手続きと、不採用者の書類の取り扱いについて解説します。
合格者が入社するまでの手続き
内定者を受け入れるために、最終面接合格の連絡をしたあと人事部ではさまざまな準備をしなければなりません。準備する内容は、企業によって異なります。企業の規定や指示に従って準備を進めましょう。
一般的に、入社までに準備することには次のようなものがあります。
- 入社手続きに関連する書類(雇用契約書や採用通知書、入社承諾書など)の準備や送付
- 説明書類の準備(給与や福利厚生などの詳細を伝える面談をする場合)
- 受入部署との内定者情報の共有
- 入社時に必要な設備やオフィス用品、制服などの準備
入社までのフローは、採用担当者が変更しても困らないようにマニュアル化しておくと良いです。たとえば「入社書類」フォルダを作って内定者に郵送する書類データをまとめておくと、ほかの担当者に郵送準備を依頼する際に指示が出しやすいでしょう。
また入社後には健康保険・厚生年金保険の加入手続きや、所得税・住民税の届け出、労働者名簿や賃金台帳の作成などがあります。
不採用者の書類の扱い
不採用者の書類の扱いは、個人情報を守れば、法律による規定は特にありません。
不採用者の書類の扱いは、大きく分けて次の3パターンに分かれます。
- 応募者へ返却
- コピーを残して、原本を応募者へ返却
- 返却せず一時保管後処分
応募者への返却をするかしないかは、企業の考え方によって異なります。返却するおもな理由は、個人情報を返却したほうが応募者が安心感を覚える、応募者側も写真や情報を再利用できて助かる、処分したあとで返却依頼が来たら困るなどです。
対して、個人情報の書類を適切な方法とタイミングで破棄することで、第三者への情報漏洩リスクを最小限におさえられます。また、自社の書類関連の保管スペースを適切に確保することができ、次の採用活動で書類の管理が新たに発生した際でも柔軟に対応できるようになります。
この他には、不採用通知の郵送時に、履歴書を同封して返却するケースもみられます。基本的に書類の取り扱いは自由なので、自社に適した扱いを選択しましょう。
電話での結果連絡で採用活動を成功させよう
電話での結果連絡は、メールや郵送よりも企業側の熱意が応募者に伝わりやすいと言えます。特に最終選考後の内定連絡なら、直接コミュニケーションを取れる電話連絡が向いているでしょう。
面接結果を知らせる際には、手もとにスクリプトや資料を準備して、丁寧かつ明確に伝えるようにしてください。もし折り返しの連絡があった際には、企業側から再度かけなおすといった配慮も必要です。
応募者にモチベーション高く入社してもらえるよう、または自社への入社意思を固めてもらうように、企業の採用担当者は、採用通知を丁寧に伝え、応募者にとって心地良いコミュニケーションを心がけるようにしましょう。
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