企業の動向
2025年卒採用は学生接触や選考の早期化がよりいっそう進むと言われてきたため、昨年度と比較し数ヵ月前倒しでインターンシップやオープン・カンパニーのスケジュールを組んだ企業が増加した。しかし、予定通りの母集団形成ができているという話はほとんど耳にしない。ある大手小売企業では、11月末時点での応募数は昨年同時期と比べ3割減、参加人数に至っては5割減と、苦戦を強いられている。来年3月のいわゆる採用広報解禁にも至っていないタイミングではあるが、新卒採用だけでは採用計画数を確保し切れないことを見越し、同社は新卒採用に加え、年間を通した既卒・第二新卒採用での人員補充を決めたという。少子化による新卒採用マーケットの縮小を見据え、ターゲットの拡大を検討する動きは今後も広がっていきそうだ。
2024年卒採用は多くの企業で採用計画数に届いていない状況だ。ある大手不動産会社は、昨年までは営業職を30名程度コンスタントに採用できていたが、2024年卒採用ではこのままだと15名程での着地になりそうだという。要因として内定辞退率が3割増となったことを挙げている。同社ではただ単に「面接」をするだけでなく、先輩社員や役員との「面談」の機会を増やすことで志望度醸成や辞退率低下を試みている。ただそれでも新たな入社希望者の確保が難しい場合は第二新卒採用への切り替えも検討しているという。
新卒入社を「ファーストキャリア」、2社目の選択を「セカンドキャリア」と呼び、転職を前向きにとらえる学生や若手社会人も増えている。転職市場における20代の動きは今後いっそう活発化することが予想され、20代通年採用という選択を取り入れる企業は増加しそうだ。
(フィールドセールス部 石黒 翔太)
学生の動向および学生を取り巻く就職環境について
このところ大学キャリアセンターに相談に訪れる2025年卒学生が増えているという。これまで就職活動の準備をしてこなかった学生から「どのように進めたらいいか」を相談される一方、既に内々定を得たという学生から「その後の企業対応」について相談されるなど、進捗に応じて内容は多岐にわたる。その中で目立つのが、早期選考に向けてのエントリーシート添削依頼や面接対策といった選考に関するものだという。夏季のインターンシップやオープン・カンパニーに参加した企業に対し、企業からアプローチを受けるだけでなく学生からも接触を図り、早期選考のチャンスを活かしたいと積極的に動いているようだ。1月中旬から私立大学で、1月下旬からは国公立大学で定期試験の期間に入る。その間は就職活動関連の行動がしづらくなるため、年内に少しでも企業との接触機会を持とうという学生が多い印象だ。
一方2024年卒に関しては、学生以上に企業の採用担当者によるキャリアセンター来訪が増えているという話を聞く。採用計画数に到達していない企業が多い中、未内定者との接点を求め企業による訪問が続いており、大学担当者は学生対応だけでなく、企業対応にも追われている。企業によっては2024年卒学生だけでなく、2~3年前に卒業したいわゆる既卒者でも構わないと相談を持ち掛けるケースもあるようだ。大学担当者は企業から寄せられる求人情報について、条件がマッチする学生に電話やメールなどで案内を進めているが、連絡が取れないことが多いという。反応は厳しいが、大学担当者は粘り強く学生支援を続けている状況だ。
(キャリアサポート部 江村 朋裕)
関連記事
-
2025年卒学生の就職意識調査(新社会人のキャリア観)2024年12月版
2024.12.24
#新着レポート -
2025年卒学生の就職意識調査(入社先でのキャリア)2024年12月版
2024.12.23
#新着レポート -
2026年卒学生の就職意識調査
(面接の参加形式)2024年12月版2024.12.18
#新着レポート