企業の動向
10月の内定式を見据え、2024年卒採用はいよいよ終盤戦の様相だ。学情の調査によると7月末段階の内々定率は前年同時期比5.1ポイント増の86.1%と、学生優位、企業苦戦の市況感が顕著だ。各社、残りの採用目標人数を追いかけているが、現状の母集団では会社説明会への参加者も限られてくる。そのため、追加の母集団確保に向け合同企業セミナー「就職博」への問合せや申込が増加傾向にある。ただ、学情による6月中旬の学生向け調査によると、内々定獲得企業の中にインターンシップ参加企業が「ある」と回答した学生は約60%に達し、インターンシップ期間での早期接触の重要性を物語っている。ある金融業界の企業は2024年卒対象のインターンシップを実施しなかった。それもあってか、内々定承諾者が目標の10%にも到達していないといい、2025年卒採用では今夏からの活動スタートに切り替えることを決断したという。
そのように早期化が加速する中、大学も夏休み期間となり、2025年卒の夏季インターンシップやオープン・カンパニーが本番を迎えた。まずは気軽に参加できるオンライン形式を中心に参加を希望する学生が多いようだが、思い通りに集客できないケースも少なくないようだ。ある化粧品メーカーの人事担当者は「6~7月の段階で学生の志望業界が既に固まっているようでなかなか振り向いてもらえない。昨年と比べ母集団形成に苦労している」という。そのような中、大学1~2年生対象のキャリア形成コンテンツを用意して、低学年との接点を持とうという大手企業も見られるようになってきた。学年を問わず社会を知る機会が増える一方、インターンシップと就職活動の線引きがいっそう曖昧になりそうだ。
(フィールドセールス本部 安野 遼平)
学生の動向および学生を取り巻く就職環境について
2024年卒の就職活動では、既に多くの学生が内々定を得ている状況だ。ただそのまま就職活動を終えているかというとそうではなく、多くの大学で聞かれるのは「複数内々定を持ちながら活動を継続する学生も多い」という声だ。より良い条件を求めて活動を続ける学生も一定数いるとみられる。一方で、売り手市場を認識してかマイペースに活動を行う学生もおり「内々定未保有者からも焦りが感じられない」という声も耳にする。さらには、選考を未だ受けたことのない学生からの相談も少なくないという。学生の状況は必ずしも一様ではない。就職活動を続ける学生に対し、7~8月に対面形式で5~10社程度を招いた学内企業セミナーを実施する大学もあり、支援が続けられている。
一方、2025年卒学生の就活準備も進んでいる。8月1日に東京で開催されたインターンシップ、オープン・カンパニーイベント「Super Business Forum」には昨年同時期を上回る来場があり、直接企業担当者から語られる情報に熱心に耳を傾けていた。参加学生に見られたのは、3年生の夏という時期にも関わらず既に業界を絞っている傾向だ。人気・大手企業に学生が集中し、例年のこの時期と比べ幅広く見ようという学生が少ないように感じられた。各大学では6月以降、意中の企業のインターンシップ等の参加に向けたエントリーシート添削相談でにぎわったが、7月下旬になるとそれも下火になっていったという。意欲的な学生がいる一方、大学の懸念は「夏に動かない学生がどの程度いるか」「そういった学生にどう動いてもらうか」であり、それが秋からの課題となりそうだ。
(キャリアサポート部 三宅 崇史)
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