HR用語の基礎知識
ケイパビリティ(capability)は、日本語に訳すと次の意味を持ちます。
企業経営におけるケイパビリティは、これらすべての意味合いを総括した捉え方となり、組織全体の強みを意味する用語となります。
ビジネスにおけるケイパビリティは、1992年にボストン・コンサルティング・グループの3人により「バリューチェーン全体を通じた組織の遂行能力である」と定義されました。
具体的には、次のような組織の力を指します。
これら企業のケイパビリティを構成する要素がほかよりも優れていれば、環境の変化に対応でき、市場競争に勝ち抜くことが可能となります。ケイパビリティは、企業経営の重要な要素の一つであり、戦略的な観点から捉えることが求められています。
ケイパビリティを活用して企業経営するメリットとして、次の2点が考えられます。
企業におけるケイパビリティを把握するためには、次にあげる2つのフレームワークを使うとよいでしょう。
SWOT分析は「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4項目で事業内容を分析するフレームワークです。
SWOT分析によって、自社の内部環境と外部環境を明確にさせましょう。
プラス要因 | マイナス要因 | |
内部環境 | Strength | Weakness |
外部環境 | Oppotunity | Threat |
SWOT分析によって、効果的な経営やマーケティング戦略が立てられます。また、事業の改善点や新規事業のリスクの洗い出しにも効果的です。
内部環境(技術力・ブランド力・サービスなど)と外部環境(市場規模・経済状況・競合の状況など)を合わせて考えることで、自社のケイパビリティが相対的に分析・認識できます。
バリューチェーン分析とは、自社にどのような付加価値があるか可視化して分析するフレームワークのことを指します。
バリューチェーンとは、原材料から商品が顧客の手にわたるまでの一連の流れにおいて、さまざまな付加価値が連鎖して加わっているという考え方です。生産から消費までに関わる「主活動」(製造・出荷・販売など)と、直接生産などに関わらない「支援活動」(人事・労務・開発など)に分けられます。
バリューチェーン分析は、次のフローで進めるのが一般的です。
バリューチェーンは業種によって内容が異なるため、自社に合わせた分析が必要となります。さらに、SWOT分析も一緒に活用することで、自社におけるケイパビリティ強化にもつなげられます。
ケイパビリティを高める方法として、次の3つがあげられます。
ケイパビリティの向上には、人材育成が必須です。経営戦略を立てる上で、人材が最も大切な要素なのは間違いありません。
人材育成により社員個人が成長することで、企業の成長にもつながります。具体的な教育の一例は、次のとおりです。
人材育成法 | 特徴 |
OJT |
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eラーニング |
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メンター制度 |
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ジョブローテーション |
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社員の視野を広げる意味でも、幅広く知識を得られる教育が望まれます。
ダイナミック・ケイパビリティ戦略は「変化対応力」「自己変革力」とも呼ばれ、変化の激しい環境に柔軟に対応するために組織が行う経営戦略のことです。
ダイナミック・ケイパビリティ戦略には「捕捉(Seizing)」「変革(Transforming)」「感知(Sensing)」の3つのプロセスが求められます。
これら3つのプロセスにより、市場の変化に合わせて企業の経営体制を柔軟にコントロールします。
また、社内における「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の導入も必要不可欠です。
デジタル・トランスフォーメーション(DX)とは、デジタル技術を活用して商品・サービスの提供や開発、さらに社会制度や組織文化なども変革させる取り組みのことを指します。社内の業務効率化を図れるため、ダイナミック・ケイパビリティ戦略において重要な施策だと言えます。
ケイパビリティ・ベース競争戦略とは、ケイパビリティを経営戦略のベースとして、競合との競争を優位にする戦略のことを指します。
ケイパビリティ・ベース競争戦略は、4つの原則に沿って進めるのが基本です。
これら4つを実践することによって、競争力を兼ね備えたケイパビリティを構築できます。
ケイパビリティの向上を図るには、次にあげるポイントを確認しながら進めるとよいでしょう。