中途採用者の給料はどう決める?第二新卒の給料や待遇の違いも解説
2024.11.13
中途採用者の給料をどのように決めるべきか悩んでいる採用担当者も多いでしょう。給料は内定承諾を得るうえで重要なポイントです。
中途採用者の給料を決定するためにはいくつかの方法があり、企業と求職者の双方が納得できる方法を選ばなければなりません。本記事では、給料を決める方法や第二新卒の給料や待遇の違い、給料を決めるポイントなどについて解説します。
中途採用者の給料を決める5つの方法
株式会社学情の調査によると、9割を超える20代が「給与が高い企業は志望度が上がる」と回答しました。給料は企業への志望度と深く関係するため、慎重に決めなければなりません。
まずは、中途採用者の給料を決める方法について解説していきます。
前職の給料を考慮して決定する
中途採用では、前職の給料をベースにして、求職者の経歴やスキルなどが自社にとってどれくらいの価値があるか考慮して決定する方法があります。
多くの求職者は年収アップや維持を希望するため、前職の給料よりも低くなる場合は選考や内定を辞退する可能性があります。企業にとって本当に必要な人材であれば、前職の給料より高い金額を提示することも少なくありません。
自社の給与テーブルに従って決定する
一般的には、自社の給与テーブルに従って決定することが多いでしょう。選考や面談を通して入社後の等級や役職を決定し、ポジションに応じて給料を決める方法です。
企業にとって欲しい人材でも、給与テーブルを無視した給料を提示してしまうと、社内で不満が募る可能性があります。公平性を保つには、明確な基準が必要です。
企業の人事制度に基づいて決定すれば、社内での給料格差が生じにくくなります。
実績や業績など成果に応じて決定する
前職の実績や業績などの成果に応じて、給料を決定する方法があります。選考途中や面談時に実績や業績を証明できるものを提出してもらい、内容をもとに給料を決定するのです。
経験豊富な求職者にとっては、前職の実績や業績が無駄にならず、年収アップが期待できます。一方、実績や業績のない未経験者にとっては、プラスにならないことも多いです。
競合他社の給料を参考にする
転職市場を調査し、競合他社の給料を参考にする方法です。調査方法には、転職媒体や厚生労働省の統計データを参考にする方法があります。
確実に採用したい場合は、競合他社の条件を上回る金額を提示すると内定承諾を得られる可能性が高まります。適切な条件を提示するには、選考や面談時に競合他社から提示されている金額をヒアリングしましょう。
また、特定の候補者にだけ高い給料を提示すると、既存社員から不満が噴出する可能性があります。社内の公平性を保つためにも、既存社員の給料とのバランスを調整することが大切です。
試用期間中の評価によって決定する
実際の働き方を見て給料を決定したい場合、試用期間中の評価によって給料を決定する方法があります。
試用期間中の評価によって給料が変更される可能性がある場合、労働条件通知書などの書類に「記載している給料条件は仮のものであり、実際の給料は試用期間中の評価によって決定する」といった内容の記載が必要です。
また、試用期間は3〜6カ月程度が一般的です。あまりに試用期間が長過ぎるとトラブルに発展する可能性があるので注意しましょう。
第二新卒は新卒と同等に扱われることが多い
第二新卒は中途採用に含まれますが、社会人経験が浅いため、新卒と同等に扱われることが多いです。とくに未経験からのキャリアチェンジの場合、実績や業績がないので年収が大幅に上がることはほとんどありません。
第二新卒の給料を決める際は、同業他社における新卒の募集情報を参考にするのが良いでしょう。
中途採用の給料を決める流れ
求職者にとって給料は、企業を決めるための重要な要素です。一方、企業にとっても「社内の公平性を保てるか」「給料に見合うだけの能力を発揮してもらえるか」など注意するべき点がいくつもあります。
双方が納得できる給料を導き出すには、段階を踏んで決めていくことが大切です。次は、中途採用の給料を決める流れについて解説します。
選考で必要な情報をヒアリングする
まずは、書類選考や面接の段階で前職の年収や希望年収をヒアリングします。
前職の年収をヒアリングする際は、次の項目も確認してください。
- 基本給
- 残業手当
- 役職手当
- 資格手当
- 通勤手当
- 住宅手当
- 家族手当
企業によって手当の有無や内容が異なるため、なるべく細かくヒアリングします。給料に関する情報はデリケートなので、お互いの信頼関係が深まってからヒアリングすると良いでしょう。
ヒアリング内容をまとめたら、自社の給与テーブルに当てはめて想定年収を提示します。
内定通知と同時に給料額を提示する
内定通知と同時に、労働条件通知書を求職者に渡します。ここに記載する年収は、企業側の想定年収であり、求職者が提示された内容に納得できない場合は給料交渉が行われます。
給料交渉を行う
求職者が提示された給料に納得していない場合は、給料交渉を行います。候補者から交渉希望を出された際は、双方が納得できるよう丁寧に話し合うことが大切です。
企業側は、なぜその年収なのか理由を明確に伝えられるように準備しておきましょう。提示した年収の根拠が曖昧だと、求職者に不信感を与えかねません。
交渉がまとまれば、最終的な年収が決定します。
中途採用の給料を決めるポイント
次は、中途採用の給料を決めるポイントについて解説していきます。給料によって欲しい人材を採用し損ねたり、競合他社に流れて後悔したりしないよう、事前にポイントをおさえておきましょう。
選考段階で前職の給料や希望給料額を確認する
金銭に関係することはトラブルに発展しやすいため、慎重なヒアリングが大切です。とくに経験者の場合、前職よりも高い年収や年収維持を希望するため、希望額を事前に確認しておかないと認識のズレが生じたまま選考を進めていってしまいます。
双方にとって有意義な選考にするためにも、選考段階で前職の給料や希望給料額を確認しておきましょう。前職の給料をヒアリングする際は、基本給だけでなく、ボーナスや残業代、各種手当なども細かく確認することが大切です。
同業同職の給料相場を把握する
求職者の希望年収や企業が提示する年収が適切なのかを判断するには、同業同職の給料相場を把握しましょう。
求職者の希望年収が経験やスキルと見合っていなかったり、反対に企業側が提示した年収が求職者のキャリアと見合っていなかったりするケースは少なくありません。年収のミスマッチは採用につながらない原因にもなるため、給料相場を正しく把握することが大切です。
同業同職の給料相場を把握する方法には、転職サイトや転職エージェントの活用があります。同業他社の求人情報を探し、記載された年収(給料)データを集めて比較します。
また、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を参考にしてもよいでしょう。
給与テーブルや人事評価に従って決定する
求職者の給料は、給与テーブルや人事評価に従って決定します。即戦力だからといって、特定の社員だけ給料を上げてしまうと、既存社員との格差が生じてしまいます。
特定の社員だけ給料を上げたい場合は、状況に応じて給与テーブルの見直しが必要です。社内の公平性を保つためにも、必要に応じて給与テーブルや人事評価の見直しを行いましょう。
給料交渉を行う際の対応方法を決めておく
給料交渉を行う際は、事前に対応方法を決めておくことが大切です。
提示した給料を二転三転させてしまうと、求職者に不信感を与えてしまいます。また、求職者の希望ばかりを尊重すれば、社内の公平性が保てません。交渉をスムーズに進めるためにも、どのように対応するべきか事前に決めておきましょう。
給料交渉では、双方が納得できるように交渉を進めることが大切です。不透明な部分や不満が残ったままでは、採用に至ってもミスマッチによる早期退職を誘発する可能性があります。
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株式会社学情が実施した転職における給与に関する調査では、9割を超える20代が「昇給や待遇の改善に取り組む企業は魅力を感じる」「給料が高い企業は志望度が上がる」と回答しました。転職先企業を決めるうえで、給料額は重要な判断基準になっています。
「Re就活」のダイレクトリクルーティングでは、希望年収を含む検索条件にマッチした求職者にスカウトメールを送れます。お互いの希望条件が一致しているため、質の高い母集団形成が期待できるでしょう。
また、アンケート&チャット機能を活用し、求職者が聞きづらい年収についての疑問や不安を解消することで、応募促進にもつながります。
中途採用にお困りの方は、株式会社学情にお問い合わせください。
株式会社学情 エグゼクティブアドバイザー(元・朝日新聞社 あさがくナビ編集長)
1986年早稲田大学政治経済学部卒、朝日新聞社入社。政治部記者や採用担当部長などを経て、「あさがくナビ」編集長を10年間務める。「就活ニュースペーパーby朝日新聞」で発信したニュース解説や就活コラムは1000本超、「人事のホンネ」などでインタビューした人気企業はのべ130社にのぼる。2023年6月から現職。大学などでの講義・講演多数。YouTube「あさがくナビ就活チャンネル」にも多数出演。国家資格・キャリアコンサルタント。著書に『最強の業界・企業研究ナビ』(朝日新聞出版)。