9月となり、この時期の人事担当者の関心事の中心は例年であれば内定式の準備である。しかし2024年卒採用では多くの企業が想定以上の内々定辞退に見舞われており、急遽採用活動の再開を余儀なくされている。ある老舗商社では内々定者全員が辞退するという状況に陥り、採用実績のある大学への相談や経験者採用での補填に向け動き出したという。学情の調査によると8月末時点での内々定率は「90.6%」に達し、過去5年で見ても最高値。売り手市場感が色濃く表れた。就職活動中の学生は「25.8%」で、4人に1人は活動を続けているものの、企業にとって厳しさは日に日に増している。 2025年卒採用については、例年以上に各社が広報に尽力した夏季インターンシップ、オープン・カンパニーが本格的に実施されている。現時点での声を拾うと「昨年同時期の参加者数を下回っている」という企業が目立つ。ある流通業の企業では「昨年よりも広報開始を早めたものの、参加状況は4割減」だという。8月初旬に東京・名古屋・大阪で開催されたインターンシップ、オープン・カンパニーイベント「Super Business Forum」の来場学生アンケートによると、既にインターンシップやオープン・カンパニーに参加したという回答が、いずれの地区も40%を超える結果となった。企業の絞り込みや参加が早まっていることが見て取れる。また今年度の傾向として、単日開催のオンライン形式のものよりも、2日間程度の対面開催のものの方が集客できており、「リアルへのニーズを実感した」という声もよく耳にする。コロナ禍も落ち着きを見せる中、オンライン開催で幅広く集客するといった手法だけに頼らず、学生のニーズは何かを深く考えることが求められている。