ChatGPTを採用業務に活かせる?活用例6つとコツを紹介
2024.05.16
近年、注目を集めているChatGPT。人間の会話のように自然なやりとりができるAIですが、業務に活用することはできるのでしょうか?
この記事では、実際にChatGPTを業務で使った体験を踏まえ、活用方法や気を付けるべきポイント、質問例などをご紹介します。
ChatGPTとは
ChatGPTは、人間の言葉を理解し、自然な会話を行うことができるAI(Artificial Intelligence:人工知能)モデルです。
ChatGPTは、AIモデルのうち、言語モデルと呼ばれるものの一種です。言語モデルは、学習した大量のテキストデータから普遍的な言語パターンや文脈を予測し、ユーザーから与えられたテキストに対して適切な応答を生成することができます。
2022年11月に、開発元のOpenAIから公開されたあと、公開後2か月で全世界のユーザー数が1億人に達するなど、その活用方法に注目が集まっています。
特徴
ChatGPTの最大の特徴は、なんといっても人間のように自然な会話を返してくれることです。
ただし、ChatGPTはあくまでもインターネット上の膨大なテキストデータの中から「それらしい」文章を生成する機械なので、ときには誤った情報や不適切な応答を返す可能性もあります。この点に注意して利用しましょう。
【2024年5月14日更新】画像や音声も扱える「GPT-4o」が公開
日本時間の2024年5月14日から、「GPT-4o」が公開されました。これに伴って、これまで有料プランのユーザーのみに限定公開されていた、画像や音声データを取り扱う機能が無料で使えるようになっています。
無料ユーザーは、月額20ドルの有料プラン(ChatGPT Plus)よりも1時間に入力できるプロンプトの数が少ないなどの制限がありますが、まずは無料プランで使い勝手を掴んでみるのがおすすめです。
ChatGPTに対する20代の反応
株式会社学情が実施した20代社会人対象のアンケートでは、「名称も内容も知っている」が76.2%、「名称は知っている」が17.9%と、合わせてChatGPTの認知率は94.1%との結果でした。
さらに、約半数がChatGPTを日常生活で使用したことがあると回答しています。
ChatGPTを使ったことがない半数に関しても、認知度は高いことから、きっかけさえあれば使い始める人も多いのではないでしょうか。
将来的には、就職活動において志望動機や自己PRをChatGPTで作ることが一般的になる可能性もあります。自らの業務でもChatGPTを活用することで知識と理解を深め、採用環境の変化に対応していけるでしょう。
ChatGPT活用の注意とポイント
ChatGPTを業務で活用する際に気を付けるべきことや上手く活用するポイントを紹介します。
ChatGPT活用の注意点
2点ご説明します。
- 個人情報を入力しない
- 入力データの利用を許可しない設定を行う
個人情報を入力しない
現在無料公開されているChatGPTは、リサーチプレビュー版と呼ばれる、いわばテストバージョンです。機能改善のため、ユーザーが入力したデータはOpenAI社に送信され、人が閲覧する可能性があります。
たとえばクレジットカード番号などの個人情報や、会社の決算に関わる機密情報など、見られてはいけない情報は絶対に入力しないようにしましょう。情報漏洩につながります。
このことはChatGPT初回起動時にもアナウンスされます。
Conversations may be reviewed by our Al trainers to improve our systems.
Please don’t share any sensitive information in your conversations.
機能改善のため、OpenAIのAIトレーナーが会話を見る可能性があります。
機密情報をシェアしないでください。
採用業務では、とくに応募者の履歴書や職務経歴書に記載されている個人情報などを入力しないようご注意ください。
入力データの利用を許可しない設定を行う
ChatGPTに入力したデータを学習させない設定も可能です。業務で活用する際は、基本的にはこの設定をしたほうが無難でしょう。方法を2つご紹介します。
-
オプトアウト申請をする
ユーザーが個人データの提供に許可することを「オプトイン」、反対に、許諾しない意思を示す行為を「オプトアウト」といいます。
OpenAIに対して、入力したデータが利用されないように申請できる「オプトアウトフォーム」が用意されています。
※2023年10月25日から、フォームは「OpenAI プライバシー リクエスト ポータル」に移動されました。
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チャット履歴の保存をオフにする
2023年4月25日から、チャットの履歴を無効にする機能が公開されました。1の方法より簡単にオプトアウトの設定が可能です。
画面左下の名前横の三点リーダーから「Settings」>「Data controls」>「Chat history & training」をオフにすると、履歴を無効にできます。
これによりOpenAIのサーバーにデータが保存されることはなくなります。
ただし、上記の設定を行ったうえでも、トラブル防止のために情報漏洩に繋がる内容は送信しないことをおすすめします。
ChatGPT活用のポイント
ChatGPTとの上手な付き合い方において、気を付けるべきポイントをご紹介します。
最初から100%の回答を期待しない、必ず校正をする
ChatGPTはあくまでも自然な流れの文章を生成するだけのシステムであるので、中には嘘が含まれてしまうことや、理解しにくい表現で文章が生成されるケースもあります。
2021年9月までのテキストデータをもとにしており、それ以降の情報には対応できないことも念頭に置いておきましょう。
ChatGPTの力が十分に発揮されるためには、回答をそのままコピー&ペーストして使用することはせず、人間が校正を行うのがおすすめです。
ただし、アイディア出しや文章のたたき台を作ってもらう点においては、ChatGPTは非常に有用なツールといえます。
業務で活用する際は、最初から100%の答えを求めるのではなく、さまざまな物事の土台を考えてくれるビジネスパートナーと捉えるとよいでしょう。
質問には背景や前提を含める
ChatGPTから自分が求める通りの回答を引き出すには、その質問をするにいたった背景や前提をいかに詳しく伝えられるかがポイントです。
具体例を踏まえてご説明します。以下の画像は、学生向けセミナーのタイトルを考える場合の一例です。
今度は、背景や前提などの情報を含めて質問してみます。
より前提や背景情報に沿ったタイトルが提案されました。このように情報を細かく提示すれば、ChatGPTはこちらの意図を汲み取った内容を返します。
また、ChatGPTはある程度前の会話内容も覚えていてくれるので、自然な会話をする中で徐々に回答の精度を高めていくことも可能です。
ChatGPTを採用業務で活用する|活用パターン6つを紹介
では、仕事では実際にどのような場面でChatGPTが活用できるのでしょうか。採用業務に即した例を6つご紹介します。
- 求人原稿のたたき台を考える
- スカウトメールのテンプレートを作成する
- (スカウトメールやセミナーの)タイトル案の選択肢を広げる
- インターンシップのアイディア出し
- 書類選考の評価基準の作成
- 採用ペルソナの要件定義
各項目にChatGPTへの質問例を掲載していますが、要件に合わせて文章を再検討してください。
求人原稿のたたき台を作る
ChatGPTはテキスト生成AIであるので、文章作成が一番の得意分野です。たとえば求人原稿のたたき台を作る際、ChatGPTを使うと高速に、かつ、複数個の案を手にすることが可能です。人間が初めから考えるよりも大幅な工数削減が見込めます。
依頼する際には、事業内容や募集職種、勤務地などの必要な情報もあわせて入力します。
たとえ入力内容が雑然としていても、項目ごとに整理して出力してくれるところがChatGPTを使うメリットのひとつです。したがって入力内容を考えるのにあまり時間をかける必要はありません。
そのほか、ChatGPTに対して「あなたはプロの求人媒体運営者です。」と、ロールプレイをするのもひとつの方法です。
具体的にどんな内容を入力したらよいかわからない場合は、まず「求人原稿を作りたいがどんな情報が必要か」を質問するのがおすすめです。
[質問例]
業種は人材サービスで、営業職・マーケティング職・事務職を募集しています。企業規模は300人程度で、想定月収は東京本社の総合職で240,000円~です。
スカウトメールのテンプレートを作成する
売り手市場により採用が難しくなる昨今、ターゲットに直接アプローチできるスカウトメールはその重要度が増しています。しかし、スカウトメールは異なるターゲットの条件ごとに内容を変える必要があることから、それぞれのテンプレート作成を人の手で行っていると多大な時間がかかります。
ChatGPTにテンプレート作成を任せることによって時間短縮が望めます。
[質問例]
タイトル案の選択肢を広げる
セミナーやスカウトメールなどのタイトルを考える際に活用できます。ChatGPTに「タイトル案を○個考えてください」と依頼すると、その通りの個数、案を返してくれるので、自分ひとりで考えるより選択肢を大きく広げられます。案出しの壁打ち相手になってもらうイメージです。
スカウトメールは求職者に直接アプローチするのに有効な手法です。しかし、受け取る側の多くがメールのタイトルだけを見て中身を見るか否かを判断していることも事実でしょう。タイトルひとつが、求職者のその後のアクションに影響する大きな要因であるのは間違いありません。
スカウトメールの開封率に悩んでいる際は、ChatGPTを外付けの脳として頼ってみるのもおすすめです。募集職種や企業名などの必要要件をタイトルに含めることはChatGPTに任せて、人間は受信者に響くフレーズを考えるのに集中することができます。
[質問例]
インターンシップのアイディア出し
ChatGPTが得意とすることの一つにアイディア出しがあります。採用業務の文脈では、インターンシップの開催概要を考える際に活用できます。
特にまだ具体的な内容を思いついていなくても、開催条件等を提供することである程度のアウトラインを作ってもらうことが可能です。
そのほか、タイトル決めやインターンシップ内での発表内容を考える際にも有用です。
[質問例]
書類選考の評価基準の作成
社内での書類選考の評価基準が曖昧で、何を参考にしたらよいか不明確な場合は、ChatGPTを使うことで一般的な評価基準を作れます。
一般的なものを作れるのは、ChatGPTが過去累積してきた大規模なテキストデータセットを参照するからです。あらゆる情報から普遍的な回答を返します。
実際に書類選考の評価をするときも、個人情報にならない程度の情報(たとえば志望動機や自己PRなど)であれば、ChatGPTに読み込ませて、採用担当者がした判断とどのような違いがあるかを比較してもよいかもしれません。
そもそも評価基準がない、どこを評価すればいいかわからないといったケースでは、手始めに以下のような質問をするとよいでしょう。
[質問例]
採用ペルソナの要件定義
採用には人事担当者だけでなく現場の社員も参加するので、事前にペルソナを共有しておけば個人の基準に依存することなく選考を行うことが可能です。ペルソナとは、名前や性別、年齢から性格に至るまでを事細かに設定した「企業が入社して欲しいと思う架空の人物像」のことです。
ChatGPTにペルソナの要件定義を依頼する際は、以下の質問例のように、採用を実施する背景と現状の説明を含めるとよいでしょう。
[質問例]
以下の<前提>を踏まえ、どのような人材を採用したら適切か、要件定義をしてください。
<前提>
採用を行っているマーケティング課は、上司と中途社員、新卒社員の計3人です。
webデザインの経験がある人材を1人採用したいと思っています。
現状、マーケティング課にはwebデザインについて知見がある人間がいないので、
ある程度自分で考えて行動できる人材であれば問題なく業務が遂行できるのではないかと考えています。
質問例を実際にChatGPTに入力した際の回答では、具体的にどのような技術(HTML、CSS、JavaScriptなど)を持っていれば条件を満たすのか、コミュニケーションスキルの明文化(ノンデザイナーのチームメンバーに対しても、デザインの概念をわかりやすく伝えるコミュニケーション能力を持っていること)などを出力してもらえました。
ChatGPTの始め方
1. ChatGPTのwebサイトにアクセスし、左下の「Try ChatGPT」をクリックする。
2. OpenAIのアカウントを持っていない場合、「Sign up」を選択する(持っている場合は「Log in」)。
3. メールアドレス、Googleアカウント、Microsoftアカウント、Appleアカウントのいずれかで登録する。
4. 今回はメールアドレスで登録したため、届いたメールからURLをクリックし、続きの手順をおこなう。
5. 名/姓と生年月日を入力する。
6. SMS認証をおこなう。
7. 初回起動案内時のアナウンスを確認する。
- This is a free research preview. (これは無料のリサーチプレビュー版です。)
- How we collect data (データ収集の方法)
- We’d love your feedback! (フィードバック歓迎!)
入力されたデータが人に見られる可能性があることへの注意や、フィードバックはdiscordというチャットツールから送れることなどが記載されている。
8. ChatGPTとの対話画面が開くので、下の入力欄(「Send a message」)に質問を入れて開始する。
まとめ|ChatGPTを賢く使って業務効率化を図ろう
ChatGPTは文章の土台作成やアイディア出しの際に非常に役に立つツールです。下記の二つをしない限り、ChatGPTは業務において敏腕な助手になってくれることでしょう。
- 最初から完璧な答えを求めること
- Googleのような検索エンジンとして捉えること
質問の仕方に多少コツがいりますが、まずは試しに使ってみることをおすすめします。
記事でご紹介した以外にも、議事録の調整やテキストのブラッシュアップ、または簡単なコーディングもできるなど、ChatGPTの活用方法はさまざまです。使っていくうちに「こんな使い方もあった」などの発見があるかもしれません。ぜひ活用方法を模索してみてください。
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