「つくし世代」とは?ゆとり・さとり世代との違いや特徴を解説
2019.12.16
「ゆとり世代」「さとり世代」から派生した、新たなワード。
現在の20代を表す言葉として、「ゆとり世代」、あるいは「さとり世代」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。「ゆとり世代」は2002年度から始まった「ゆとり教育」を受けて育った世代を指し、一般的には1996年4月から2004年3月に生まれた方を指します。
また「さとり世代」については、何年から何年までといった明確な定義はありませんが、90年代生まれが一般的に当てはまると言われています。世代的に大きな違いがなく、共通点も多いため、さとり世代はゆとり世代の別名とも言えます。
①仕事よりもプライベートを優先する。
②指示がないと自分から動けないマニュアル型が多い。
③ストレスに弱く、挫折からなかなか立ち直れない。
④物欲がなく、モノへの執着が薄い。
⑤恋愛や結婚への興味が薄い。
こうしたゆとり世代の特徴のうち、特に④⑤にフォーカスを当てたのが、「悟りを開いた僧のように物欲がないように見える人」が多いことを指した「さとり世代」です。ですが、「ゆとり教育の弊害」「これだからゆとり世代は・・・」とネガティブに捉えられてきたゆとり世代と異なり、「欲」が少ないというよりは、無駄を嫌い、コスパ重視で堅実な生活を求める、ある意味成熟した世代として捉えられています。
「人に尽くしたい」から「つくし世代」
そんな中、若者を表す言葉として新たに注目されているのが、「つくし世代」です。つくし世代は「尽くし世代」から生まれた造語で、2015年に発行された「つくし世代」(光文社新書)の著書である藤本耕平さんは、1992年以降に小学校に入学した世代を第一世代、1992年以降の生まれを第二世代としており、「ゆとり世代」「さとり世代」と年代的に大きな違いはありません。
ではなぜ「つくし世代」という言葉がわざわざ生まれたのでしょうか?藤本さんは1992年がつくし世代を知るカギだとしています。
①教育環境の変化/1992年から学習指導要領が改訂され、相対評価から絶対評価に変わった。
②家庭環境の変化/1992年に共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回った。
③経済環境の変化/1992年はバブル崩壊の年。
④IT環境の変化/1992年前後に「一家に一台パソコン所有」が進む。中学入学の頃に「ウィンドウズ98」の時代を迎える。
そんな時代に生まれ育った「つくし世代」は、相手の良いところや努力を平等に評価する姿勢と、不安定な経済状況の中で忙しく働く両親の姿を見て培った思いやりの気持ちを持っているため、個性を尊重し、人に尽くすことを喜びとする世代だと言われています。また、スマートフォンやSNS等で交流することを大切に考える世代、言い換えれば「WEBコミュニケーション能力の高い世代」と言えるでしょう。
チームプレーが得意で、共感を求める世代。
では、つくし世代を企業の戦力として活かしていくにはどうすればよいでしょうか。
①「みんなでハッピー」を求める世代
自分だけが成功、は求めておらず、みんなで一緒に成功したいと願いのがつくし世代の特徴。チームで行動する際は、持っている以上の能力を発揮します。
②権威に支配されることを嫌う世代
自分と同じ目線で引っ張ってくれるリーダーを熱望する反面、上から目線での指導ではやる気を引き出せません。「黙って背中についてこい」は、通用しないと考えましょう。
③何かを話す際には否定から入らず、「共感」から
不安定な世の中で育ってきたこの世代は、相手が自分の味方であるか否かがとても重要です。「一緒に頑張っていこう」と声をかけてあげることで、信頼関係が生まれます。
④単なる指示ではなく、理由の説明を添えて
マニュアル型で合理的なこの世代は、単なる指示だけでは納得しない反面、理由をしっかりと説明し、納得すればとことん頑張る世代でもあります。そして、できた時は必ず褒めましょう。
⑤イベント・サプライズ好きな性格を活かして
相手をハッピーにさせたり、仲間を楽しませるのが大好きなつくし世代。社内のコミュニケーションの活性化を任せてみると、これまでにない案を出してくれるかもしれません。
ある程度年齢を重ねると、「最近の若い奴は・・・」とついつい言ってしまいがちですが、そう言っている方も、若い頃は同じことを言われていたはずです。時代が目まぐるしく変わる中で、若い世代の特徴や価値観が変化するのは当然、と前向きに捉えていただき、この記事が若手人材の活かし方をお考えいただくきっかけになれば幸いです。
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