経験者採用とは?既卒・中途採用との違いや成功のコツを解説
公開日:2026.04.30

学生優位の売り手市場が続き、新卒学生の採用が難しくなっている今、経験者採用に注力する企業も増えてきています。働いた経験のある人材を採用することで、即戦力を確保できるだけでなく、人材育成コストの削減も期待できるでしょう。
本記事では、経験者採用と他の採用との違いやメリット・デメリットについて解説します。実際に経験者採用を進めていく流れやチェックポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
経験者採用とは?

経験者採用とは、就業経験や実績が豊富な人材を採用することです。
特定の職務や職種についての経験が問われるというよりは、「社会人としての経験」がある方全般を対象としていることが一般的です。特定の業務の経験者を採用する場合には、「〇〇の経験者求む」のように具体的に表記し、応募者を混乱させないように注意しましょう。
中途採用との違い
中途採用と経験者採用は、同じ意味で使われるのが一般的です。2022年11月、経団連は従来使われてきた「中途採用」という呼称を「経験者採用」に改め、会員企業にも呼び掛けていく方針を明らかにしました。
その理由としては、「中途」という言葉にネガティブなニュアンスがあると感じる人もいること、さらに「学校を卒業して入社した企業で定年退職時まで働く」といった風潮が変化し、より自分に適した職場や働き方を求めて転職するスタイルが一般化したことが挙げられます。
また、マイナスイメージもある「中途」という言葉を使わないようにすることで、円滑な人材確保につなげる狙いもあります。採用市場が活性化すれば、企業は必要な人材を必要時に確保しやすくなり、事業拡大のチャンスを逃しにくくなるでしょう。経験者採用のミスマッチ対策については、次の記事で詳しく解説しています。
社会人採用との違い
社会人採用も中途採用と同じ意味で使われるのが一般的です。一度でも勤務した経験がある方を対象とした採用に使われます。学校卒業後、留学やフリーランスとして活動していた「社会人未経験者」とは区別する意味で使われることもあります。
キャリア採用との違い
キャリアには「経験」や「職歴」といった意味があるため、キャリア採用というと即戦力を求めるニュアンスが含まれます。単に社会人としての経験があるだけでなく、対象となる職種や業種の経験がある人材を募集するときには、キャリア採用という言葉を用いることがあります。キャリア採用の成功のポイントについては、次の記事をご覧ください。
既卒採用との違い
既卒採用とは、学校を卒業したけれども社会人経験がない人も採用対象とする場合に用いられる言葉です。社会人未経験者を含める場合には「未経験者可」、社会人経験のある人に限定したいときは「経験者採用」、特定の経験・職歴を求める場合には「キャリア採用」と明記するほうが、募集側と応募側の齟齬をなくせるでしょう。
新卒採用との違い
新卒採用とは、学校を卒業する人を対象とした言葉です。新卒採用以外の採用は通年実施することが多いですが、新卒採用は一括採用かつ特定の時期のみ実施するのが一般的です。
新卒採用では、選考過程が長くなる傾向にあります。中途採用・経験者採用との違いや注意点については、次の記事をご覧ください。
通年採用との違い
通年採用とは、1年を通して採用活動を実施することです。海外や外資系企業では一般的な手法ですが、日本では一括採用がメインだったため、あまり使われていませんでした。
しかし、近年では経験者採用やキャリア採用のニーズが増大していること、留学や留年により、4月の入社が難しい学生も多いことなどから、通年採用を実施する企業も増えています。また、内定辞退者や短期間での離職者に対応するために、通年採用を導入するケースもあります。
経験者採用を実施するメリット

経験者採用を実施することには、次のメリットがあります。
- 即戦力を確保できる
- 人材育成のコストを削減できる
- 企業内の問題解決につながる
- 生産性が向上する
- 既存社員の成長を期待できる
それぞれのメリットについて見ていきましょう。
即戦力を確保できる
社会人の経験がある人をターゲットにすれば、基礎的なマナーやパソコンの扱い方といった初歩的な内容を教える必要がなく、新卒社員よりも短期間で現場を任せられます。即戦力が必要なときには、経験者採用はよい選択肢といえるでしょう。
また、専門性が高い業務に従事する人材を求めている場合には、募集する際に業務内容を明らかにしておくことで、即戦力を確保しやすくなります。即戦力の見極め方については、次の記事もチェックしてみてください。
人材育成のコストを削減できる
経験者採用では、すでにスキルを身に付けている人もターゲットとなるため、人材育成にかかる時間の削減につながります。習得までに時間のかかるスキルなら、経験者採用で育成時間の大幅な短縮を図れるでしょう。
また、人材育成にはコストもかかります。社内外の研修やセミナーにかかる費用負担が重いと感じている企業も、経験者採用を検討してみてはいかがでしょうか。
企業内の問題解決につながる
企業内に特定の問題があるときは、問題解決につながる人材にターゲットを絞って採用することも可能です。社会人経験のある人材なら、該当のトラブルに対応した経験を有しているかもしれません。採用面接で深掘りし、必要な人材かどうかチェックしましょう。
生産性が向上する
即戦力となる人材を確保すれば、生産効率の向上が期待できます。特に少数精鋭体制で活動を進めていきたい事業所なら、業務に不慣れな人材を採用するより経験者を採用するほうがよいでしょう。
既存社員の成長が期待できる
社会人経験のない人材が職場に配属されると、既存社員が教育する必要が生じることで一時的に業務が停滞するリスクがあります。
一方で、スキルや経験のある人材が加われば、業務が停滞せずに進むだけでなく、既存社員が刺激を受けてより熱心に仕事に取り組むようになったり、社会人としての姿勢や考え方が成長したりするかもしれません。
経験者採用のデメリット・注意点

経験者採用には多くのメリットがありますが、いくつか注意すべき点もあります。特に次の点には注意が必要です。
- 人件費が高くなることがある
- 伸びしろが少ない傾向にある
- 柔軟性に欠けることがある
それぞれの注意点を解説します。
人件費が高くなることがある
優れたスキルや経験を有する人材を雇用する場合、能力に見合った給与を支払うことで人件費が高くなる可能性があります。また、「前社よりも高い給与を受け取りたい」と考えている応募者も少なくないため、給与を低く設定すると採用が難しくなる点にも注意が必要です。
伸びしろが少ない傾向がある
新卒採用ではポテンシャルに注目して採用活動を進めていきますが、経験者採用では主に今までの経験や保有するスキルに注目するため、ポテンシャルをうまく測れない可能性があります。現状では問題がなくても、伸びしろが少なく成長を期待しにくいかもしれません。
伸びしろのある人材を確保するためにも、選考過程ではポテンシャルや人柄にも注目するようにしましょう。
柔軟性に欠けることがある
社会人経験を有する人材は、前の企業でのやり方や考え方が染み付き、柔軟性に欠けることがあります。自社の風土や仕事の進め方と合わず、周囲とのトラブルを生む可能性もあるため、選考過程で性格の柔軟性もチェックしておきましょう。
経験者採用の流れ

経験者採用は、次の流れで進めていきます。
- 採用と経営計画を照らし合わせる
- 採用担当・採用目標を決める
- 採用要件・ペルソナを設定する
- 採用手法を決める
- 選考の流れを決める
- 募集開始
- 書類選考通過者の面接を行う
- 内定後のフォロー
順を追って解説します。なお、各ステップのチェックポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
1.採用と経営計画を照らし合わせる
経営資源としてのヒトとカネに注目し、採用活動を進めていきましょう。
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経営資源の「ヒト」 |
経営資源の「カネ」 |
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従業員の数と質を洗い出し、どの程度の人件費をかけられるのか計算して不足分を補っていきます。
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チェックポイント
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2.採用担当・採用目標を決める
採用担当者を決めます。担当者を決定した後で、経営計画と照らし合わせて採用目標を決めましょう。どのような人材を採用するのか、何人か、採用費はどの程度かけるのか詳しく決めます。
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チェックポイント
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3.採用要件・ペルソナを設定する
経験者として採用する人材の要件とペルソナを決定します。次のポイントに注目して、ペルソナを設定しましょう。
- 複数のパターンを用意する(部署ごとに2~3パターン)
- 個人の主観に頼りすぎない(経営陣や採用担当者、部署の社員、専門家などの意見を取り入れる)
- 細かく設定しすぎない(現実とかけ離れていないことが大切)
採用要件に優先順位を設けておくと、適切な人材を見つけやすくなります。
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チェックポイント
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ペルソナについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
4.採用手法を決める
採用手法を決めましょう。主な手法は以下をご覧ください。
- 転職サイト
- ダイレクトリクルーティングサイト
- 転職イベント
- ヘッドハンティング
- ハローワークの求人広告
- オウンドメディアの求人広告
採用にかけられる予算内で、目的や採用したい人材に合った採用手法を選びましょう。
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チェックポイント
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5.選考の流れを決める
一般的な経験者採用の流れは以下をご覧ください。
- 応募獲得
- 書類選考
- 面接
- 面接結果の通知
採用の流れを確立した後で、募集を始めます。
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チェックポイント
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6.募集開始
求人広告に記載する内容を決め、転職サイトやダイレクトリクルーティングサイトなどのさまざまな媒体で募集をかけます。インターネットを利用しない層にアプローチするためにも、求人情報誌やフリーペーパーなどの紙媒体の利用も検討してみましょう。
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チェックポイント
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7.書類選考通過者の面接を行う
書類審査に通過した応募者の面接に進みます。応募者としっかりと会話をし、次のポイントも含めて人柄やスキルを探りましょう。
- 社風に合うか
- 自社のビジョンに共感しているか
- 仕事内容に必要なスキルを有しているか
面接は最大でも2回程度が目安です。応募者は現職で働いている場合が多く、他社の選考も並行して受けている可能性もあるため、選考期間が10日前後に収まるようにしましょう。
8.内定後のフォロー
内定者が不安を感じずに過ごせるよう、採用決定後は定期的にフォローを実施しましょう。例えば、こまめに連絡をとり、疑問点や要望をヒアリングしたり、面談を実施して入社後の役割や業務内容を説明したりすることが必要です。
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チェックポイント
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経験者採用を成功させるコツ

経験者採用において必要な人材を確保するためのコツを紹介します。
経験者採用では短期間で適切な人材を見つけることが求められます。ぜひ紹介するコツも参考に、効率よく採用活動を進めてください。
会社説明会を開催する
応募者が企業について深く理解していると、ミスマッチが起こりにくくなります。できれば複数回は会社説明会を開催しましょう。また、オンラインでも開催することで、忙しい方や遠方にお住まいの方もターゲットにできます。
カジュアル面談を実施する
カジュアル面談とは、求職者と企業がお互いに理解を深めるための面談です。選考には影響しないカジュアルな機会で、選考過程が進む前の求職者の不安を軽減する役割もあります。
また、企業にとっては自社をアピールできるだけでなく、採用後のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。会社説明会や書類選考完了、最終面接前のタイミングなどに実施してみてはいかがでしょうか。
待遇面を充実させる
待遇のよさは定着率にも影響を及ぼします。競合他社の待遇もチェックし、経営計画と照らし合わせて可能な限り充実させるようにしましょう。また、カジュアル面談で待遇面についての希望を直接聞くのも一つの方法です。
求める人材像を明確にする
求める人材像を明確にし、会社説明会やホームページ、求人広告で公開しましょう。ミスマッチを減らし、内定辞退者や早期離職者を減らせます。
人物像は、現実と乖離しないように設定しましょう。また、経営陣の意見だけでなく、採用担当者や現場の声も反映させることが必要です。
スキルだけでなく人柄も確認する
経験者採用では人材の経験やスキルに注目しがちです。もちろん経験・スキルは重要ですが、人柄にも注目するようにしてください。
人柄にも注目することで、会社との親和性が高く、早期離職しにくい人材が見つかりやすくなります。また、既存社員にポジティブな影響を与えるかどうかもチェックしましょう。
複数の採用手法を活用する
広く人材を確保するためにも、複数の採用方法を活用しましょう。手法ごとの特徴を理解しておくと、自社に合うものを選びやすくなります。
ただし、あまりにも多くの採用方法を利用すると、コストが割高になるだけでなく、採用活動にかかる労力が増える点に注意が必要です。管理可能な程度に絞り込むようにしてください。
転職エージェントの活用
転職エージェントとは、企業と人材を直接結びつけるサービスです。求める人材のスキルや人物像などを登録しておくと、転職エージェントが適切な人材を選んで紹介してくれます。ミスマッチが少ないというメリットがありますが、エージェントごとに登録者のタイプが異なるため、自社に合ったエージェントを選ぶことが必要です。
転職サイトへの掲載
転職サイトとは、求人広告を掲載するサイトです。大手の転職サイトなら多くの求職者の目に留まるため、広くアピールできるというメリットがあります。条件や求める人材像を詳しく記載することで、ミスマッチを回避しやすくなります。
ダイレクトリクルーティングの利用
ダイレクトリクルーティングとは、スカウトメールなどを利用して適切な人材に直接アプローチする手法です。求職者を多くプールするダイレクトリクルーティングサイトを活用すると、人材を見つけやすくなります。
事例やメリット、デメリットについては次の記事をご覧ください。
経験者採用はRe就活30にご相談ください

経験者採用を成功させるためにも、求める人材のペルソナや選考フローを丁寧に設定することが大切です。また、経験者採用の専門家に相談することでも、成功率を高められます。
Re就活30は、年収600万円以上の若手ハイキャリア人材に特化したダイレクトリクルーティングサイトです。採用成功率を高めるスカウト機能と、豊富な登録者データで貴社の採用活動を強力にサポートします。ぜひお気軽にご相談ください。

株式会社学情 エグゼクティブアドバイザー(元・朝日新聞社 あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)編集長)
1986年早稲田大学政治経済学部卒、朝日新聞社入社。政治部記者や採用担当部長などを経て、「あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)」編集長を10年間務める。「就活ニュースペーパーby朝日新聞」で発信したニュース解説や就活コラムは1000本超、「人事のホンネ」などでインタビューした人気企業はのべ130社にのぼる。2023年6月から現職。大学などでの講義・講演多数。YouTube「あさがくナビ就活チャンネル」にも多数出演。国家資格・キャリアコンサルタント。著書に『最強の業界・企業研究ナビ』(朝日新聞出版)。