

企業の動向
最終局面の26卒、内定者フォロー強化 27卒は早期の接点がカギ
2026年卒の就職市場は、多くの企業が内定式を開いた10月1日を過ぎ、最終局面に入っている。内定式直前の辞退者が多かったのは例年通りだが、中には内定式後も決めきれずに複数社の内定を保有している学生もおり、引き続き辞退の懸念を抱え続ける企業も多い。
そこで重要性が増しているのが内定者フォローだ。具体的施策としては、個別面談、先輩社員との交流会に加え、SNSや専用アプリでの情報発信、内定者同士のグループチャットや交流イベントなどのコンテンツを強化する企業が増えている。ある中堅メーカーでは、メンター制度を新たに取り入れて入社前から若手社員との面談を実施したところ、内定辞退率が前年の同時期より15%ほど低下したという。学生からは「会社の雰囲気がわかり、入社の不安が減った」という声が上がっており、心理的不安を解消しようとする試みが入社意欲の向上につながった。内定者フォロー強化が辞退抑制に直結した例だ。
一方、27年卒では、インターンシップ等を通じた早期接点形成で学生の企業研究意欲が高まっており、9月の合同企業セミナーに参加した学生からは「今まで漠然と考えていた業界研究ではなく、企業研究をしていきたい」との声が聞かれた。
夏前から動き出していた学生の選考参加意欲も高い。学情の26年卒学生の調査では、最初に面接を受けた時期について「3年生の10月以前」と回答した学生が30.7%に上ったが、今年もすでに多くの学生がインターンシップ等からの早期選考による面接を経験しているとみられる。秋に向けて、さらなる接点強化が各企業の採用の成否を左右しそうだ。
(フィールドセールス本部 武川 悠己)
学生の動向
「自己PRが苦手」など不安や進路の悩み多様に 大学は個別相談強化
2026年3月卒業予定の学生の就職活動は、前年と同程度の高い内定率で推移し終盤戦に入っているが、10月の内定式後も複数の内定を持ちながら活動を続けている学生も一定数見受けられる。こうした学生には、企業規模や知名度よりも希望の業界や職種へのこだわりが強い傾向がある。各大学のキャリアセンターでは個別相談や学内企業説明会等を通じて学生への継続的なフォローを実施している。学生一人ひとりの状況に応じた支援が求められる中、その役割はますます重要になってきている。
一方、27年卒業予定の学生は、8~9月を通じてインターンシップの“実践フェーズ”に突入し昨年以上に多くの学生が参加したとみられる。ただ、グループディスカッションやグループワークでの自己PRや発表で、「うまく話せない」「意見が出せない」「緊張して黙ってしまう」といった苦手意識を持つ学生が多く見られ、実際の業務体験や企業との接点を通じて、より現実的・具体的な課題や不安が表面化しているようだ。志望業界の選定や自己理解の深まりとともに、進路に対する悩みも多様化しているのが今年の特徴だ。
大学では10月から後期授業が本格的に始まるとともに、秋冬のインターンシップ等に向けた業界・企業研究イベントの開催も盛んに。一部の大学では翌年の2~3月に開催していた学内合説を秋学期へ前倒しする対応も見られる。キャリアセンターでは個別相談の充実や、学生のニーズに応じた情報提供を通じてサポート体制を強化しているが、今後は学生の主体的な行動を促す支援が鍵となると考えられる。
(キャリアサポート部 井口 和久)
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