

企業の動向
早期内々定出しの勢い鈍る 27卒は情報開示時期と質+関係維持がカギ
2026年卒採用は6月1日、いよいよ政府が呼びかける就活ルールの選考解禁日を迎えた。しかし学情の内々定率調査によると、解禁直前の5月末時点で51.8%の学生が既に内々定を得て就職活動を終了しており、就活ルールの形骸化が改めて浮き彫りとなった。内々定率は80.1%と依然高い数値だったものの、前年同時期の81.3%を下回った。ここに来て、早期内々定出しの勢いは落ち着きを見せ始めた。
教育業界で毎年100人規模の採用を目指す企業の採用担当者は、夏休み期間中に実施したインターンシップ経由で前年より多くの学生に早期内々定を出したが、多くの承諾保留や辞退者を抱えているという。この現状を踏まえ、26年卒採用を継続するかどうかの検討に加えて、通年採用への方針転換など新たな採用手法の導入を余儀なくされている。
一方、27年卒採用では、夏のインターンシップやオープン・カンパニーに向けた各企業の動きが本格化している。ある中堅食品商社は例年夏以降に開始していた採用活動の広報を前倒しし、4月から情報発信を行うとともに、全国各地で開催される合同企業セミナーに積極的に参加した。その結果、前年は夏秋に実施した同規模のイベントと比べて着座数が150%に増加し、早期母集団形成に成功した。さらに、LINE等を活用した学生とのコミュニケーション強化策により、インターンシップ等への移行率は60%と前年を上回る数値を記録し、効果を実感している。
今後、早期化がますます進む中で企業に求められるのは、情報開示のタイミングと質の向上、その後のコミュニケーションおよびエンゲージメントの維持に注力することであろう。
(フィールドセールス本部 今泉 佑太)
学生の動向
オワハラ的企業への対応苦慮 27卒向けイベント参加者減に大学は危機感
2026年卒業予定の学生の就職活動は全体として順調に進んでいる様子がうかがえる。大学のキャリアセンターへの相談件数は、面接対策などを中心に依然として多い。5月に多くの企業で選考結果が出揃ったことから、内々定を得た学生からの就職先の決定に関する相談や、承諾書・誓約書などの提出書類に関する問い合わせが急増。提出期限が極端に短く、学生に強い圧力をかける“オワハラ”的な企業も一部に見受けられ、学生や大学は難しい対応を迫られている。
学情の5月末時点の内々定率調査では、就活を終えた学生が早くも5割を超えたが、「まだ就職活動をしていない」学生が前年同時期の倍の3.0%いた。この種のアンケートでは積極的に動く学生ほど回答する率が高い傾向があることを考えると実態はもっと多い可能性もあり、大学にとってはこうした学生をいかに就職活動へ促すかが喫緊の課題となっている。
27年卒予定の学生は、インターンシップやオープン・カンパニーへのエントリーや選考準備に追われている。大学には、夏休みに実施されるインターンシップ等に関する情報が企業から多数寄せられ、学生に向けて掲示や告知が行われている。ただ、中には10月以降の平日昼間の授業時間内に実施されるプログラムもあり、告知が難しいケースも。企業に対して理解を求める場面も出てきている。
5月下旬からは学内で業界研究会などのイベントが開催されているが、参加者数は前年よりやや減少傾向にあり、各大学では危機感を募らせている。ガイダンスや支援講座への参加率も同様に減少しており、今後の支援内容の見直しを検討する大学も出始めている。
(キャリアサポート部 江村 朋裕)
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