企業の動向
目立つインターンシップ等の応募者減、内容見直し応募増の例も
企業業績の回復や人手不足で「売り手市場」が加速している新卒採用。2026年卒採用はインターンシップやオープン・カンパニーが活況だが、企業が期待する成果を得られていない現実も浮き彫りになっている。26年卒向け主要就職情報サイトでは、掲載する求人コース数が全サイトで25年卒向けの100%以上と増加傾向にある。学生の選択肢は広がる一方、企業側の競争は激化している。ある大手IT企業では、インターンシップなどへの応募者数が昨年同時期と比べて30%減少。大手物流企業では減少幅が40%に達している。そんな中、インターンシップ等のコンテンツを見直し、受付時期も3年生の8月から6月に前倒ししたレジャー企業では、10月末時点の応募数が前年の2倍に伸びた。広報のタイミングやコンテンツが新卒戦略においていかに重要かがわかる。
なお続く25年卒採用では、多くの企業で当初計画の採用数を確保できていない状況だ。10月の内定式を終え新卒学生の活動は一層限られてくる中、来年4月入社者の確保に向けて第二新卒採用に力を入れる動きが広がってきた。学情が運営する20代の転職・就職サイト「Re就活」の引き合いでも、「経験者採用」より「新卒採用の補填」としての問い合わせが増える傾向にある。想定を大きく上回る応募数減少と内定辞退に見舞われた中堅IT企業は、8月から急遽第二新卒採用を実施し、既に5名の内定を決めた。26卒採用では新卒とキャリア採用に加えて、まだ比較的ブルーオーシャンといえる「第二新卒」の採用枠を新たに設けて年間採用予定数を確保する計画を立てている。
(フィールドセールス本部 行平 清二)
学生の動向
「早期選考」「早期内々定」の相談増える
大学の後期日程も中盤に差しかかるなか、各大学のキャリアセンターでは2026卒生からの相談が増えてきている。とくに「早期選考」「早期内々定」に関する相談が多くなっているようだ。夏のインターンシップやオープン・カンパニーに参加した後、昨年よりも早いこの時期から業種・企業を絞って早期選考に臨む学生が多く、一部の業界ではすでに早期の内々定も出始めている。この流れを受けて、各大学では模擬面接・グループディスカッションや、企業と接触を図る行事を増やしている。一方、まだ就活を始めていない学生が早期から活動している学生の動向を知り、「自分はもう遅れをとっているのではないか」と焦燥感に駆られて相談に来るケースも増えたという。学情が10月に開いた「就職博インターンシップ&キャリア編」でも、夏のインターンシップやオープン・カンパニーに2~3社参加したという学生から、「早期選考の案内が来ない」「業界・企業が自分にマッチしている感じがしない」といった声が聞かれた。大学内のキャリア支援行事では、少数だが27卒生の参加もみられる。低学年対象のガイダンス実施を検討する大学も徐々に増えつつある。
25卒生に関しては、残りわずかな未内定学生の動向をキャリアセンターが追いかけるフェーズに入っている。学生の就職活動開始時期は昨年より格段に早まったものの、この時期の未内定者の割合は大きく変わっていない。ほとんどの大学が電話などで個別にコミュニケーションをとる態勢で未内定者のサポートを行っている。
(キャリアサポート部 吉野 大地)
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