企業の動向
7月に入り、大手企業もある程度内々定を出し終え、2024年卒採用もいよいよ本格的に第2ラウンドに突入した。現状は業界や規模を問わず、多くの企業において採用予定人数に達するだけの内々定出しや承諾には至っておらず、採用活動継続を余儀なくされている。6月中~下旬時点の数字にはなるが、学情が実施した人事担当者対象の調査によると、2024年卒採用を継続している企業は実に85.5%に達する。昨年度比で10ポイント以上上回る水準だ。ある大手小売業の人事担当者によれば、6月末頃から急激に内々定辞退の連絡が増え始めたという。6月末を内々定の承諾期限を設ける企業が多かったと考えられるが、内々定辞退の続出も採用活動継続に拍車をかけている。2024年卒採用はなかなか終わりを見通せない状況が続いている。
一方、6月1日より2025年卒学生対象のインターンシップやオープン・カンパニーの広報活動が本格的にスタートした。あさがくナビを始め、各ナビサイトでの情報掲載数も軒並み増加傾向にあり、昨年を上回る賑わいを見せている。ある食品メーカーの人事担当者は「2024年卒採用を振り返る中、昨年と比べとりわけ3月以降、学生のプレエントリーの動きが極端に鈍くなり母集団形成に苦労した。そのため次年度に関しては可能な限り早めに動き出したい」と語気を強める。「採用広報解禁となる3年生の3月から採用活動をしたのでは、到底、採用予定数には到達できない」年々インターンシップ等の広報開始や開催時期が早まっているが、そこには人事担当者のそんな切実な思いが込められていると言えよう。
(フィールドセールス本部 濱本 陽介)
学生の動向および学生を取り巻く就職環境について
2024年卒学生の就職活動は早期化に拍車がかかっている。学情調査によると6月末時点での内々定率は84.4%で、昨年を5.6ポイント上回る結果となった。その反面、学生の活動量は例年よりも低下。学生一人当たりの内々定の獲得数は昨年に及ばず、各大学のキャリアセンター担当者も「選考受験企業が少ない」と口をそろえる。中でも、2024年卒学生に特徴的なのが「選考中の1社が不採用にならない限り、新たな企業にはエントリーしない」という傾向だ。企業選びや選考を慎重に進める様子のみならず、「最低限の活動で就職活動を終わらせたい」という意図も推察される。内々定辞退に関する相談も増加している。中には内々定を獲得したものの、企業研究を十分に行わず選考に臨んだために「本当にこの内々定先でよいのか」と不安を抱き、就職活動再開に踏み切った学生もいるという。6月に開催された合同企業セミナー「就職博」には就職活動を始めたばかりの学生の来場も多く、活動開始に出遅れた層にも活発化の兆しが見られた。
6月に入りインターンシップ等の募集が本格的にスタートし、2025年卒学生の動きも活発化している。6月の学情主催イベント「スーパービジネスフォーラム」は様々な地区で昨年同時期を上回る来場を記録し、学生のインターンシップやオープン・カンパニーに対する高い関心がうかがえた。ただ、夏のインターンシップでは参加者を選抜する企業も少なくない。昨年は秋頃から学生の動きが鈍化し、業界研究に取り組めていないケースも目立った。選考に受からずやる気をなくし、そのまま就活本番に突入…となるとリカバリーが難しい環境でもある。そうした学生への継続的なフォローも重要になりそうだ。
(キャリアサポート部 松井 健悟)
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