企業の動向
2024年卒採用について、各企業は3月の採用広報解禁を待たずに早期接触した学生への選考・内々定出しを進めている。弊社の調査によると、1月末時点での内々定率は21.9%で昨年同時期を2.5ポイント上回った。選考の早期化が顕著に現れる一方で、各社の母集団形成状況は昨年の約1~3割減という声が多く、振るわない。今年度はインターンシップの実施頻度が全体的に高いため、企業間で母集団が分散しているのだろう。それに加えて、新型コロナウイルスの分類が「5類」に引き下げられることが決定するなど行動制限の緩和も進み、コロナ禍で大きな影響を受けたサービス系業種(航空・宿泊関連等)も採用予定数を増加させている。こうした複合的な要因から、学生獲得競争は激化する一方だ。また、母集団形成と並んで内々定者フォローの重要度も高い。2024年卒学生を対象とした弊社調査によると、内々定後に企業から受けたフォロー対応としては「人事担当とのオンライン面談」が最も多く、そこに「先輩社員とのオンライン面談」「オンライン懇親会」が続いた。採用の各場面で対面回帰が広がってきてはいるが、引き続き対面・オンラインによる二段構えでの対応が主流と言える。
一方、2025年卒学生に向けたインターンシップの早期計画も進められている。三省合意によるルール改訂が適用される初年度であり、インターンシップと選考の関わりがより密接になるため、コンテンツ作りにはこれまで以上に周到な準備が求められるだろう。並行する2024年卒採用との力配分をどうするかなど、各社は難しい判断を迫られることになりそうだ。
(フィールドセールス本部 津﨑 宏昌)
学生の動向および学生を取り巻く就職環境について
2024年卒学生について、学内での学生の動きは沈滞ムードである。「企業を招致した業界研究セミナーを開催しているが、参加学生が激減している」「就職ガイダンスの参加者が非常に少ない」。多くの大学から聞こえてくるのはこうした声ばかりである。ある首都圏私立大学の担当者は、「1~2年次がオンライン授業主体だったので、現3年生の多くはキャリアセンター・就職課など大学の事務組織をそもそも認識していないのでは。情報をきちんと掴めている学生だけが就職支援のリピーターになっているようだ」と話す。その他、「最近の相談内容で圧倒的に多いのは、インターンシップ参加企業に提出するエントリーシートの添削依頼だ」という声も目立つ。2月5日に東京で開催された弊社「就職博 就活準備編」でも、相談コーナーでの相談内容はエントリーシート添削が多くを占めた。もっとも「就職活動の波に乗れず、インターンシップ未参加のまま、これからようやく動き出す学生も一定数いそう」という懸念の声も。今年も、就職活動を着々と進める学生と、まだこれからという学生の二極化は加速しそうだ。
一方、各大学では、2025年卒学生の支援に関する計画が大詰めの時期を迎えている。インターンシップのあり方の変化が議論の中心に据えられるが、「学事日程は変わらないので、検討した結果、インターンシップ・就職支援行事は、従来のままで行く」という声も。ほか、「早期化が進みそうなので、各種支援行事を少し前倒しする」「大学経由のインターンシップ(タイプ2:キャリア教育)が減らないか心配」といった声も聞かれる。しばらく試行錯誤が続きそうな状況だ。
(キャリアサポート部 東 修三)
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