通年採用とは?
意味やメリット・デメリット、
導入方法と成功させるポイント

通年採用とは、企業が時期を決めずに年間を通して行う採用活動のことです。新卒一括採用における課題や求職者の多様化などの理由から、実施する企業が増えています。

目次

「通年採用」とは:年間を通して行う採用活動のこと

新卒一括採用の課題と通年採用が始まった背景

通年採用におけるメリット

通年採用におけるデメリット

通年採用をこれから導入するには

通年採用の具体的な実施方法は企業によってさまざま

通年採用を成功させるポイント:通年で門戸を開くとともに対象の枠を広げる

従来の一括採用では対象ではなかった年齢も対象にする

まとめ:通年採用にシフトする企業は今後も増え続けると考えられる

「通年採用」とは:年間を通して行う採用活動のこと

「通年採用」とは、漢字の通り、間をして行う採用活動のことです。

言葉の定義

採用手法のひとつで、ほかの採用手法には「新卒一括採用」があります。

「一括採用」は新卒に限って使われることが多い言葉ですが、「通年採用」は新卒採用と経験者採用、どちらのシーンでも使われます。
なぜなら、経験者採用ではもともと決まった時期に一斉に大勢を採用するという手法はあまりとられず、通年採用であることが多いためです。

新卒一括採用との違い

新卒一括採用とは採用活動の募集期間が異なります。
通年採用 新卒一括採用
年間を通して採用活動を行う 決まった時期に一斉に選考・採用を行う

今まで一般的とされていた新卒一括採用は、3月に広報活動(会社説明会など)、6月に選考活動(面接など)が解禁と、決められた時期に一斉に採用活動を行うものでした。

これは、経団連の「採用選考に関する指針」に基づいたもので、学生の本分である学業を就職活動が妨げないように設定されました。

この指針は2021年卒業生対象の採用活動からは廃止され、現在は政府主導のルールに切り替わっていますが、従来の解禁時期から大きな変更はありません。そのため、新卒一括採用を行う場合は、先述の解禁時期に従って採用活動を行うことになります。

新卒一括採用の課題と通年採用が始まった背景

今までの新卒採用シーンでは、一括で選考・採用活動を行うのがメインの方法でした。
この記事を読んでいる方も、ご自身が学生のころはそうだったという方が多いのではないでしょうか。

しかし、近年は通年採用を実施する企業が増加傾向にあります。

従来の一括採用では採用目標人数に届かない

少子化による人材不足や学生優位の「売り手市場」の影響により、企業が新卒採用で目標人数を達成することは年々困難になっています。

一括採用では、多くの企業が同じタイミングで学生にアプローチをかけるため、有名企業や大手企業に学生の注目が集まり、そのほかの企業は魅力を伝えづらいということも考えられます。

また、内定辞退が一定数発生することも原因の一つです。これは、学生が複数の企業の内定を持っている状態で就職活動を終え、最終的に最も魅力的な企業を選んでそのほかの会社には内定辞退を行う、というケースが増えているためです。

強まる早期化・長期化の傾向

これに対策し、早いうちから優秀な学生との接点を持とうと、全体的に採用活動のスタートが早期化しています。

この傾向は、近年、より顕著になっており、2024年卒学生の4月度の内々定率(3月末時点)は「49.3%」で、前年同時期の内々定率である「35.0%」より14.3ポイント上昇しました。(参考:『2024年卒 内々定率調査 2023年4月度』

要因は、採用競争が激化するなか、優秀な学生を早く確保したい企業側と、希望する企業から内定を得るために早期から積極的に就職活動を行う学生側の、双方にありそうです。

また、実質的な開始時期は早まっているものの、学生から内定の承諾を得る時期は大きく変わらないため、採用活動が長期化する傾向も強まっています。同時に、企業が想定より多くの内定辞退を受けた場合、本来予定していなかった時期に採用活動を再開せざるを得なくなり、長期化に繋がるケースもあるようです。

年間で複数回選考活動を行い、通年で窓口を開く

年々強まる早期化・長期化傾向に対応するための戦略が通年採用とも言えるでしょう。
早期化・長期化への対応 ⇒ 通年化
年間で複数回の選考を開くことで通年採用としている企業や、実際に常に門戸を開いており、応募があり次第、随時選考を行う企業、そのほかにも、一度選考で不合格となっても、何度も再チャレンジできる制度を設ける企業などがあります。

通年採用におけるメリット

企業側のメリット

通年採用を実施することで、より多様な学生と余裕をもったスケジュールで出会うことができます。

多様な人材と接触できる

新卒一括採用では、学生側も決められた期間内で優先順位をつけて活動するため、必然的に企業が学生と接点を持てる数は限られます。

その点、通年採用では、一括採用では採用活動を行わない時期にも活動を行うため、接触できる人数が増えるだけでなく、新卒一括採用では出会いにくかった多様な人材と出会える可能性が高まります。

たとえば、グローバル人材が例として挙げられます。
海外の大学は日本の大学と卒業時期が異なるため、通年採用を実施することで海外からの留学生や留学からの帰国者を採用する間口が広がります。

また、大学院の進学を目指していた学生や、司法試験に挑戦していた人、大学時代にボランティアなどの活動に注力していた学生など、専門性やバラエティ豊かな経験を持つ人材にアプローチすることも可能になります。

慎重な選考でミスマッチを防げる

新卒一括採用とは異なり時期が決められていないため、そのぶん慎重な選考を行うことができます。社風や会社方針などと応募者とのマッチ度を見極める余裕ができるでしょう。

内定辞退があっても柔軟に対応できる

学生から内定辞退の連絡があっても、通年採用であれば時期に縛られずに柔軟な補填計画を立てることができます。また、既卒・第二新卒を対象にした採用であれば、都度入社時期を設けて、内定~入社・戦力化までの期間を短縮することもできますし、人員計画の変更に合わせて機動的に採用人数・採用時期を設定することが可能です。

学生側のメリット

通年採用のメリットは学生側にもあります。

選択肢が広がる

新卒一括採用では、学生は限られた時間の中で複数社の検討を行わなければならないため、どうしても説明会や面接のバッティングが発生し、出会える企業の数が限定されてしまうことがあります。
通年採用では年間を通して複数回の選考が開催される、もしくは常に窓口が開かれているため、学生も多くの企業に応募できるようになります。

また、長期スパンでキャリアを考えるため、そのときの興味によって多種多様な業界を比較検討でき、選択肢を広げられるでしょう。企業にとっても興味を持ってもらえる学生の数が増えるといえます。

一社一社大切に進めることができる

選考の時期が分散するため、一社一社の準備に時間をかけることができます。業界・企業理解や自己分析が深まり、学生側も万全の状態で選考に臨むことができます。

通年採用におけるデメリット

通年採用にはメリットだけでなくデメリットもあります。実施する際はデメリットを踏まえて対策を行いましょう。

企業側のデメリット

採用担当に負荷がかかる

通年採用では、採用対象の枠が広がるため面接や選考などの回数が増えること、また、応募者数が増加することで、連絡・選考日程調整などの工数が増え、採用担当者の負担が増加する可能性があります。

特に、採用担当がほかの業務と兼務である場合は、業務量の調整を検討する必要があるかもしれません。

採用コストが高くなる

通年採用では新卒一括採用よりも長い期間求人広告などを出すケースが多いため、一般的に採用コストは高くなります。ただし、採用にかかる費用が一度に発生する新卒一括採用と比べ、長期的に分散されると考えることもできます。

一括採用の期間も力を入れなければいけない

新卒一括採用を実施している企業は従来通り決まった期間で集中的に採用活動を行うため、たとえ通年採用の戦略をとっていても、その期間にはより採用活動に注力する必要があります。
エネルギーを平等に年間に分散させながら採用活動を行っていると、訴求力不足で、競合他社に優秀な人材が集まってしまう事態が起こる可能性があるためです。

通年採用を実施する場合でも、学生のに動きや学事日程に合わせて、採用活動に緩急をつけることがカギになります。

学生側のデメリット

採用までの期間が長い可能性がある

通年採用ではより慎重な選考が行われるため、短期間で就職活動を終わらせたい学生にとってはデメリットになる可能性があります。

しかし、通年採用では一括採用の選考よりもじっくり学生と対話の機会を持てることでち、企業の目的と学生のやりたいことが合致するかなど、丁寧にマッチ度をを見極める傾向が強く、相互理解はより深まるでしょう。

より積極的な活動が必要

新卒一括採用では、学生は3月の採用広報活動解禁日に多くの企業の情報を入手することができますが、通年採用では企業によって採用スケジュールはまちまちであるため、自ら積極的に情報収集をしようとする姿勢が求められます。企業側も、学生が常に最新の情報を手に入れられる体制を整える必要があるでしょう。

通年採用をこれから導入するには

以上の背景やメリット・デメリットを踏まえてこれから通年採用を実施しようとしている企業の採用担当の方に向けて、導入の際のポイントをご紹介します。

明確な目的、目標を設定する

具体的にどのような人材を採用したいのかというペルソナや、「いつまでに・どの部署に・何人」採用すべきなのか、明確な目標設定が必要です。

採用環境を的確に把握する

新卒一括採用と通年採用では、採用環境が異なる可能性があります。
たとえば、今までも通年採用を実施してきた外資系の企業との競合や、優秀なグローバル人材の取り合いが発生することが考えられます。

採用競合の通年採用の実施動向や学生の傾向などの情報収集を行い、採用市場を広い視点で把握することが大切です。

学生を理解する

学生を理解することは選考・採用活動の質に影響します。

いま、「Z世代」と呼ばれる学生が就職先に求めるものは何か、重視するポイントや傾向を把握することが、本当に欲しい人材の採用を実現します。

[Z世代に響く採用方法を知りたい方はこちら]

AIをはじめとする効率の良い管理システム・ツールを利用

多くのナビサイトは新卒一括採用に対応しており、ピークが過ぎた秋冬になるとクローズしてしまうのが普通です。通年採用に向いているシステムやツールを利用し、効率良く採用を進めましょう。

例えば、企業から学生にスカウトメールを送るオファー型のサービス(AIからのレコメンド機能が付いているものもあります)や、LINEなどのチャットツールを利用した配信で、学生の管理工数・コミュニケーションコストを大幅に削減することが可能です。

通年採用の具体的な実施方法は企業によってさまざま

通年採用とひとくちに言っても企業によって実施方法はさまざまです。

年間で複数回の選考を開く

例えば春に1回・秋に1回や、春夏秋で1回ずつなど、年間で複数回の選考を行う方法です。

選考・入社がいつでもできる状態だと、採用や教育のタイミングが分散してコストが増えるというデメリットがありますが、選考時期を決めることによってこのコストを抑えることができます。

応募があり次第、随時選考を行う

文字通り通年で採用の窓口を開き、応募があり次第、随時選考を行う方法です。
学生が好きな時期に応募でき、主体性に任せる形になっています。

採用期間が広がっていつでも応募ができる分、学生との接点も増えるといえるでしょう。

対象の枠を大学1,2年次まで広げる

オープン・カンパニーなどのプログラムへの参加から、大学1,2年次から学生と接点を持つことで、採用の対象年次を広げる方法です。

早期から積極的に情報収集を行う優秀な学生との接点を増やすことができる一方、卒業までのフォロー期間が長くなるというデメリットもあります。

対象の枠を既卒や第二新卒、ヤングキャリア層まで広げる

新卒採用では一括採用の時期に則る一方、通年で中途採用も実施する、新卒だけにこだわらずに「新卒+既卒・第二新卒・ヤングキャリア層」の2軸で採用活動を行う方法です。

新卒採用だけでは採用目標人数の達成が難しいため、近年スタンダードになりつつあります。

通年採用を成功させるポイント:通年で門戸を開くとともに対象の枠を広げる

通年採用を実施する企業が増えている理由は、新卒一括採用の課題への対策として、採用対象の枠を広げるためと言えます。
ですが、実は枠を広げるベクトルには二方向あると考えられます。

ひとつは通年で窓口を開くことですが、もうひとつは、従来の新卒一括採用では対象ではなかった大学1,2年次の学生も対象にすることです。

従来の一括採用では対象ではなかった年齢も対象にする

通常、インターンシップなどへの参加から就職活動準備を始めるのは大学3年生ですが、その前の大学1・2年生の段階から自社や業界のことを知ってもらうイベントを開き、早いうちに学生と接点を持つと同時に、学生に長期スパンでキャリアを考えてもらうきっかけにします。

また、既卒も採用対象とし、新卒と2軸で採用活動を行う企業も増えています。
(2024年卒採用動向調査レポートより引用)
通年採用を実施する際には採用期間を広げるだけでなく、採用対象も広げることを検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ:通年採用にシフトする企業は今後も増え続けると考えられる

通年採用は、企業にとっても学生にとっても時間的・心理的な余裕が生まれ、より綿密で慎重な選考活動ができることが特徴です。
新卒採用による人員補充がだんだん難しくなる今、通年採用にシフトする企業は今後も増え続けると考えられます。

学情は「20代通年採用」を掲げており、「新卒」+「既卒・第二新卒・キャリア層」の2軸での採用活動をご提案することが可能です。

記事でご紹介したダイレクトスカウト機能・AIスカウト機能が実際に使えたり、LINEを活用したコミュニケーションツール「あさがくナビコミュニケーター」などの通年採用に強みをもった機能もございますので、ぜひ一度ご相談ください。

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