HR用語の基礎知識
年俸制とは、社員の成果や業績に応じて年単位で給与額を決める賃金制度のことです。給与額を決める際には、労使間で協議する時間が設けられます。協議の上で合意に至った場合、翌年の給与額が決まります。
給与の支払い方法は、企業ごとに決めることが可能です。ただし、1年分を一度にまとめて支払うことはできません。労働基準法第24条第2項では毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うこととされています。
そのため、月給制のように毎月支払わなければなりません。支払い方法は、企業によって異なり、12等分した金額を毎月支払うケースや、14等分した金額を毎月と年2回の賞与で支払うケースがあります。年俸制を導入している企業でも、基本的には月給制と同様に残業代が支払われます。労働基準法第三十二条の三の二では賃金制度に関わらず、法定労働時間を超えた労働時間に対し、割増賃金を支払わなければならないとされているからです。
※参考:e-Gov法令検索 労働基準法
しかし、年俸制では残業代の支払いを必要としないケースもあります。月給制の場合、時間外労働が残業代として給与に上乗せされるのが一般的です。一方、年俸制では、残業代が給与額に含まれるかは雇用契約書に記載されているかがポイントになります。
たとえば契約書に「給与額に1カ月の残業時間を含む」と記載されていれば、残業代は支払われません。
長らく月給制が一般的だった日本では、年俸制はまだそれほど普及していません。厚生労働省の「平成26年就労条件総合調査結果の概況」によると、年俸制を導入している企業は9.5%だったことがわかっています。
賃金形態 | 割合 | |
定額制 | 時間給 | 21.7% |
日給 | 16.2% | |
月給 | 94.0% | |
年俸制 | 9.5% | |
出来高払い | 定額制+出来高制 | 3.1% |
出来高制 | 1.8% | |
その他 | 0.4% |
※出典元:厚生労働省「平成26年就労条件総合調査結果の概況」
年俸制を導入している企業や職種には、次のような特徴があります。