HR用語の基礎知識
求職者が最終的に入社するか否かの判断は、面接で得た情報が大きく影響します。面接官とのやり取りを通じ、自分が企業で働くことを具体的にイメージします。面接官から会社の魅力が十分に伝わらなければ、優秀な人材の候補者を逃すかもしれません。
面接官は、いわば企業のイメージに直結する広告塔です。そのため、面接官は採用面接で自社の魅力をアピールすることも大切です。面接官は求職者にこの企業で働きたいと思ってもらえるよう、採用面接に臨む必要があります。
求職者の人材を見極めるには、採用面接の流れもポイントになります。流れによっては求職者の緊張状態が続き、本音を引き出す回答を得られない可能性があります。採用面接の基本的な流れは、次のとおりです。
あさがくナビの「2023年卒学生の就職意識調査(面接)2022年5月版」によると、リアルで実施する面接に「自信がある」「やや自信がある」と回答した求職者が18.0%だったのに対し、「自信がない」「あまり自信がない」と回答した求職者は55.6%と半数以上だったことがわかります。
リアルで実施する面接に自信はありますか? | 割合 |
自信がある | 4.9% |
やや自信がある | 13.1% |
どちらとも言えない | 26.4% |
あまり自信がない | 25.4% |
自信がない | 30.2% |
また、自信を持てない理由として、「緊張してしまうから」と回答した求職者は61.8%でした。
リアル面接に自信を持てない理由 | 割合 |
リアル面接の経験が少ないから | 73.1% |
リアル面接は緊張してしまうから | 61.8% |
リアル面接でのマナーが分からないから | 40.2% |
リアルでのコミュニケーションに慣れていないから | 31.3% |
その他 | 1.7% |
採用面接で緊張するのは、求職者、面接官ともに同じです。特に求職者は、緊張をしていると本音が見えにくく、本質を見抜くのは難しい状態にあります。その緊張を和らげる方法として、まずはアイスブレイクの時間を設けましょう。
アイスブレイクとは、緊張感ある場を和ませるためのコミュニケーション手法です。アイスブレイクをはさむと求職者の緊張がほぐれ、リラックスした状態で進められます。
アイスブレイクでは、その日の天気や面接会場までの交通手段など、選考とは直接関係のない内容を話題に出すのが一般的です。おもな質問例は、次のとおりです。
近年は、オンライン形式で採用面接を実施する企業も増えています。オンラインの場合は、「オンライン面接は初めてですか?」「こちらの音声はきちんと聞こえていますか?」など、オンラインならではの質問をしてみましょう。
内定後や入社後のミスマッチに不安を感じるのは、企業側だけではありません。あさがくナビの「2024年卒学生の就職意識調査(ミスマッチ)2023年3月版」によると、就職においてミスマッチに不安があると回答した求職者は約7割を占めていることがわかっています。
就職において、ミスマッチへの不安はありますか? | 割合 |
とても不安がある | 36.9% |
やや不安がある | 39.7% |
どちらとも言えない | 12.9% |
あまり不安はない | 7.1% |
不安はない | 3.4% |
採用ミスマッチは、内定辞退や早期離職につながりかねないため、企業側は応募者の不安や疑問をできるだけ解消させる必要があります。採用面接は、応募者の不安や疑問の解消につなげられる機会です。
履歴書や職務経歴書に関する質問の後は、求職者から自社に対して質問する時間を設けましょう。不安や疑問が解消されれば、内定後の辞退や早期離職の軽減へとつながります。
求職者の大まかな経歴は、履歴書や職務経歴書で確認できます。採用面接では、求職者の経歴を深掘りできるような質問を投げかけるようにしましょう。これまでの経歴を確認するときの質問例は、次のとおりです。
志望動機に関する質問は、会社が求める人材と求職者が会社に求めていることを確認できます。自社と求職者の認識を確認すれば、入社後の採用ミスマッチを事前に防げます。志望動機を確認するときの質問例は、次のとおりです。
求職者は就職活動または転職活動する中で、複数社の選考を同時に進めている可能性があります。志望動機を確認する際には理由や希望職種だけでなく、自社への志望度も併せて確認しましょう。
人材を見極めるには、求職者の性格や価値観を確認することも大切です。性格や価値観によっては会社の経営理念や社風とマッチせず、入社後の早期離職につながるおそれがあるからです。性格や価値観を確認するときの質問例は、次のとおりです。
入社後も高いモチベーションを持って仕事に取り組める人材かどうかは、入社意欲に関する質問で確認しましょう。入社意欲がある求職者であれば、困難に直面しても立ち向かい、乗り越えようと努力できる可能性を持っています。入社意欲を確認するときの質問例は、次のとおりです。
転職・退職理由を聞くのは、自社に長く定着してくれるのかを見抜くうえで重要です。また、前職に対して不満があった場合は、どのような点に悩みを感じていたのかを深堀して聞くことで、仕事に対する価値観やストレスを感じるポイントがわかります。
転職・退職理由を確認するときの質問例は、次のとおりです。
転職・退職理由を聞くときは、求職者が建前でなく本音で話しているのかにも注目しましょう。「それは大変でしたね」など求職者の悩みに共感する姿勢を持つことで、本音を引き出しやすくなります。
採用面接では求職者の本音を引き出すために、なんでも質問してよいわけではありません。質問の内容によっては、プライバシーの侵害や不信感につながる可能性があるので注意が必要です。
厚生労働省は採用選考時に配慮すべき項目として、次の内容は就職差別につながるおそれがあるとしています。
※出典元:厚生労働省「公正な採用選考の基本 (3)採用選考時に配慮すべき事項」
差別につながりかねない質問をした場合、その旨が求職者を通じて多くの人に伝わり、企業イメージを損ねる要因になり得ます。採用面接では、上記の点を踏まえた質問をするように心がけましょう。厚生労働省が定める本人に責任のない事項は、次のとおりです。
採用面接で質問しない場合でも、戸籍謄本や本籍が記載された住民票を提出させるとは、就職差別に該当します。次のような質問は本人に責任のない事項になるため、採用面接では避けるようにしましょう。
出身地や家族の職業などは、求職者の適性や能力に直接関係ありません。上記の内容は、エントリーシートに記載させることも配慮に欠けると判断されます。
厚生労働省が定める本来自由であるべき事項は、次のとおりです。
本来自由であるべき事項とは、宗教や支持政党などの思想信条に関わることです。労働組合に関する情報には、加入状況や活動歴も含まれます。次のような質問は本来自由であるべき事項になるため、採用面接では避けるようにしましょう。
パートナーの有無や結婚の予定に関する質問は、求職者のプライバシーを侵害するおそれがあります。上記のような質問は企業に対する不快感や不信感にもつながるため、採用面接では求職者の適性や能力を判断する質問に限定して配慮を忘れないようにしましょう。
面接官は、人材を見極める重要な役割を果たします。採用面接の時間には限りがあるため、効率良く的確に人材を見極めることが大切です。しかし、面接官によって基準が異なると評価軸がぶれる可能性も。面接官が複数人いる場合は、自社の基準や項目を統一し、誰が担当しても同じように評価できる状態を整えておくと良いでしょう。
面接官ごとの重点的に見るポイントを明確にすると良いでしょう。
求職者の基本属性や経験、志向性などは、採用面接までに絞り込むことが可能です。
Re就活のスカウト機能を活用すれば、自社が求める人材を絞り込めるため、効率的に採用活動を進められます。
Re就活の登録者の多くは20代の求職者なので、若手の採用を強化したい場合は、ぜひご活用ください。
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