HR用語の基礎知識
アカハラはアカデミックハラスメントの略で、大学や学術機関などの教育の場で起こる「嫌がらせ」や「いじめ」などの迷惑行為のことです。アカハラによる訴訟が起こった際には、直接の加害者だけではなく大学側も安全配慮義務違反に問われ、損害賠償を求められてしまいます。また金銭面の問題だけでなく、大学のイメージも大きく損なわれるでしょう。
またアカハラは研究生やゼミ生に対して発生するだけではなく、大学教授から准教授など教授間で行われるケースもあります。この場合、出張妨害や講師への推薦拒否などもアカハラに当たります。
アカハラはセクハラやパワハラ、ストーカー行為などと重なる部分もあり認定が難しいですが、もし相談を受けたらしっかりと受け止め、適切な対処をしましょう。
大学内は教員や職員が優位な立場で権力を利用しやすいため、ハラスメントが発生しやすい環境です。精神的・身体的損害を訴えられないためにも、大学側はアカハラを未然に防ぐための対策を取らなければなりません。どのような行為がアカハラにあたるのかを周知していく必要があります。
<学習や研究に対する妨害例>
<卒業・進級などの妨害例>
<進級・就職の妨害例>
<研究成果やアイディアの盗用例>
<暴言や罵倒などの発言や威嚇例>
<経済的負担の強要例>
<経済的負担の強要例>
アカハラ被害者が悩みを相談できる窓口を、学内や学外に作りましょう。匿名での相談や相談員の指定、メールでの対応などが可能だと、相談しやすくなります。
相談員には、臨床心理士のようなハラスメントに対して知識を持つ専任の相談員が向いています。教職員が掛け持ちしなければならない場合は負担が大きく、相談案件が長期間放置されるなど、相談に適切に対応できない恐れがあるので注意してください。専門のハラスメント相談員の設置が難しい場合、外部の機関への委託を検討してもよいでしょう。
文部科学省が行った大学内のハラスメント対応に関する調査によると、相談件数は年々増え、相談者も学生だけではなく教員や職員など多岐にわたります。管理職から「ハラスメントのつもりではないのに、指導や指示がアカハラだととらえられてしまうがどうしたらよいのか」といった相談もあるようです。
また相談窓口に寄せられる内容は大学特有のアカハラだけではなく、セクハラやパワハラ、学生間のデートやDVに関するものまで多岐にわたる可能性があります。内容によっては労働法に関わるケースも含まれるので、相談員には専門的知識と対応が求められます。
※参考:文部科学省委託調査資料『「大学教育改革の実態把握及び分析等 に関する調査研究」 ~大学におけるハラスメント対応の 現状と課題に関する調査研究~』
令和元年に文部科学省が、大学内のハラスメント対応に関する調査を行っています。調査内容をまとめた『「大学教育改革の実態把握及び分析等 に関する調査研究」 ~大学におけるハラスメント対応の 現状と課題に関する調査研究~』によると、平成28年の調査において「ハラスメント等の防止のための全学的な調査・対策の常設機関を設置」している大学は、65.4%です。
この調査では、ハラスメント対応において先進的な対応をしている5つの大学(広島大学・名古屋市立大学・東京経済大学・立教大学・神戸学院大学)の取り組みも紹介されているので、相談窓口設置の参考にするとよいでしょう。
※参考:文部科学省委託調査資料『「大学教育改革の実態把握及び分析等 に関する調査研究」 ~大学におけるハラスメント対応の 現状と課題に関する調査研究~』