
「若手社員の育成が難しい」と感じる教育担当者は少なくありません。優れた資質を持っていると判断して採用した人材であっても、育成がうまくいかなければ、現場で能力を発揮できない可能性があります。
本記事では、若手社員の育成における課題や、育成がうまくいかない会社に共通してみられるパターンを紹介します。また、課題ごとの解決策や育成を成功させるためのポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。
若手社員の育成が難しい理由

若手社員の育成が難しいと感じている企業は少なくありません。育成が難しい理由としては、以下の点が挙げられます。
- 自己成長に不安を感じる若手社員が多いから
- 仕事にモチベーションを感じられないから
一方で、育成に課題を抱える原因は若手社員だけにあるとは限りません。教育担当者が以下のような課題を抱えている可能性もあります。
- 教育担当者の育成スキルが十分でないから
- 現場が忙しく育成のための時間を確保できないから
さらに、価値観や環境も若手社員の育成を妨げている可能性があります。
- Z世代・若手社員と上司世代との価値観にギャップがあるから
- 育成制度が機能していないから
ここからは、それぞれの理由について解説します。
自己成長に不安を感じる若手社員が多いから
世の中は常に変動しています。今まで当たり前だった価値観が、ある日を境に過去のものとなってしまうケースも少なくありません。「終身雇用制」もその一つです。就職さえすれば定年まで立場が保障されていた時代は過去のものとなり、会社に対して安心感を持てない社員も増えています。
また、不安定な立場にあることから、「このままで社会(会社を離職した後の外部の世界)で生き残れるのだろうか」と漠然とした不安を抱える若者も多くいます。そのため、会社側が育成しようと支援を行っても、「自己成長できているのだろうか」と常に疑問を感じ、会社側からの働きかけに前向きに応じられないケースもあるでしょう。
仕事にモチベーションを感じられないから
仕事に対して情熱を持てない若者もいます。「学校を卒業したら社会人になるのが普通だから」といった消極的な動機で就職活動を行い、流されるように就職し、モチベーションを感じられないまま日々を送っている方も少なくありません。
特に近年は売り手市場が続いているため、仕事に対する情熱がなくても採用される可能性があります。採用されて研修が始まったものの、相変わらずやる気を持てず、成長する意欲も気力もないというケースもあるでしょう。
ワーク・ライフ・バランスを意識するあまり、仕事が疎かになる方もいます。熱心に仕事をするよりも、趣味や友人との付き合いを重視する姿勢が、モチベーションの低下につながるケースもあります。
また、仕事に対する意欲はあっても、ある程度うまくこなせるようになると飽きてしまう若者もいるでしょう。「自分は一人前にできる」と思い込み、熱意を持って仕事や研修に取り組まないようになってしまいます。
教育担当者の育成スキルが十分でないから
教育担当者に育成能力や熱意が不足しているため、若手社員がうまく育たないケースもあります。例えば、OJTは手本となる側の能力に結果が左右されやすいため、教育担当者のスキルに問題がある場合は期待したような成果を得にくいでしょう。
また、教育担当がベテラン頼みになっている職場もあります。現時点では問題がなくても、ベテランが引退した後に後続の教育担当者が育っていない場合は、若手社員の育成がうまく進まない可能性が高まります。
現場が忙しく育成のための時間を確保できないから
育成担当者が忙しく、若手育成のための時間的余裕がない可能性もあります。現場の仕事量が多すぎて育成担当者以外に業務を割り振れないケースや、そもそも育成担当者に多くの仕事量が割り振られているケースなどもあるでしょう。
若手育成にはある程度の時間が必要です。忙しすぎる現場では若手社員が取り残されたように感じ、徐々に仕事に対するモチベーションを失うリスクもあります。
Z世代・若手社員と上司世代との価値観にギャップがあるから
Z世代(1990年代半ば~2010年代序盤生まれ)などの若手世代と上司世代との間に価値観のギャップがあり、育成や指導が受け入れられないケースもあります。
例えば、Z世代はタイムパフォーマンスを重視し、仕事よりもプライベートを大切にし、多様性を重んじる傾向にあります。そのような価値観を持つ若者に「営業は足で稼げ」「仕事仲間との飲み会が大切だ」といった旧来の価値観を押し付けても、共感を得られないばかりか、適切な教育も受け入れてもらえなくなる可能性があるでしょう。
また、先行きが不透明で予測が難しい現代「VUCA(ブーカ)」だからこそ、若手世代の考え方を理解し難く、育成が難しいという側面もあります。VUCAについては、こちらの記事を参考にしてください。
育成制度が機能していないから
若手社員の育成制度はあるものの、以下のような理由から実際には機能していないケースもあります。
- 教育担当者が決まっていない
- 教育スキルのない人が担当者に配属されている
- 若手育成のタイミングや対象が明確に決まっていない
育成制度を確立するのも大切ですが、それと同様に「いつ」「どのように」「誰を対象にして」実施するのかを決めることも大切です。
若手社員の育成がうまくいかない会社の共通パターン

若手社員の育成がうまくいっていない会社では、以下のようなパターンが見られることがあります。
- 育成のゴールや評価基準が曖昧になっている
- 育成プログラムが体系的に確立されていない
- 十分な育成時間を確保できない
- 担当者が育成に対する情熱を持っていない
- 育成に十分なコストがかけられない
それぞれのパターンについて解説します。
育成のゴールや評価基準が曖昧になっている
「若手社員が入社したらとりあえず育成を実施する」といったスタンスでは、育成教育が惰性で実施され、期待するような成果は得られません。まずは育成のゴールや評価基準を明確に決めることが必要です。
例えば、教育をいくつかの項目に分け、項目ごとにゴールを定めておけば、ゴールに到達していない若手社員は同じ教育を繰り返し受ける必要があると判断できます。教育者の負担が増す可能性はありますが、若手社員が一定水準以上のスキルを確実に習得でき、成果に結びつく教育を実現できるでしょう。
育成プログラムが体系的に確立されていない
育成プログラムは、対象者の背景を踏まえて体系的に確立する必要があります。例えば、新卒、第二新卒などの新入社員の背景別にプログラムが確立されていない場合は、「話を理解できない」「すでに知っていることばかり教えられる」などの不満が生じ、新入社員の意欲を削ぐ恐れがあります。
また、育成プログラムの順序も大切です。若手社員が段階的にスキルを習得できるように配慮して、プログラムを実施することが求められます。
十分な育成時間を確保できない
十分な育成時間を確保していないために、若手社員を育成できないケースもあります。実際のところ、人によって習得までの時間は異なります。打てば響くようにすぐに習得する方もいれば、納得するまでに時間がかかり、習得するまでにはさらに時間がかかる方もいるでしょう。
特に新卒社員は育成時間が長引く傾向にあります。誰もが一定基準以上に成長するためにも、十分な育成時間を確保しておくことが必要です。
担当者が育成に対する情熱を持っていない
教育担当者が育成に対する情熱を持っていないという理由で、若手社員の育成がうまくいかないケースも見られます。
情熱は目で見えるものではありませんが、少なからず相手に伝わるものでもあります。担当者に育成に対する情熱が感じられないと、育成される新入社員も情熱を保ちにくくなり、期待するような成果を得にくくなるでしょう。
育成に十分なコストがかけられない
人材育成には、ある程度のコストがかかります。外部研修を利用する場合なら研修費や人件費、内部で研修を実施する場合なら教育担当者が通常業務を行えなくなる分の損失などが発生するでしょう。
「育成しても早期に離職すれば無駄になる」「教育をせずとも現場で覚えるべきだ」という考えを持つ企業では、育成に十分なコストをかけない傾向が見られます。研修の期間が短くなるだけでなく、内容も疎かになり、期待するような成果を得られにくくなります。
【課題別】若手社員を育成する方法

若手社員の育成がうまくいかない場合、以下のいずれか、あるいは複数に課題が潜んでいると考えられます。
- プログラム
- 時間
- 担当者
- コスト
課題別の解決策を具体的に紹介します。育成教育を見直す際の参考にしてください。
【プログラムの課題】プログラムの再構築
プログラムに課題がある場合、プログラムそのものを見直すか、再構築する必要があります。
まず押さえておきたいのが「価値観の多様化を反映すること」です。Z世代を中心に価値観が多様化しているため、一律的なプログラムを実施しても期待するような効果は得られません。若手向けのプログラムは、少なくとも新卒と第二新卒に分け、それぞれに応じたアプローチが必要です。
新卒向けプログラム
新卒向けのプログラムは、一人ひとりに寄り添った形が望ましいと考えられます。例えば、以下の方法を育成プログラムに取り込むと、新卒社員の個性や習得スピードを反映した教育を実施できるでしょう。
- 1on1
- OJT
- メンター制度
なお、いずれも教育担当者やメンターとの相性があるため、新卒社員の性格を見極め、適切な人材を配置することが大切です。
第二新卒向けプログラム
ある程度の社会人経験がある第二新卒向けのプログラムには、これらの方法を取り込んでみましょう。
- OJT
- 企業理解
前職の企業風土の影響を受けている場合もあるため、企業理解を深めてもらうことは必須です。また、前職で十分な新人教育を受けていない場合は、ビジネスマナーも育成プログラムに含めましょう。第二新卒を採用するメリットについてはこちらの記事をご覧ください。
【時間の課題】業務の見直し
育成の時間が十分に取れず、期待するような成果が得られていない場合は、教育担当者の業務の見直しが必要です。
教育担当者は自分自身の業務をしつつ、育成も担当しなくてはいけません。元々の業務を他の従業員に分担させる、あるいは必要に応じて業務を外注するなどの対策を実施し、十分な育成時間を確保できるようにサポートしましょう。
【担当者の課題】担当者向け教育の実施
教育担当者の育成スキルに問題がある場合は、スキル向上のための教育が必要です。ベテランの教育担当者から直接教育を受ける、外部の研修機関を利用するなどの方法で、育成スキルの向上を図りましょう。
ただし、ベテランの教育担当者から教育を受ける場合は、教育を受ける担当者だけでなく教育を実施する担当者の通常業務に影響が生じる可能性があります。業務負担が過度に増えないよう、部署全体での仕事量の調整が必要です。
【コストの課題】離職率低下のための施策を実施
育成に十分なコストをかけていない企業は、コストそのものの考え方を見直してみましょう。
「早期離職する社員にお金をかけて教育を実施する必要がない」と考えている場合、離職率を減らせれば、コストの無駄も削れます。以下、離職率の低下に効果がある施策を紹介します。
- 定期的に面談を実施する
- キャリアパスを共有する
- 採用時までに十分な情報を提供する
それぞれの施策について解説します。
定期的に面談を実施する
社員が離職するのは、会社に不満を持っているか、ニーズが満たされていないかのいずれかが原因と考えられます。
定期的に面談を実施し、不満やニーズを早めに確認するようにしましょう。また、不満解消につながるアドバイスや、離職せずともニーズを満たす方法を提案すると、早期離職を回避できる可能性があります。
キャリアパスを共有する
特に現状に不満を持っていなくても、「このままこの会社にいて、自分は成長できるのだろうか」「ここで昇進できるのだろうか」といった不安を抱き、離職を選択する方もいます。
将来の不安を軽減し、会社に安心感を持ってもらうためにも、具体的なキャリアパスを共有することが大切です。キャリアパス制度がない場合は、新たに作成してみるのも良いでしょう。キャリアパス制度を設ける必要性については、こちらの記事をご覧ください。
採用時までに十分な情報を提供する
入社してから「わたしがしたい仕事ではない」「この企業はわたしに合わない」と考え、早期離職に至る若手社員もいます。
いずれもミスマッチから生じる結果です。ミスマッチを回避するためにも、採用時までに会社の情報を十分に提供し、就職希望者が自分自身で「この企業は自分に合っているか」を判断できるようにしておくことが大切です。
他にも早期退職を回避する施策をいくつか検討する際は、こちらの記事でぜひご確認ください。
若手社員の育成を成功させるポイント

若手社員の育成を成功させるために押さえておきたいポイントを紹介します。
- 人材育成の必要性を社員全員に理解させる
- 若手社員一人ひとりに応じた育成を心がける
- 若手社員にこまめに声をかける
- 成長に対してフィードバックを与える
各ポイントを解説します。
人材育成の必要性を社員全員に理解させる
人材育成は、未来あるすべての企業にとって必要な作業です。
担当者だけでなくすべての既存社員、そして教育を受ける新入社員の全員が、育成の重要性と必要性を正しく理解することが必要です。また、人材育成の必要性を会社全体で理解すると、教育担当者の業務を部署で分担するといった協力体制を構築しやすくなります。
若手社員一人ひとりに応じた育成を心がける
若手社員を一括りにせず、一人ひとりを丁寧に観察し、個性を理解し、個人に応じた育成を心がけることが大切です。
特にZ世代は多様性の世代とも呼ばれます。個々の持つ特性を活かす育成・教育を実施できるよう、会社全体でのサポートが必要です。
若手社員にこまめに声をかける
若手社員へのこまめな声がけも大切です。頻繁な声がけにより、「会社というチームの一員であること」を若手社員に実感してもらえるようになります。また、会社に対する帰属意識も芽生えるでしょう。
こまめな声がけは、若手社員の承認欲求を満たすきっかけともなります。「社員として認められている」と理解できるようになれば、会社への愛着心がさらに強まるでしょう。
成長に対してフィードバックを与える
育成プログラムにより若手社員に成長が見られたときは、「成長したな」と心の中で思うだけでなく、声に出して本人に「成長している」と伝えていくことが大切です。若手社員が達成感を得られ、会社での仕事に満足しやすくなるでしょう。
なお、どのような成長が見られたのか、具体的にフィードバックを与えることも大切です。若手社員が自分自身を振り返り、客観的に自己評価するきっかけになります。
若手育成の課題は“採用〜定着”まで一体で考えることが重要

若手社員の育成には、さまざまな課題があります。社員自身の課題だけでなく、教育担当者や時間、コストなどが課題となるケースもあるでしょう。
育成課題は、採用前から定着に向けたサポートを始めることで解決しやすくなります。企業情報やキャリアパスなどを惜しみなく提供し、就職希望者本人が「この企業は自分に合っているのか」を客観的に判断できるようにしておくことも重要です。
新卒・第二新卒の採用はRe就活キャンパスとRe就活にご相談ください

若手社員の育成課題を解決するためにも、採用段階も含めた育成プログラムを構築することが大切です。採用時にミスマッチを見抜くことができれば、社員育成に十分な時間とコストをかけても無駄になりにくく、教育に見合った成果を期待できます。
戦力になる学生と出会える機会を探している企業様には、Re就活キャンパスがおすすめです。一人ひとりと直接コンタクトを取りつつ採用活動を進めていけるため、ミスマッチを回避しやすくなります。
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