

ヘッドハンティングとは、ヘッドハンティング会社がクライアントの採用要件に適した人材を探し出し、直接アプローチする採用手法です。
本記事では、ヘッドハンティングを導入する流れやメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。
ヘッドハンティングとは
ヘッドハンティングとは、企業が求める人材を探し、直接アプローチする採用手法のことです。
主にヘッドハンティング会社が、企業の採用要件をヒアリングして、その要件に適した人材を探し出します。
専門性の高いポジションや経営層などをターゲットに行われることが多い採用手法です。
ヘッドハンティングは、次の2種類に分けられます。
- サーチ型:ヘッドハンティング会社が採用要件に適した人材を独自のルートで探し出す
- 登録型:ヘッドハンティング会社のデータベースから採用要件に適した人材を抽出する
ヘッドハンティングとほかの採用手法との違い
ヘッドハンティングと似た採用手法には「引き抜き」や「人材紹介」「ダイレクトリクルーティング」などがあります。それぞれの違いについて詳しく解説します。
ヘッドハンティング(サーチ型) |
引き抜き |
人材紹介 |
ダイレクトリクルーティング |
|
ターゲット |
経営層、管理職、専門職人材 |
経営層、管理職、専門職人材 |
幅広い |
幅広い |
アプローチ方法 |
ヘッドハンティング会社がスカウトする(サーチ型の場合) |
経営者や採用担当者が他社からスカウトする |
人材紹介会社が採用要件に適した人材を紹介する |
採用担当者がダイレクトリクルーティングサービスを使ってスカウトする |
費用 |
△ |
◎ |
◯ |
◎ |
工数 |
◎ |
△ |
◎ |
△ |
引き抜きとヘッドハンティングの違い
引き抜きとは、採用要件に適した人材に直接アプローチして採用する手法のことです。ヘッドハンティング会社を介さないため、採用コストが抑えられます。
ヘッドハンティングは採用要件に適した人材を探すところからのスタートですが、引き抜きの場合は、採用したい人材が決まっていることが多いです。
人材紹介とヘッドハンティングの違い
人材紹介とは、人材紹介会社が企業の採用要件に適した求職者を紹介する採用手法のことです。
一般的には人材紹介会社に登録している求職者の中から、採用要件に適した人材を紹介してもらいます。新たに外部からスカウトする工程がないため、ヘッドハンティングよりも採用コストが低い傾向にあります。
ダイレクトリクルーティングとヘッドハンティングの違い
ダイレクトリクルーティングとは、企業が求職者にスカウトメールを送り、直接アプローチする採用手法です。登録者のなかから採用要件に適した人材を抽出し、スカウトメールを送ります。
企業の採用担当者がスカウティングをするため、ヘッドハンティングよりもコストが抑えられます。
ヘッドハンティングが注目されている理由

従来のヘッドハンティングは、会社の中核を担うエグゼクティブ層を採用する際に用いられていました。しかし、最近は幅広いポジションの採用で取り入れられています。
ヘッドハンティングが注目されている理由について解説していきます。
少子化により生産年齢人口が減少している
日本の生産年齢人口は、1995年をピークに減少しており、2050年には5275万人にまで減ると見込まれています。これは2021年の7450万人から約29%も少ない数字です。
すでに人材不足による激しい人材獲得競争が始まっており、採用要件に適した求職者を採用するためにヘッドハンティングに注目が集まっています。
※参考:内閣府「令和4年版高齢社会白書」
専門的なスキルを持つ人材のニーズが高まっている
近年、企業のDX化やAIの活用が進み、幅広い業界で専門的なスキルを持つ人材の需要が増大しています。特に優れたスキルや実績を持つ求職者ほど需要が高く、求人広告や転職フェアだけで採用するのは非常に困難です。
そこで、ヘッドハンティングを活用し、採用要件に合致する人材を積極的に探し出す動きが活発になっています。
転職潜在層を採用するため
スキルや経験を持つハイクラス層の人材は、現職で十分な待遇を受けており、「良い求人案件があれば転職する」という考えの人が多い傾向にあります。
このような転職潜在層を獲得するには、企業側から積極的にアプローチすることが重要です。ヘッドハンティングであれば、転職潜在層にも積極的にアプローチできるため、活用する企業が増えています。
ヘッドハンティングを活用する際の流れ
ヘッドハンティングは、採用要件に適した人材を探すことから始めるため、依頼から採用までに半年から1年程度かかることもあります。経営層の場合、それ以上の期間を要することも多く、長期戦になる可能性が高いことを事前におさえておきましょう。
ヘッドハンティングを活用する際の流れは次の通りです。
- ヘッドハンティング会社に依頼する
- 採用要件に適した人材をサーチする
- ヘッドハンターが候補者をスカウトする
- 面談を実施する
- 選考・面接
- 内定
ヘッドハンティング会社に依頼する
採用ターゲットに適したヘッドハンティング会社を選定し、採用要件に適した人材の紹介を依頼します。
ヘッドハンティングを効率的に運用するには、採用要件を明確に設定することが重要です。採用要件が曖昧だと、マッチング精度が低くなり、採用までに時間がかかってしまいます。
採用要件に適した人材をサーチする
ヘッドハンティング会社に採用要件を伝えた後は、その情報をもとにヘッドハンターがサーチを開始します。ヘッドハンターとは、採用要件に適した人材をスカウトしたり、条件交渉を行ったりするヘッドハンティング会社のスタッフです。
定期的に進捗状況を確認し、サーチが難しい場合は採用要件を見直します。
ヘッドハンターが候補者をスカウトする
採用要件に適した人材が見つかったら、ヘッドハンターがスカウトを行います。候補者に企業の求人情報を伝え、面談に進む同意が得られれば、次のステップです。
ヘッドハンティングでは、転職意欲の低い人もターゲットになるため、面談に至るまで時間がかかることも少なくありません。
面談を実施する
ヘッドハンターと求職者の面談では、求人企業の魅力や強み、求める人物像などを伝えます。候補者の志望度を高めるため、求人企業の採用担当者が同席することも多いです。
候補者の希望条件のすり合わせも面談時に行います。一度の面談で選考の意思が確認できなければ、再び面談を実施し、相互理解を深めましょう。
選考・面接
候補者と求人企業の採用担当者が面接を実施します。
面接は企業が候補者を評価するだけでなく、候補者も自身が望むキャリアを実現できるかを確認する場です。そのため、従来の採用手法よりも面接回数が多くなることもあります。
年収や入社後のポジションなどについて交渉することもあり、場合によってはヘッドハンターが同席します。
内定
内定が決定したら、内定通知を送付しましょう。内定承諾を得た後も、ヘッドハンターを介してフォローを行い、入社に関する不安や疑問を解消していきます。
フォローの方法や頻度、候補者の志望度などは、ヘッドハンターに相談することも可能です。
ヘッドハンティングにかかる費用
ヘッドハンティングの料金体系は、成功報酬型であることが多いです。報酬額は採用した人材の想定年収の30〜40%程度と、一般的な人材紹介の成功報酬額に比べてやや高い傾向にあります。
たとえば、想定年収が800万円の場合、240万〜320万円程の費用がかかります。
また、ヘッドハンティング会社によっては、成功報酬に加えて着手金や顧問料が必要な場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
ヘッドハンティングを行うメリット・デメリット

ヘッドハンティングは、採用要件に適した人材に直接アプローチできる採用手法です。上手く活用すれば、採用活動を効率的に進められますが、デメリットもあります。
ヘッドハンティングを行うメリット・デメリットを把握し、上手に活用しましょう。
メリット
ヘッドハンティングを行うメリットは次の通りです。
- 高いスキルを持つ人材が採用できる
- 転職市場にあまり現れない人材にもアプローチできる
- 幅広い労働市場から採用要件に適した人材をスカウトできる
ヘッドハンティングは、採用要件に適した人材を転職市場以外からも探し出すため、マッチング精度の高い採用が期待できます。特に高いスキルや実績を持つ人材は転職市場に現れにくく、見つけ出すのも困難です。
ヘッドハンティングであれば、候補者を直接スカウトするため、採用につながりやすいでしょう。
デメリット
ヘッドハンティングには、メリットがある一方で、デメリットもあります。
- 採用コストが高くなる場合がある
- 採用するまでに時間がかかる
ヘッドハンティングの料金体系は、成功報酬型であることが多く、場合によっては求人広告や転職フェアよりも採用単価が高くなるケースがあります。
ほかにも、採用要件に適した人材のリサーチやスカウト、面談などに時間がかかるため、採用活動が長期化する可能性にも留意しておきましょう。
ヘッドハンティングでの採用にお困りの方は学情へご相談ください
ヘッドハンティングは、マッチング精度の高い採用が期待できる一方で、場合によっては採用コストが高くなる可能性があります。
採用コストを抑えるには、ダイレクトリクルーティングがおすすめです。採用要件に適した人材を抽出し、スカウトメールを使って直接アプローチできます。採用ターゲットに適した採用手法を取り入れることで、採用活動を効率的に進められるでしょう。
ヘッドハンティングでの採用にお困りの方は、株式会社学情へご相談ください。

株式会社学情 エグゼクティブアドバイザー(元・朝日新聞社 あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)編集長)
1986年早稲田大学政治経済学部卒、朝日新聞社入社。政治部記者や採用担当部長などを経て、「あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)」編集長を10年間務める。「就活ニュースペーパーby朝日新聞」で発信したニュース解説や就活コラムは1000本超、「人事のホンネ」などでインタビューした人気企業はのべ130社にのぼる。2023年6月から現職。大学などでの講義・講演多数。YouTube「あさがくナビ就活チャンネル」にも多数出演。国家資格・キャリアコンサルタント。著書に『最強の業界・企業研究ナビ』(朝日新聞出版)。