ブレーンストーミングとは?4つのルールとやり方、成功させるためのポイントを解説
2023.05.30
ブレーンストーミングは、新しいアイディアを生み出す際に使われる集団発想法です。
本記事では、活発な意見交換やアイディアを出しあいたいと考えている人に向けて、ブレーンストーミングの4つのルールや得られる効果、具体的なやり方などを詳しく解説します。
ブレーンストーミングの活用シーンや、失敗例から学ぶ対策と成功させるために押さえておきたいポイントも紹介するので、ブレーンストーミングを実施する際にはぜひ参考にしてください。
ブレーンストーミングとは
ブレーンストーミングはアイディアを出し合う際に活用できる集団発想法です。詳しい内容とおもな活用シーンを紹介します。
自由なアイディアを生み出す集団発想法のこと
ブレーンストーミングは、新しいアイディアを生み出すための集団発想法です。参加者が自由にアイディアを出し合い、参加者同士で刺激を与え合う環境の中で、クリエイティブなアイディアが生まれやすいのが特徴です。企業で実施する場合は、10人以下のグループで行うケースが多いでしょう。
ブレーンストーミングは「ブレインストーミング」と呼ばれることもありますが、発音の表記の仕方が異なるだけで、同じ意味を表しています。
ブレーンストーミングの活用シーン
ブレーンストーミングは、おもに新しいアイディアを生み出したいとき、どんな場面でも活用可能です。
- 新商品や新サービスなどのアイディアを生み出したいとき
- 問題解決の方法が見つからず行き詰まったとき
- キャッチコピーやコンセプトなどを考えるとき
上記のようなケースでは、担当者だけで考えていると同じようなパターンしか思い浮かばなかったり、一人の頭で考えているだけでは堂々巡りをしてしまったりする場合もあるでしょう。
そんなときグループでブレーンストーミングを実施すれば、斬新なアイディアやクリエイティブな発想を出し合うことができ、良い案や解決策を見つける手がかりになります。
ブレーンストーミングで得られる効果・メリット
ブレーンストーミングを行うことで得られる効果や実施するメリットを紹介します。
新しいアイディアが生まれる
参加者全員が立場や形式にこだわらず自由にアイディアを出し合うことで、お互いに刺激し合う状態が生まれます。さまざまな考えや意見に触れることで、一人だけで考えた場合には生まれないような発想が沸いてくることもあるでしょう。
また、アイディア同士をかけ合わせた新しいアイディアが生まれる可能性もあります。そのため、新商品開発や新サービス作りなど、たくさんのアイディアを出し合って検討する必要がある場合や、斬新なアイディアを必要とする場合に用いられることが多くなっています。
チームの一体感や団結力が生まれる
一般的なミーティングやディスカッションと異なり、チームやグループの一体感や団結力が生まれやすくなります。
一般的なミーティングでは発言する人が決まっていたり、ディスカッションでは参加者同士で異なる意見が対立したり批判が起きたりするといった場面もあるでしょう。
しかし、ブレーンストーミングでは「相手の意見を否定しない」というルールが定められています。
そのため、のびのびと自由に意見を言える雰囲気が生まれるとともに、お互いに否定することなく「より発展させるにはどうするか?」と建設的に考えます。否定することなく他者の意見を聞くことで、メンバー同士の理解やコミュニケーションも深まり、チーム全体の一体感や団結力が醸成されるでしょう。
参加者の成長につながる
ブレーンストーミングは参加者それぞれのアイディアやさまざまな意見に触れる機会でもあります。そのため、視野や思考の幅が拡がったり、自分の思い込みや偏見に気付いたりする場面もあるでしょう。
そのほかにも、参加者の意外な側面の発見や、自由な発想力が磨かれるといった利点もあります。さまざまな意見を取り入れたり、掛け合わせるとどうなるかを考えたりすることで、ブレーンストーミング以外の場面でも柔軟に発言できるようにもなるかもしれません。
自分と異なる考え方を知ることによって気付きや学びを得ることができ、参加者の成長にもつながるでしょう。
ブレーンストーミング4つのルール
ブレーンストーミングには守るべき4つのルールがあります。ブレーンストーミングは自由な発想法である分、ルールを守らなければ本筋から逸脱または求める効果を得られないなどの失敗につながる可能性があるためです。
ブレーンストーミングを実施する際は参加者全員にルールを理解して参加してもらう必要があります。
1:批判・否定しない
ひとつめのルールは、どんな意見やアイディアも批判や否定をしないことです。このルールを守ることによって、形式や立場にこだわらず自由にアイディアを発言できる環境が生まれます。
批判や否定されるような環境下では、「これを言ったら批判されるかもしれない」「こんな発言をしたら何を言われるか不安」などと考えてしまい、意見やアイディアが出にくくなる可能性があります。
ほかの人のアイディアを批判・否定しないというルールは参加者全員が必ず守る必要があります。
2:自由なアイディアを歓迎する
多くの多角的な視点からアイディアを集めるためには、一見、非現実的な意見や自由奔放と思われるようなアイディアでも、歓迎する姿勢が必要です。
たとえばそのアイディア単体では実現が難しいようなことであっても、ほかのアイディアをかけ合わせることによって価値のあるアイディアになる場合もあるかもしれません。
また、自由奔放な発言がほかの参加者の発想を刺激し、活発なアイディア交換が生まれる可能性もあります。そのため、どんなアイディアであっても歓迎して、自由に出し合える雰囲気作りが大切です。
3:質より量を重視する
ブレーンストーミングでは、アイディアの質より量を重視し、より多くのアイディアを時間内に出すことを目的とします。
量より質を重視した場合、「良いアイディアでなければ発言できない」「このアイディアは賛同を得られるだろうか」などと発言内容を考え込み過ぎてしまい、発言自体が少なくなる恐れがあります。発言が少なくなるとアイディア出しに時間がかかるなどの失敗に繋がりやすいでしょう。そのため、質よりも「量」を意識して、決められた時間内にできるだけ多くのアイディアを出し合うことが大切です。
ブレーンストーミングは、多くのアイディアを出し合ったうえでまとめていく方法であるということを、事前に参加者へ説明し、理解しておいてもらうとよいでしょう。
4:アイディアを結合・発展させる
従業員のエンゲージメント向上にも、オンボーディングが貢献します。
オンボーディング施策により、コミュニケーションが活性化すると、新入社員だけでなく既存の従業員も巻き込んだつながりの強化が望めます。組織内で自分の役割の理解が進み、助け合いも生まれやすくなるでしょう。また、オンボーディング施策の実施により、新入社員も「組織の一員として認められた」という満足感を得やすくなります。
オンボーディングの実施で、従業員同士に信頼関係が生まれます。その効果で働きやすい職場環境となり、従業員満足度が向上するでしょう。
ブレーンストーミングの流れ・やり方
ブレーンストーミングを行う際の流れと、具体的なやり方を解説します。
1.テーマや目的を決定・共有する
まずは何のためにブレーンストーミングを行うのか、テーマや目的(ゴール)を明確にして共有しましょう。課題解決のために実施する場合は、現状把握や原因の確認も必要です。
目的を明確にしておかなければ、本来の主旨とは関係のないアイディアで溢れてしまったり、課題解決には繋がらないアイディアばかりになったりする可能性があります。テーマや目的を離れて好き勝手に話し合うのでは、ブレーンストーミングで期待できる効果を得られません。
方向性の定まらないブレーンストーミングにしないためにも、テーマや目的を明確にして事前に説明し、参加者全員に意識して臨んでもらうことが大切です。
2.進行役と参加者を選出する
次に、司会進行役となるファシリテーターと、参加するメンバーを選出します。ファシリテーターのおもな役割は、ルールの遵守と雰囲気作りです。ブレーンストーミング中に本筋から逸脱した場合、話を元に戻すこともファシリテーターが行います。
ブレーンストーミングの参加メンバーは、10人以下のグループとします。意見の偏りを防ぐために、同じ属性や同じ考えを持つ人を2人以上参加させないようにするとよいでしょう。
異なる背景を持つ、さまざまな考えや立場のメンバーが集まって行えば、お互いに発想を刺激し合う「シナジー効果」が生まれやすくなります。
3.制限時間を設けてアイディアを出しあう
ブレーンストーミングでは、ファシリテーターが「あと5分で〇〇についてのアイディアを出そう」と言ったように、細かく時間制限を設けながら進めていきます。
ブレーンストーミング全体では、制限時間を20~30分程度とするのが適切だと考えられています。制限時間を設定しないと参加者の集中力が切れたり、次第にアイディアが飛び出してきにくくなる可能性があるためです。
制限時間は厳守し、アイディア出しをする時間と、出したアイディアをまとめる時間の2つに分けるとよいでしょう。アイディア出しに10分、まとめに15分といったように、時間を区切って進めていきます。
4.アイディアをまとめる
一通りアイディアを出し合ったら、最後はアイディアをまとめていきます。候補となるアイディアを結合・発展させながら、分類したり整理したりしましょう。
15~20分かけて整理、すべてのアイディアを記録に残しながら、候補となるものが実現可能かどうかを見極めます。
また、アイディアを実現するために必要なリソースや、具体的な戦略、アクションプランについても意見を出し合って検討しましょう。
ブレーンストーミングを成功させるためのポイント
ブレーンストーミングは、ただやり方通りに実施するだけでは期待した成果が得られにくい場合があります。ブレーンストーミングの効果を最大限に発揮して成功させるために、意識しておきたいポイントを解説します。
出されたアイディアはきちんとまとめる
ブレーンストーミングは、結論を出す必要のない会議です。しかし、いくら結論を出す必要がないと言っても、アイディアを出しただけでやりっぱなしでは意味がありません。出し合ったアイディアは整理して実現可能かどうかを見極め、すべてを記録していつでも活かせるよう残しておくことが大切です。
アイディアをまとめる際は、KJ法やマインドマップ形式で整理するのもよいでしょう。それぞれの方法を詳しく紹介します。
KJ法で整理する
KJ法とは、カードやふせんを使って、出てきたアイディアを整理する手法です。
まず整理したいアイディアを一つずつふせんやカードに書き出します。それをいくつかのグループにまとめ、意味の近いグループは近い位置に移動させましょう。共通項のあるグループ同士を線で囲み、大きなグループを作っていきます。
このようにして一つひとつのアイディアを意味の近いグループや大きなまとまりに分けて並べ替え、全体の位置関係を可視化して把握します。最後はまとめたグループに見出しをつけて、文章にまとめて完了です。
KJ法を使えば、一つひとつのアイディアを漏らさず残すことができるでしょう。一般的な話し合いでは多数決に基づいて少数意見が無視されてしまいがちですが、KJ法はすべてのアイディアを一つずつふせんやカードに記して考慮に含めます。そのため、多くのアイディアを偏りのない視点で、全体像を把握しながら整理することが可能です。
マインドマップで整理する
マインドマップとは、中心となる目的やテーマから派生するさまざまなアイディアを書き出して整理する手法です。マインドマップを使えば、書き出したアイディアの関連性を可視化して、全体像が把握できるようになります。
まず中心にメインテーマを記入します。次にメインテーマから枝を伸ばすようにして、関連するキーワードを書き込みましょう。そのキーワードからさらに派生することを書いていき、枝分かれするごとに細かく具体的な内容にしていきます。
ある程度枝を広げて関連するキーワードを書き並べたら、KJ法のように関連性の深いもの同士は線や丸で囲んでいきます。このようにして、アイディア同士の相関性や全体像を把握して整理するとよいでしょう。
話が本筋から逸脱しないようにする
ブレーンストーミングでは自由な発想を出し合うため、話が本筋から逸れる場合もあります。逸れた場合は本筋へ戻すことをファシリテーターが意識して臨むとよいでしょう。話し好きな参加者ばかりが多く発言する事態が起きた場合も、ファシリテーターが他の人へ話を振るなど、工夫することが大切です。
ブレーンストーミングを成功させるには、話が一人の考えに偏ったり、本筋から逸脱したりしないように気を配らなければなりません。どちらもファシリテーターが工夫して誘導するとよいでしょう。
よくある失敗の原因と対策をおさえておく
ブレーンストーミングをスムーズに進行し、最大限の効果を発揮させるには、失敗例とその対策を知っておく必要があります。よくある失敗例と、失敗を防ぐための対策をご紹介します。
質問自体が適切でない
そもそもテーマや質問自体が回答しにくいものであったり、具体的なアイディアに結びつけにくいものであったりするケースでは、意見が出にくくなります。
ブレーンストーミングは限られた時間の中で質より量を意識してどんどんアイディアを出し合うことで効果を発揮します。そのため、アイディア自体が生まれにくいテーマではブレーンストーミングの効果が得られません。
対策として、まずは質問のテーマを変えることを考えましょう。変えられないテーマの場合は切り口を変える、抽象度を変えてより具体的にするなど、参加者のアイディアが飛び出してきやすいテーマに工夫することが必要です。
参加者が緊張している
参加者が緊張するような雰囲気がある場合も、自由で活発な意見交換は生まれにくいでしょう。
たとえば社長や経営陣といった立場の人が参加している場合や、一人ずつ静まり返った中で意見を言わなくてはならない状況などでは、参加者が周りを気にしたり緊張したりして、発言自体が少なくなる可能性があります。
対策として、緊張を緩和する雰囲気づくりを工夫しましょう。あまり上の立場の人を参加者に含めない、年齢層が比較的近いメンバーで構成するなど、「参加者にとって自由に発言できる状況はどんな状況か?」を考えてセッティングすることが大切です。
参加者が集中できない
ほかに通常業務が山積みである場合や、このあと大事な来客予定があるなど、参加者がブレーンストーミングに集中できない要因があるケースでは、気が散ってアイディアが生まれにくくなります。
対策として、事前に余裕をもったスケジュールで伝えておくとよいでしょう。参加者の業務が忙しいタイミングや繁忙期は避けてスケジュールを組むことも大切です。会議の前後には重要な仕事を入れないよう調整を呼びかけたり、可能であればスマホの電源を切ったりするなど、集中できる環境を作って実施しましょう。
アイディアが出ない
「こんなことを言ったら笑われないか」「このアイディアはどう思われるだろう」といったほかの参加者への気兼ねが原因となって、アイディアが出てこない場合もあります。ブレーンストーミングはアイディアがどんどん飛び出すことで成立します。そのためアイディアが出て来なければせっかく時間を取って参加者が集まっても、期待する効果が得られません。
対策として、まず参加者の中で一番テーマに近い職務の人や、テーマについて一番詳しいと思われる人に意見を出してもらうと良いでしょう。アイディアの例となるようなたたき台を用意するのもおすすめです。はじめにいくつかのアイディアが出れば、それに対して関連のあることや発展させた発想も出やすくなります。
ブレーンストーミングで新しいアイディアを生み出そう
ブレーンストーミングは、新しいアイディアを生み出すために効果的な発想法です。4つのルールを遵守し、成功させるためのポイントを押さえて活用すれば、意外な発想や斬新なアイディアが生み出せるかもしれません。
担当者たちだけで考えていたり、一人の頭で考えていたりする場合には思い付かないような発想も、ブレーンストーミングなら浮かんでくることもあるでしょう。さまざまな角度や視点から問題を俯瞰して見ることで、全体像も把握したうえでこれまでと違った解決策が出てくるかもしれません。
ブレーンストーミングは自由な雰囲気の中で、どんな意見も否定することなくアイディアを出し合うという特性上、話が本筋から逸れたり話し好きな人が多く発言したりといった状況にもなりがちです。十分な効果を引き出すためには、ファシリテーターが4つのルールを参加者全員に説明して理解してもらい、目的を見失わないよう進めていくことが大切です。
ブレーンストーミングを上手に活用して、これまでにない新しいアイディアを生み出しましょう。
就職・転職・採用を筆頭に、調査データ、コラムをはじめとした担当者の「知りたい」「わからない」にお応えする、株式会社学情が運営するオウンドメディアです。