中途採用の費用は?相場やコスト削減のポイントについて詳しく解説
2024.10.02


近年、採用費用は増加傾向にあり、多くの企業が頭を悩ませています。採用費を削減するには、採用活動を効率よく進めることが重要です。
本記事では、中途採用の相場やコスト削減について解説します。中途採用の費用に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
採用費用とは

採用費用とは、採用活動にかかる費用全般のことです。人材募集や選考、内定と内定後フォローなど、採用活動にかかるすべての費用を指します。
採用活動にかかる費用は多岐にわたり、それぞれ「内部コスト」と「外部コスト」に分類されます。
ここでは、採用費用における内部コストと外部コストの意味や種類について詳しく解説していきましょう。
内部コスト
内部コストとは、採用活動において社内で発生する採用費用を指します。
内部コストの例は、以下のとおりです。
- 人件費
- 求職者へ支給する交通費
- 連絡に必要な通信費や郵送費
- リファラル採用のインセンティブ
人事担当者以外の社員も面接や面談を行うでしょう。人件費には採用活動に関わる他部署の人件費も含まれます。
リファラル採用のインセンティブとは、人材を紹介してくれた社員や取引先に支払う報酬のことです。義務ではありませんが、良い人材を採用するためにインセンティブを導入することもあります。
外部コスト
外部コストとは、採用活動において社外で発生する採用費用を指します。
外部コストの例は、以下のとおりです。
- 会社案内や採用パンフレット
- 会社説明会や懇親会の会場費
- 求人広告の掲載費
- 人材紹介に支払う成功報酬
- 転職イベントへの出展費
- 採用に関するシステム利用料
これらは支出額が明確に把握できるコストであり、一般的に内部コストより高額になりがちです。採用手法によって金額が大きく変動します。
採用費用と採用単価との違い
採用費用と採用単価の違いは以下のとおりです。
- 採用費用:採用活動にかかる費用
- 採用単価:採用した人材一人当たりにかかる費用
採用費用は採用人数によって変動するため、費用対効果を検証する際は採用単価を指標にしましょう。
採用手法別に見る中途採用費用の比較
中途採用にかかる費用は、採用手法の選択によって大きく異なります。同じ一人を採用する場合でも、求人広告を使うのか、人材紹介会社を利用するのか、あるいはリファラルやダイレクトリクルーティングを活用するのかで必要なコストや負担は変わってきます。
それぞれの手法の費用相場や特徴を理解し、自社の採用目的に合った手段を選ぶことが、無駄のない予算配分につながります。
以下に主要な採用チャネルごとの費用目安とポイントをまとめます。
求人広告媒体の費用:
比較的低コストな広報手段
転職サイトや求人情報誌など求人広告媒体への掲載は、中途採用で広く使われる手法です。
費用相場は媒体の規模や掲載プランによりますが、一般的に月20万〜100万円が目安となります。
求人広告は募集要項を広範囲に周知でき、短期間で多数の応募を集めやすい反面、応募者の母集団形成に成功しても理想の人材に出会えるかは媒体や原稿内容次第です。
費用対効果を高めるには、自社に適した求人媒体を選び、魅力的な求人内容を掲載する工夫が求められます。媒体ごとの掲載料やプラン内容を比較検討し、コストに見合った効果が得られる媒体を活用しましょう。
人材紹介会社の利用費用:
成功報酬型だが高額になりやすい
人材紹介会社(人材エージェント)の利用は、即戦力となる人材を効率的に採用したい場合によく検討されます。
費用形態は採用が決定した段階で紹介会社に支払う成功報酬型が一般的で、その相場は採用人材の想定年収の30~35%程度です。例えば年収500万円の人材を採用すれば、手数料は150~175万円ほどとなり、一人当たりのコストとしては極めて高額です。
ただし、人材紹介は自社ではリーチできない優秀な人材を紹介してもらえる利点があり、特に専門職や管理職の採用で活用されます。費用対効果の観点では、緊急度の高いポジションや高度なスキルが必要な求人で成功率と引き換えにコストをかける手段といえます。
契約前に料金体系(成功報酬割合や返金規定)を十分確認し、予算に見合う採用成果が見込める場合に活用しましょう。
リファラル採用の費用:
社内紹介制度によるインセンティブ程度
リファラル採用(社員紹介)は、社内の従業員から候補者を紹介してもらう採用手法です。
リファラル募集そのものには大きな費用はかかりませんが、紹介してくれた社員への紹介奨励金(インセンティブ)や、紹介制度を維持するための社内広報費用などが発生します。
紹介奨励金は一人採用あたり数万円~十数万円程度を設定する企業が多く、外部の人材サービスを使うより低コストで済む点が魅力です。また、知人経由のためミスマッチが少なく定着率が高い傾向もあります。ただし社員の人的ネットワークに頼る手法のため、紹介候補者の母数には限りがあり、大量採用には向きません。
コスト面では小額の報奨金や社内工数のみで済むため、予算に制約がある企業にとって有効なチャネルです。
ダイレクトリクルーティングの費用:
プラットフォーム利用料と人的リソース
ダイレクトリクルーティングとは、企業自らが転職者データベースやSNS上で候補者に直接アプローチして採用する手法です。
代表例としてビジネスSNSや転職サイトのスカウト機能を利用するケースがあり、そのプラットフォーム利用料が主なコストとなります(サービスによって月額数万円~数十万円程度)。加えて、候補者を探し口説くための採用担当者の工数もコスト要素です。
金額面では求人広告より高く人材紹介より低い、中程度のコスト帯に位置しますが、成功報酬ではなく事前投資型である点に注意が必要です。自社にスカウト業務を行うノウハウが求められるため、運用体制が整っていれば一人当たり30~60万円程度の費用で質の高い人材を採用できる場合もあります。
採用ターゲット層によっては効果的な手法ですが、十分な人的リソースの確保と計画的なアプローチが成功の鍵となります。
採用イベント・合同説明会の費用:
出展料や会場準備コスト
中途採用では新卒採用ほど盛んではありませんが、業界経験者向けの中途採用イベントや転職フェアに参加するケースもあります。
これらのイベントに出展する場合、参加費用(ブース出展料)やパンフレット・ノベルティ作成等の準備コストが発生します。費用相場はイベントの規模によりますが、1ブースにつき50万〜200万円が目安です。
イベント参加は求職者と直接対話できるメリットがあり、自社の魅力をアピールしやすい反面、全国各地のイベントに参加すると費用総額が嵩む点に注意が必要です。また担当者の出張費や拘束時間といった間接的なコストも発生します。
採用イベントは他の手法と組み合わせて効果を測定し、予算対効果に見合う範囲で戦略的に活用しましょう。
一人当たりの中途採用コストの相場
中途採用の採用費用を削減するためにも、まず一人当たりの採用コストを算出してみましょう。中途採用における一人当たりの採用コストの計算方法と相場について解説します。
一人当たりの中途採用コストの計算方法
一人当たりの採用コストの計算方法は以下のとおりです。
- 採用費用からの計算方法:採用コスト総額÷採用人数=一人当たりの採用コスト
- 求人広告費からの計算方法:求人広告総額÷採用人数=一人当たりの採用コスト
転職イベントやダイレクトリクルーティングでも同じ計算方法で算出できます。
一人当たりの中途採用コストの相場と推移
「リクルート 就職みらい研究所」の調査によると、2019年度の中途採用一人当たりの平均採用コストは103.3万円でした。2018年度の83万円に比べて増加傾向にあります。
コロナウイルス感染拡大により、一時的に有効求人倍率が下がりましたが、2022年頃から再び上昇しています。このまま採用難が続けば、採用コストが増加する可能性もあるでしょう。
※参考:リクルート 就職みらい研究所「就職白書2020」
新卒採用と中途採用の費用の違い
一般的に新卒採用より中途採用の方が一人当たりの費用は高くなる傾向がありますが、これは採用手法や採用人数の違いによるものです。
また、新卒・中途それぞれで費用が発生するタイミングや主なコスト項目にも差があります。本節では、新卒と中途に分けて費用面の特徴を整理し、どのような点で中途採用費用が異なるのかを明確にします。
新卒採用における費用の特徴
新卒採用では、大学生など未経験層を一括採用するため年間の採用計画人数が多く、その分費用総額も大きくなりがちですが、採用単価は中途より低めになる傾向があります。
主なコストとして、就職サイトの掲載料やスカウトメール利用料、大学内での会社説明会開催費用、合同企業説明会への出展料、インターンシップの運営費、内定者フォローや研修の費用などが挙げられます。
新卒採用は知名度向上や母集団形成のための宣伝費がかさむ一方、採用人数が多い場合は一人当たり費用が分散される特徴があります。また選考プロセスが定期的・大量に行われるため、社内リソースも年間スケジュールに沿って計画的に投下されます。
新卒はスケールメリットで一人当たりコストを抑えやすい反面、内定辞退や早期離職が発生するとその分ロスコストも大きくなる点に留意が必要です。
中途採用における費用の特徴
中途採用では、即戦力となる人材を必要なタイミングで随時採用するケースが多く、新卒より採用単価が高めです。
理由の一つは、人材紹介会社の利用や専門人材向け媒体の活用など、高額な手法を用いる割合が高いためです。また中途採用は採用人数が年に数名~十数名程度に留まる企業が多く、費用が分散されにくいことも平均単価を押し上げる要因です。
さらに、新卒と比べて候補者一人一人の条件交渉や選考プロセスにかかる手間が増えるため、内部コスト(面接官や現場担当者の工数負担)も一件当たりで見ると重くなりがちです。
総じて中途採用費用は「少数精鋭の採用ゆえに一名あたりに投資する金額が大きい」という特徴があり、採用難易度の高いポジションほど費用も高騰する傾向があります。
このため、中途採用では採用計画毎に費用対効果を細かく検証し、優先度の高いポジションに予算を集中投入するなどのメリハリが必要になります。
中途採用の費用を削減する6つのポイント

中途採用の費用を削減するには、採用活動を効率的に進めることが重要です。採用活動が長期化すると採用費用が増加しやすくなるので注意しましょう。
中途採用の費用を削減するポイントについて解説します。
採用要件を明確にする
まずは、採用要件を明確にしましょう。採用要件とは、企業が求める人材の人物像やスキル、キャリアをもとに設定する要件のことです。
採用要件が明確でないと、ミスマッチを誘発する可能性があります。せっかく採用につながっても早期離職のリスクがあり、採用活動が長期化するかもしれません。
また、明確な採用要件があれば最適な採用手法を選びやすくなります。採用マッチング率が高まり、採用活動を効率的に進められるでしょう。
求人広告や人材紹介を見直す
求人広告や人材紹介は、それぞれ媒体や企業ごとに特色や強みが異なります。たとえば、第二新卒やヤングキャリアの転職に強いサービスもあれば、ハイクラス転職に特化したサービスもあります。
必ずしも大手求人サイトに掲載すれば採用につながるとは限りません。自社の採用要件とターゲット層がマッチする採用手法を選ぶことで、採用活動が効率的に進められる場合もあります。
今の採用活動が効率的ではないと感じたら、求人広告や人材紹介を見直してみましょう。
採用サイトの内容を充実させる
採用サイトは企業理解を深めるための重要なツールです。求職者にとっては企業を知るための情報源であり、企業にとっては求人情報だけでは伝えきれない企業の魅力や強みをアピールできる場でもあります。
採用サイトには、以下のような内容を掲載しましょう。
- 社員インタビュー
- 1日のスケジュール
- 企業の雰囲気がわかる写真や動画
- 平均残業時間
- 離職率
- 産休・育休の取得率 など
採用サイトは求人サイトとも連携できる場合が多いため、求人サイトでは記載しきれない内容を盛り込みましょう。
採用広報に力を注ぐ
採用広報とは、採用を目的とした広報活動のことです。中小企業のなかには、企業の知名度が低く、選考や採用に至らないケースが少なくありません。
採用サイトやSNSを活用し、自社で働く魅力を発信することで、母集団形成の効率化や採用のミスマッチを防ぐ効果が期待できます。
採用広報を本格的に行うには、マーケティングやコンテンツ制作の工数やコストがかかってしまうので、最初は挑戦しやすいところからスタートしてみましょう。
選考フローを見直す
選考や内定を辞退する求職者が多い場合は、選考フローの見直しが必要です。
選考スピードは人材獲得の成否と密接に関係しており、実際に選考スピードが遅いほど内定辞退が増加する傾向にあります。また、選考工程が多いと内部コストも上昇しやすくなるため、コスト削減の観点からもスピードを速めた方がよいでしょう。
選考スピードが遅い場合は、面接回数を減らしたり、面接の候補日を多めに提示したりするなど、フローを見直してください。
採用のミスマッチを防ぐ
採用活動が長期化している場合は、採用のミスマッチに注目してみましょう。
採用のミスマッチは、内定辞退や入社後の早期離職につながります。せっかく採用しても、内定辞退や早期離職が起これば改めて初めから採用活動を行い直さなければなりません。採用活動も長期化しやすく、採用コストがかさんでしまいます。
採用のミスマッチを防ぐには、正しい会社情報の開示や懇親会、社員面談などが有効です。面談では、企業のよい面だけを説明するのではなく、企業が抱える課題や問題も入社前に伝えておきましょう。
中途採用の費用を見直し、効率よく採用活動を進めるなら「Re就活」がおすすめ!
中途採用の費用を削減するには、採用要件や採用手法の見直しを行い、採用活動の効率化を図ることが重要です。特に転職市場では即戦力人材の獲得競争が激化しているため、採用枠を広げるのもよいでしょう。
20代転職に特化した「Re就活」では、基本属性や経験、志向性などをサーチし、スカウトメールやヘッドハンティング機能を使って求職者に直接アプローチできます。応募数やマッチング率の増加を実現するなど採用の質が高まれば、採用費用の削減にもつながります。
中途採用の費用でお困りの方は、20代採用に強い株式会社学情へお問い合わせください。

株式会社学情 エグゼクティブアドバイザー(元・朝日新聞社 あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)編集長)
1986年早稲田大学政治経済学部卒、朝日新聞社入社。政治部記者や採用担当部長などを経て、「あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)」編集長を10年間務める。「就活ニュースペーパーby朝日新聞」で発信したニュース解説や就活コラムは1000本超、「人事のホンネ」などでインタビューした人気企業はのべ130社にのぼる。2023年6月から現職。大学などでの講義・講演多数。YouTube「あさがくナビ就活チャンネル」にも多数出演。国家資格・キャリアコンサルタント。著書に『最強の業界・企業研究ナビ』(朝日新聞出版)。