オープン・カンパニーとは?インターンシップとの違いや事例を紹介
2025.02.12


2025年卒採用からインターンシップ制度が変更され、新たに登場したのが「オープン・カンパニー」です。まだ新しい制度のため、どのように開催すれば良いか悩んでいる方も多いでしょう。
本記事では、オープン・カンパニーの特徴やメリット、実施事例などについて詳しく解説します。オープン・カンパニーの実施を検討されている企業の方は、ぜひ参考にしてください。
オープン・カンパニーとは?
オープン・カンパニーとは、企業をはじめ、就職情報会社や大学のキャリアセンターなどが主催するキャリア形成支援プログラムのことです。大学1年生から参加でき、企業や業界、職種などの理解を深めることを目的としています。
現場従業員による講演会や交流会、グループワーク、職場見学などを通して、業界の構造や働く環境などを伝えることで、学生たちの今後のキャリア形成を支援します。
次の項目について、それぞれ詳しく解説していきましょう。
- オープン・カンパニーは、2023年度に登場したキャリア形成支援のプログラム
- オープン・カンパニーとインターンシップの違い
- オープンカンパニーと会社説明会の違い
オープン・カンパニーは、2023年度に登場したキャリア形成支援のプログラム
オープン・カンパニーは、2023年度にインターンシップ制度が変更されたことにより、新たに登場したキャリア形成支援プログラムで、2025年卒採用から実施されています。これまで「1dayインターンシップ」などと呼ばれていたプログラムが「オープン・カンパニー」に変わりました。
キャリア形成支援のためのプログラムは4種類に分類され、オープン・カンパニーは「タイプ1」に定義されています。
一方、職業体験を伴うタイプ3とタイプ4は、従来通りインターンシップと呼びます。

オープン・カンパニーとインターンシップの違い
オープン・カンパニーとインターンシップの違いは次の通りです。
オープン・カンパニー |
インターンシップ |
|
目的 |
企業や業界の情報提供 |
適性や進路の見極め/専門分野における実践力の向上 |
就業体験 |
必須ではない |
必須 |
対象者 |
すべての学年 |
規定あり |
オープン・カンパニーの目的は、企業や業界に関する情報提供なので、就業体験の実施は必須ではありません。そのため、半日〜1日程度で終了することが多いです。一方で、就業体験を含めて3〜4日ほどの日程で行う企業もあります。
インターンシップとは異なり、企業や業界への理解を深めることを目的に、大学1年生から参加できます。
オープン・カンパニーと会社説明会の違い
オープン・カンパニーと会社説明会の違いは次の通りです。
オープン・カンパニー |
会社説明会 |
|
目的 |
企業や業界の情報提供 |
採用を目的とした情報提供 |
対象者 |
すべての学年 |
就活生 |
採用のための選考案内 |
不可 |
可 |
オープン・カンパニーの目的は、学生のキャリア形成支援です。そのため、採用のための選考案内や採用選考は行えません。一方、会社説明会は学生の獲得を目的とした活動のため、選考案内や選考が行えます。
どちらも社員との座談会や職場見学など、実施内容が似ている部分もありますが、実施する目的に大きな違いがあります。
なお、オープン・カンパニーで取得した学生情報を採用活動に活用してはならないとする就活ルールは必ずしも守られていない実状もありますが、ここでは政府が呼びかけるルールの原則に沿って説明することとします。
オープン・カンパニーの特徴

オープン・カンパニーは、新たに設定された制度のため、どのように実施するか悩んでいる方も多いかもしれません。オープン・カンパニーの特徴について、詳しく解説していきます。
【目的】企業や業界の情報提供
オープン・カンパニーの目的は、採用ではなく、学生に対して自社や業界の情報を提供することです。そのため、オープン・カンパニーを実施する際には、人材の獲得ではなく、あくまで学生への支援を念頭にプログラムを決定するべきでしょう。
【対象者】すべての学年
オープン・カンパニーは、学生や修士、博士課程などに関わらずすべての学年が対象です。
年次を問わず参加者を募集できるため、企業側は早い段階から学生と接点を持つことが可能です。学生側は低学年時から計画的に参加しておけば、予備知識を得た状態で本格的な就職活動が始められるため、自分に合う企業を見つけやすくなります。
【実施時期】全期間
オープン・カンパニーの実施時期に決まりはありません。ただし、就活と学業が両立できるように、開催時期や時間への配慮が必要です。対面ではなく、オンラインでの開催を検討してみるのも良いでしょう。
株式会社学情の調査によると、2026年卒採用のインターンシップやオープン・カンパニーの開催開始時期は、「2024年8月」が27.5%で最多でした。次いで「2024年6月」の24.7%、「2024年7月」の16.9%が続いており、半数以上が夏季休暇の頃に開催しています。
※参考:株式会社学情「2026年卒採用・インターンシップ動向調査」
【実施内容】講演会や交流会など
オープン・カンパニーの実施内容は、次の通りです。
- 座学
- 現場従業員の講演会
- 現場従業員との座談会
- 交流会
- 職場見学
- グループワーク など
オープン・カンパニーには、希望の業界・業種が定まっていない学生も多く参加します。そのため、実際に働く従業員との交流会や職場見学など、リアルな情報を提供できるように工夫している企業が多いです。
学生に役立つ情報を提供することで、企業イメージや認知度の向上につながります。
オープン・カンパニーを開催する際には、自社のホームページや大学のキャリアセンター、合同企業セミナーを通じて告知し、参加者を募集します。
【実施期間】短期間
オープン・カンパニーの実施期間は、半日や1日などの短期間が大半です。短期間とはいえ、学生の本分である学業の負担にならないよう、企業側は休日や長期休暇を利用して開催するのが望ましいでしょう。
また、授業や就職活動により、平日の日中の参加が難しい学生もいます。オープン・カンパニーを開催する際には学生が無理なく参加できるよう、夕方以降に実施する、午前と午後の部に分けて実施するなど、時間帯も考慮しなければなりません。
参加のハードルを下げるため、オンラインで開催するのもひとつの方法です。忙しい学生や遠方に住んでいる学生も参加しやすくなります。
オープン・カンパニーを実施するメリット

オープン・カンパニーを実施するメリットは次の通りです。
- 早期から学生と接点を持てる
- 企業知名度を高められる
- 若手従業員の育成が期待できる
それぞれ詳しく解説していきます。
早期から学生と接点を持てる
オープン・カンパニーを開催することで、低学年の学生とも接点が持てます。
オープン・カンパニーの対象者は学年を問わないため、1年生や2年生などの早い時期から自社に興味を持ってもらえます。特に中小企業にとっては、企業を知ってもらう貴重な機会です。
早い段階から自社や業界に触れてもらい、自社の名前を知ってもらえれば、いざ就職活動を始めた際に思い出してもらえる可能性も高まります。
企業知名度を高められる
オープン・カンパニーは、企業知名度を高められるチャンスです。
オープン・カンパニーで取得した学生の情報は採用活動に使えませんが、自社を認知してもらえれば、採用につながる可能性が高まります。また、良い印象が与えられれば、企業の情報が口コミで広がり、採用ブランディングとしての効果が期待できます。
企業知名度を高めるためには、学生にとって有意義な内容にすることが大切です。企業の魅力や強みを一方的に伝えるのではなく、学生にとって学びや発見のある内容にしましょう。
若手従業員の育成が期待できる
オープン・カンパニーの実施を通じて、自社の従業員のモチベーション向上や成長を促せます。
とくに、運営スタッフに起用される機会が多い若手従業員にとっては、年齢が近い学生とのコミュニケーションは良い刺激になるでしょう。
たとえば講演会や座談会などで従業員が積極的に関われば、学生との接触により新たな観点が得られ、自身の仕事を見つめ直すきっかけになります。
オープン・カンパニーを実施する際の注意点
オープン・カンパニーには、実施するメリットがある一方で、いくつかの課題もあります。オープン・カンパニーを成功させるためには、事前に注意点を把握しておきましょう。
取得した学生情報は採用活動に活用できない
オープン・カンパニーで取得した学生情報は、採用活動に利用できません。その場で選考が実施できないだけでなく、会社説明会や選考会の案内を送付するために利用することも禁止されています。
一人ひとりとのコミュニケーションが取りにくい
オープン・カンパニーは、基本的に多くの参加者に向かって説明するため、一人ひとりの学生とコミュニケーションを取れない可能性があります。
学生と十分なコミュニケーションを取るためには、座談会や交流会など少人数を対象にした形式を取り入れるのも一つの方法です。また、学生からの質疑応答の時間を設けると、参加者一人ひとりが抱える不安や疑問を解消しやすくなります。
学生とのコミュニケーションを重視するなら、新卒採用サイト「Re就活キャンパス(旧あさがくナビ)」が展開している「就活サポートmeeting」がおすすめです。就活サポートmeetingは、少人数で、参加している学生全員と面談できるため、母集団形成に役立ちます。
【業界別】オープン・カンパニーの実施事例
最後に、オープン・カンパニーの実施事例を業界別に紹介します。
【テレビ業界】対面とオンラインに対応
学生に業界知識を増やしてもらうため、オープン・カンパニーとして自社の仕事紹介イベントを開催した企業があります。イベントには学生の年齢に近い若手従業員を登場させ、仕事の内容を詳しく、リアルな言葉で紹介する工夫が施されました。
「具体的な仕事内容がイメージできない」「テレビ業界は忙しそう」など、業界ならではの疑問や不安に直接回答する時間を設け、業界理解を深めることにつながっています。
また、より多くの学生が参加できるよう、対面とオンラインで同時開催されました。
【建設業界】職業体験を実施
業界や仕事内容への理解をより深めるために、職業体験をプログラムに含めた企業があります。
プログラムには、最先端の研修施設の見学や、入社後に従業員が受ける教育を実際に体験できる内容が含まれていました。その後、実際の業務まで体験することで、働くイメージを持てる工夫が施されています。
実施時間は、学生が参加しやすいよう、午前と午後の2回に分けて開催されました。
【金融業界】業務内容に応じて複数のコースを提供
「銀行業務を体験してみたい」「地方銀行で働く意義を知りたい」学生向けに、オープン・カンパニーを開催した企業もあります。
銀行の業務は多岐にわたるため、業務内容に応じてスタンダードコースとデータサイエンスコースの2種類を設けました。希望者は、両方のコースに参加することも可能です。
データサイエンスコースのプログラムには、最終日に成果の発表会や本部所属行員との座談会が含まれており、よりリアルな体験ができます。
より多くの学生が参加できるよう、オンライン形式で開催されました。
「就職博」でオープン・カンパニーの開催を告知しよう!
オープン・カンパニーとは、学生のキャリア形成支援の一環で、企業や業界の情報提供を行うイベントです。学生と早期から接点を持てる機会でもあり、学生のニーズを把握し、今後の採用活動に活かせる可能性もあります。
ただし、イベントを通じて取得した学生情報は採用活動に活用できないため、一般的な採用活動とは目的を明確に分けておくことが大切です。
オープン・カンパニーの実施を検討されている方は、日本最大級の合同企業セミナー「就職博」をご活用ください。9月〜12月開催の「就職博 インターンシップ&オープン・カンパニー編」では、オープン・カンパニーやインターンシップ先を探すことを目的とした学生も多く参加しています。
開催日程など、ぜひお気軽にお問い合わせください。

株式会社学情 エグゼクティブアドバイザー(元・朝日新聞社 あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)編集長)
1986年早稲田大学政治経済学部卒、朝日新聞社入社。政治部記者や採用担当部長などを経て、「あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)」編集長を10年間務める。「就活ニュースペーパーby朝日新聞」で発信したニュース解説や就活コラムは1000本超、「人事のホンネ」などでインタビューした人気企業はのべ130社にのぼる。2023年6月から現職。大学などでの講義・講演多数。YouTube「あさがくナビ就活チャンネル」にも多数出演。国家資格・キャリアコンサルタント。著書に『最強の業界・企業研究ナビ』(朝日新聞出版)。