
企業の動向
「学生が納得できる決断を支援」 早期の出会い+接点継続が重要に
2027年卒の採用活動は、早期化が進んだ一方、ここに来て企業側の採用判断に慎重さが見られるようになってきた。学情の調査では6月末時点の内々定率は82.3%と8割を超えたものの、前年同時期を4カ月連続で下回り、文系79.4%、理系88.3%と文理ともに伸び悩みが見られる。早期選考で一定の母集団形成を終えた企業が、採用予定数や学生の志望度を見極めながら、追加の内々定出しを慎重に進めていることがうかがえる。
企業の対応は、学生の入社意思を高める長期的なフォローの段階へ移行している。ある食品メーカーでは、最終面接の前段階で複数回の面談を行い、学生の志望度醸成に注力している。面談では、自社以外にも検討している企業や就職活動の終え方についての意向を確認し、会社理解が浅い場合にはフィードバックもする。働くイメージを十分に持てていない学生には、入社後の姿を具体化できるよう若手社員との座談会などを設定。「学生が納得して決断できるよう支援するのも人事の役割」(採用担当者)と捉え、意思決定をせかすことがないよう留意しつつ、志望度が高まった段階で最終選考を実施している。
28年卒に向けた動きも本格化してきた。インターンシップ期から学生との接点をもつ動きは中堅企業にも広がっている。さらに、夏季インターンシップ後の接点維持や秋冬にかけての施策を検討する企業が増えている。早期に動き出した学生との接点の継続は、母集団形成後の志望度向上や学生がその後の選考に進むかどうかを左右する。今後は、早期に出会うだけでなく、「接点を継続しながら志望度を育てる採用設計」がより重要になるだろう。
(フィールドセールス本部 速水 勇介)
学生の動向
内々定後も活動続ける学生多数 生成AI活用講座で留意点伝える例も
2027年卒学生の就職活動では、内々定を獲得した後も活動を継続するケースが増えている。大学キャリアセンターからは「進路決定状況は順調だが、6月以降の内々定承諾や就活終了の報告が前年より伸び悩んでいる」との声が聞かれる。あるキャリアセンター職員によると、賃金のベースアップがある企業や再募集企業への応募を目的に活動を継続する学生が例年より多いという。
学情の内々定率調査では、6月末時点の就職活動率は前年より5.3ポイント高い36.5%で、この数年では24年卒の42.9% に次ぐ高率。特に文系は43.9%と獲得後も比較検討を続ける動きが強い。内々定辞退も進んでいない。
6月に多くの企業の選考結果が出そろったことで、内々定を得た学生の中に、いったん安心感を得ながらも「本当にこの企業で決めていいのか」と改めて考え始める様子が見られ、キャリアセンターには進路相談や意思決定に関する相談が数多く寄せられている。
一方、28年卒学生の動きも活発になってきた。夏季インターンシップやオープン・カンパニーの選考が本格化する中、相談の予約が数週間先まで埋まる大学もあり、キャリアセンターは対応に追われている。
生成AIの活用拡大も、大学の現場では新たなトピックスになっている。エントリーシート作成などに利用する学生が増える一方、「文章は整っているものの、学生本人の考えや個性が見えにくい」との指摘も聞かれ、一部の大学では生成AI活用講座を実施し、適切な活用方法や留意点を伝える取り組みを進めている。
加えて、先輩学生から伝わる「就職活動の早期化」に関する口コミの影響で、29年卒を中心に低学年の動きも目立ってきた。キャリアセンターは従来以上に幅広い学年への支援が求められている。
(キャリアサポート部 斎藤 寛武)
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