企業の動向
いよいよ2024年3月卒学生が入社する年を迎えたが、一部の企業ではその採用の継続を余儀なくされている。2024年卒採用活動を振り返って、課題は企業により様々だが、大きくは2点に集約される。1点目は母集団形成、2点目は選考過程での辞退や内定承諾後の辞退である。母集団形成は業界を問わず困難が生じているが、一部では前年同時期の60%減という企業もある。辞退についても「前年とは比べ物にならない程増えた」という声が後を絶たない。こうした状況を踏まえ、同じ轍を踏まないよう次年度採用に向けコンテンツを練り直す動きもみられる。その一つが採用動画だ。動画を用いて自社をPRする動きは一般化してきているが、「会社紹介」用、「職種紹介」用、「職場紹介」用、「社員紹介」用といった学生の知りたい内容に応じてテーマを細分化し動画制作を考える企業が増えている。母集団形成に苦労し、直接訴求できる人数が限られる中、こうした動画で少しでも自社を知ってもらおうと各社は知恵を絞っている。
2025年卒採用については、活動の早期化に歯止めがかからない。学情の調査では12月末時点で2025年卒学生の内々定率は25.0%。前年同月比7.1ポイント増となり早期化が顕著だ。活動時期を早めて学生に接触を図っている企業をみると、前年よりも概ね3~6ヵ月程度前倒しして動いている印象だ。ただ活動時期を早めるだけでは差別化は難しいと、東証プライム上場のハウスメーカーはリクルーターの増員を決め、学生との接触回数を前年よりも大幅に増やすことで動機形成を図っている。売り手市場が加速する中、採用活動は総力戦の様相を呈してきた。
(フィールドセールス本部 張本 大地)
学生の動向および学生を取り巻く就職環境について
2024年卒学生は前年同時期を上回る内定状況ではあるものの、大学キャリアセンターでは一定数いる未内定者や進路確認ができていない学生に対し、根気強いフォローや状況確認を続けている。学生一人ひとりに対する電話確認のほか、連絡が付かない場合はゼミの教員とも連携しながら状況の把握を行っている状況だ。こうした取り組みによって接触を図れた就職活動中の学生には、求人紹介会や就職相談会を実施。これらへの参加を促しながら「まだチャンスは十分にある」と学生を後押しする取り組みが続けられている。
一方、2025年卒学生の状況であるが、3年生の前期から積極的に活動してきた層は既に結果が出始めている。学情の調査によると12月末時点での内々定率は前年同時期を7.1ポイント上回る25.0%であり、前倒しでの内々定獲得が進んでいる。各大学のキャリアセンターには就職活動終了の是非を相談する学生もいるがそれは一部に留まり、相談内容の多くは「早期選考対策」が占めているという。一方で、学生の「活動疲れ」も見られるようになってきたという声も耳にする。3年生に進級したころから就職活動準備やインターンシップ等に臨むなど活動が長期化し、秋から冬にかけ活動を休止する学生が出始めているようだ。こういった学生に加え、最終学年を目前に本格的に動き出す学生に対し、冬休み明け、あるいは後期試験明けからバックアップできるよう、各大学では例年以上に様々な支援策が計画されている。後期は就職ガイダンスの参加状況が芳しくなかったこともあり、各大学からは「自分の状況を再確認する意味でもキャリアセンターを頼ってほしい」と学生の動きの活発化を期待する声が聞かれる。
(キャリアサポート部 斎藤 寛武)
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