HR用語の基礎知識
ダイバーシティ・インクルージョンのメリットは次の3つです。
それぞれのメリットを詳しく紹介します。
性別や年齢、国籍や文化などにとらわれず雇用することで、従来の採用基準が柔軟になり、より雇用できる人材の幅が広がります。さまざまな価値観を受け入れる姿勢を持つ企業は、従業員の満足度が高く、就業定着率の向上も見込めます。
ここで、就職活動を行う学生を対象に取ったアンケート結果を見てみましょう。
「あさがくナビ2024」による「ダイバシティ&インクルージョン(D&I)」をテーマにした2024年卒学生の意識調査では、「ダイバシティ&インクルージョン(D&I)」の取り組みを知ると「志望度が上がる」という回答が6割を超えました。
回答のなかには「個性を活かして働けそう」「私たちの世代の価値観とも合致している」といった声もあり、「ダイバシティ&インクルージョン(D&I)」を推進する企業に好感を持つといった回答が8割を超える結果となりました。
このように、ダイバーシティ・インクルージョンの取り組みは企業への高評価とつながり、求職者の志望度を上げるきっかけにもなります。
現代社会で必要とされるダイバーシティ・インクルージョンの取り組みですが、メリットだけではなく、問題点も抱えています。
たとえば、次のような問題があげられます。
新しい取り組みを導入する際には、一時的に混乱やトラブルが発生する可能性もあります。新たに登用する人材や特定の層の人材だけでなく、すべての従業員に対して公平な仕組みにできていなければ反発が起きるリスクもあります。
既存従業員においては、変化を受け入れられない場合もあります。ダイバーシティ・インクルージョンの目的や意味を理解しないまま推進すると、何らかの問題が起きかねません。
導入時にはすべての従業員に対して十分な説明を行うことが必要です。ダイバーシティ・インクルージョンの必要性と、導入する目的や意味をわかりやすく伝えて、誤解のないように理解してもらうことが必要です。平等で公平な機会が与えられる取り組みであることをしっかりと伝えましょう。
平成27年8月に内閣府が発表した「女性活躍推進法」は、妊娠や出産で離職した女性に対して、再就職や正規雇用の環境改善を目指す取り組みです。
従業員が300人を超える企業では、女性の働き方に関する現状を把握し、行動計画を策定することが法律によって義務付けられました。
※出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html)
令和元年度に厚生労働省は「多様な人材が活躍できる職場環境に関する企業の事例集」のリーフレットを作成しました。これからダイバーシティ・インクルージョンに取り組む企業に向けて具体的な事例を示し、導入を促す資料です。
さまざまな企業の実例を紹介しながら、ダイバーシティ・インクルージョンに賛同する意義や、意識している取り組みのポイントなどを盛り込み、ダイバーシティ・インクルージョンの理解を促しています。
さらに詳しくは、厚生労働省厚生労働省「障害者雇用促進法・高年齢者雇用安定法」もご覧ください。
厚生労働省は、障がい者や高年齢者の雇用に関して「障害者雇用促進法」と「高年齢者雇用安定法」を制定しています。
障害者雇用促進法は、障がい者の安定雇用を促し、能力や適性に応じた雇用機会を創出することで、誰もが自立した生活ができる社会を目指す法律です。企業は従業員の一定割合以上で障がい者の雇用義務があり、障がい者を雇用する企業は、設備投資などの負担を軽減する「障害者雇用納付金制度」を利用できます。
高年齢者雇用安定法は、意欲のある高年齢者が長く働き続けられるように雇用の確保や職場環境を整備する目的で施行されました。
これらの法律によって、すべての方が自立した生活を送ることを目指しています。
経済産業省では、「新・ダイバーシティ経営企業100選」や「なでしこ銘柄」など優れた企業を選定し、先進事例として情報発信しています。
また、「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」を作成し、企業がとるべき行動も公表しました。日本の経済を持続的に成長させるため、経済産業省では企業の経営戦略としてのダイバーシティ経営を推進しています。
女性をはじめとする多様な人材が活躍できる環境を整えることは、少子高齢化社会で人材を確保し、現代の市場ニーズやリスクへの対応力を高めるために必要不可欠な取り組みであると言えるでしょう。
ダイバーシティ・インクルージョンを実現させるための方法は、次のとおりです。
一つずつ詳しく見ていきましょう。
ダイバーシティ・インクルージョンに取り組む際は、まず目的を明確にしてすべての従業員に共有し、十分な説明を行いましょう。
社内セミナーや研修などでダイバーシティ・インクルージョンについて理解を深める機会を設け、管理職も含めた全従業員にしっかりと理解してもらうことが大切です。
セミナーや研修では次のような内容を盛り込むと良いでしょう。
偏見や無意識の思い込みがあると、ダイバーシティ・インクルージョンの考え方は浸透しません。そのためセミナーや研修では、ダイバーシティ・インクルージョンの目的や意義、メリットを伝えるだけでなく、それぞれが持っている無意識の思い込みや偏見に気づくことが必要です。
ダイバーシティ・インクルージョンを掲げたからといって、すぐに多様な人材が集まるわけではありません。多様な人材を採用するためには外部サービスを活用するのもおすすめです。
たとえば、学情の採用支援サービス「あさがくナビJapan Jobs」では、外国人留学生へもアプローチできます。「多様な人材を採用して社内を活性化したい」「海外展開に向けた人材を雇用したい」「国籍は関係なく優秀な人材を確保したい」という目的や目標がある場合、ぜひ活用してみてください。
また、自社に欲しいタイプのターゲットに絞った内容の会社案内パンフレットを作成して、学生や求職者へアピールする方法も有効です。