HR用語の基礎知識
有効求人倍率とは、企業からの求人数(有効求人数)を、公共職業安定所(ハローワーク)に登録している求職者(有効求職者数)で割った値を指す言葉です。求職者一人に対し、何人分の求人が存在するのかを示しています。
有効求人倍率は、景気を図るための経済指標の一つです。有効求人倍率が高いと、企業は人を雇用する余裕があると見なされ、好景気と判断できます。
有効求人倍率は厚生労働省の「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」で毎月公表されているため、いつでも最新情報を確認することができます。また、テレビや新聞などでも定期的に報道されているため、採用担当者は共通認識として知っておく必要があるでしょう。
※パートタイムを含む
※出典元:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32763.html)
有効求人倍率は全体的に上昇しています。倍率は1以上となっており、グラフからは売り手市場であることが読み取れます。
実数の右にある季節調整値とは、有効求人倍率の実数から季節的要因を除去した数値です。季節的要因とは、月ごとの稼働日数の違いや正月や年度末の決算などの社会習慣、制度の影響など月々の変動の癖を指します。季節的要因が含まれていると単純に比較できないため、実数とともに季節調整値も公表されているのです。
有効求人倍率は、職種別でも公表されています。2023年3月に厚生労働省が発表した統計結果から代表的な職種の有効求人倍率を見ていきましょう。
職種 | 有効求人倍率 |
営業職 | 2.06 |
事務職 | 0.51 |
販売職 | 1.98 |
サービス・接客職 | 2.98 |
社会福祉専門職(福祉相談員・介護支援専門員・保育士など) | 3.02 |
IT系エンジニア(情報処理・通信技術者) | 1.54 |
建築土木職(建設・採掘の職業) | 5.16 |
クリエイター職(美術家、デザイナーなど) | 0.21 |
保安関係 | 6.58 |
※パート含む
※出典元:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)について(参考統計表)」(https://www.mhlw.go.jp/index.html)
保安関係や建築土木職など有効求人倍率が1を大きく超える職種がある一方で、事務職やクリエイター職のように1に満たない職種もあります。
職種によっては人手不足が深刻化しています。このことを考慮しながら自社の採用戦略を検討しましょう。
前項で紹介した表から、有効求人倍率が特に高い職種をピックアップすると、次の2つとなります。
それぞれの求人事情を把握していきましょう。
前項で紹介した表から、有効求人倍率が特に低い職種をピックアップすると、次の2つとなります。
企業が採用活動を成功させるためのポイントは、職種別に異なります。この項目では、職種ごとに採用活動で意識したいポイントや、採用希望者に求めるスキルをご紹介します。
自社が現在求めている職種はなにか、どのような人材が欲しいのかを考えながら、各職種ごとのポイントを把握しましょう。
有効求人倍率は地域によっても異なります。厚生労働省発表の2023年3月の統計結果から、地域ごとの有効求人倍率をご紹介します。
地域(就職地) | 有効求人倍率(季節調整値) |
北海道 (北海道) |
1.18 |
東北 (青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県) |
1.43 |
南関東 (埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県) |
1.17 |
北関東・甲信 (茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県) |
1.53 |
北陸 (新潟県、富山県、石川県、福井県) |
1.63 |
東海 (岐阜県、静岡県、愛知県、三重県) |
1.41 |
近畿 (滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県) |
1.18 |
中国 (鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県) |
1.58 |
四国 (徳島県、香川県、愛媛県、高知県) |
1.46 |
九州 (福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県) |
1.34 |
※記載数値は、新規学卒者を除きパートタイム分を含む
多くの地域で1を超えており、日本は現在売り手市場にあることがわかります。自社が求めている職種の有効求人倍率とあわせて、採用戦略を検討しましょう。
※出典元:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)について(報道発表資料)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32763.html)
有効求人倍率は、採用戦略を検討する上でとても重要な数値です。参考にする際は、次の点に注意しましょう。
それぞれを順番に解説します。