中途採用における転職エージェントの費用相場と各社の特徴比較
公開日:2025.09.29


近年は売り手市場が続いており、転職エージェントの活用が注目されています。かつてはハイクラス採用が中心でしたが、今では第二新卒や若手採用でも積極的に活用されるようになりました。
本記事では、転職エージェントの料金体系や各サービスの特徴、そして自社に合ったエージェントを選ぶポイントなどを詳しく解説します。
転職エージェントとは
転職エージェントは、転職を希望する求職者と、人材を求める企業をマッチングさせ、採用を支援するサービスです。人材紹介とも呼び、中途採用において多くの企業が活用しています。
転職エージェントを利用した採用手順は次の通りです。
- 転職エージェントに求職者の紹介を依頼する
- キャリアアドバイザーが求職者と面談し、希望やこれまでの経験をヒアリングする
- 採用要件に合致する人材をスクリーニングし、企業に推薦する
- エージェントを通じて書類選考を行う
- エージェントを通じて面接の日程調整を行い、面接を実施する
- 最終選考や内定通知のタイミングで給与や待遇などの条件交渉を行う
- 求職者が内定を承諾したら、入社日を調整し、雇用契約を締結する
転職エージェントの料金体系
転職エージェントの料金体系は、次の2種類に分けられます。
成功報酬型 | 実際に入社した場合にのみ費用を支払う |
着手金型 | 採用活動の開始時に、コンサルティング費用として一定の着手金を支払う |
転職エージェントの費用は、ほとんどが成功報酬型です。一方、着手金型は、ハイクラスや専門職の採用で多く見られます。
転職エージェントの手数料の相場
転職エージェントの手数料の相場は次の通りです。
成功報酬型 | 理論年収×30〜35% |
着手金型 | 着手金:理論年収×10〜30%、総額の料率:理論年収×30〜50% |
理論年収とは、採用する人材に支払う、想定される年間の給与総額です。基本給のほか、賞与や各種手当、インセンティブなど、年間で支払われる見込み額を指します。
たとえば、成功報酬型の転職エージェントで理論年収600万円の人材を採用すると、手数料は180万円〜210万円ほどかかります。
転職エージェントの手数料は誰が払う?
エージェントへの手数料は、原則として人材を採用する企業側が負担します。これは、職業安定法第32条により、求職者から手数料を取ることを禁止されているためです。
この法律により、求職者はキャリアカウンセリングや求人紹介、履歴書・職務経歴書の添削といったサポートを無料で利用できます。
また、成功報酬型の転職エージェントの場合、費用が発生するのは紹介された人材が企業へ入社した時点です。入社日を基準に請求書が発行され、通常は当月末や翌月末に手数料を支払います。
手数料が返金される場合
返金規定とは、転職エージェント経由で採用した人材が一定期間内に自己都合で早期退職した場合に、紹介手数料の一部または全額が返還される制度です。多くの転職エージェントで返金規定を設けています。
保証期間や返金率、返金条件は転職エージェントによって異なるため、契約前に確認しましょう。
返金規定の具体例は次の通りです。
入社後1カ月未満 | 紹介手数料の80%返金 |
入社後1カ月以上3カ月未満 | 紹介手数料の50%返金 |
入社後3カ月以上 | 返金なし |
※「Re就活エージェント」の場合
中途採用|転職エージェント比較一覧
転職エージェントは、それぞれに強みや特徴があります。特定の業界や職種に特化したエージェントも多いため、採用ターゲットに合わせて選ぶことが、中途採用を効率的に進める鍵となるでしょう。
中途採用で人気の転職エージェントを一覧で紹介します。
サービス |
料金体系 | 特徴 |
Re就活エージェント | 成功報酬型 理論年収30%〜 |
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リクルートエージェント | 成功報酬型 非公開 |
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doda | 成功報酬型 理論年収35%〜 |
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type転職エージェント | 成功報酬型 理論年収35% |
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JACリクルートメント | 成功報酬型 理論年収35%〜 |
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レバテックキャリア | 成功報酬型 理論年収45% |
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Geekly | 成功報酬型 理論年収35%〜 |
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(注1)※株式会社学情調べ 計測期間:2023年1月~3月
中途採用|各転職エージェントの特徴

転職エージェントによって、それぞれ特徴や得意分野が異なります。採用活動を効率的に進めるには、自社の採用課題に適したエージェントを選ぶことが重要です。
本記事では8つのサービスを厳選し、それぞれの特徴やメリットを紹介します。転職エージェントを選ぶ際の参考にしてください。
Re就活エージェント
Re就活エージェントは、20代転職に特化した転職エージェントです。20代向けの転職サイト「Re就活」と連携し、登録者の97.5%を20代が占めています。
ヤングキャリア・第二新卒は、働く意欲や成長意欲が高く、やりがいや仕事内容を重視する傾向にあります。こうした若手採用を成功させるには、20代の仕事観やキャリア観のトレンドを活かした採用戦略が重要です。
Re就活エージェントでは、未経験者採用のノウハウを持ったアドバイザーが求職者一人ひとりのニーズや関心を踏まえ、彼らの視点で企業の魅力を伝えます。
応募者の見極めから選考対策、内定後のフォローまで一貫してサポートするため、若手採用の経験がない企業でも、自社にフィットする人材を効果的に採用できるでしょう。
【料金】成功報酬型
- 社会人経験1年以上:理論年収35%
- 社会人経験1年未満:理論年収30%
- 社会人経験なし:一律100万円
※詳しい費用については、株式会社学情にお問い合わせください。
【こんな企業におすすめ】
- 20代の若手層・第二新卒を採用したい企業
- 成長意欲や人柄を重視したポテンシャル採用をしたい企業
- ミスマッチによる早期離職を防ぎたい企業
Re就活エージェントの詳細についてはこちらをご覧ください。
リクルートエージェント
リクルートエージェントは、業界最大級の登録者数と豊富な非公開求人が強みの転職エージェントです。幅広い業界・職種・年齢層の求職者をサポートしているため、企業が持つ多様な採用ニーズに柔軟に対応できます。
また、「リクナビHRTech 転職スカウト」を無料で利用できるのも大きな特徴です。これにより、気になった求職者に企業から直接スカウトを送れるだけでなく、リクナビNEXTのデータベースに登録されている求職者にもアプローチできるため、効率的な採用活動が期待できるでしょう。
【料金】成功報酬型:非公開
【こんな企業におすすめ】
- 多様な人材を採用したい企業
- 全国各地に採用ニーズがある企業
- 大規模な母集団から効率的に採用したい企業
doda
dodaの最大の特徴は、求人サイトとエージェント機能をワンブランドで提供している点です。これにより、エージェント経由の紹介だけでなく、求人広告やスカウト機能からも幅広い求職者にアプローチできます。
さらに、リクルートエージェントに次ぐ膨大な求職者データベースを保有しており、多様な層の人材にリーチできるのも強みです。企業はdodaのデータベースから自社の採用要件に合う求職者の匿名レジュメを検索し、直接スカウトメールを送ることも可能です。
【料金】成功報酬型:理論年収35%〜
【こんな企業におすすめ】
- 転職サイトとエージェント機能を両方活用したい企業
- 幅広い業界・職種・年代の人材を募集している企業
- スカウト機能で潜在層にもアプローチしたい企業
type転職エージェント
type転職エージェントは、IT・Web業界とものづくり系職種の採用に特化した転職エージェントです。
エンジニアやプログラマー、Webディレクター、デザイナーといったIT・Web関連職種などの採用を得意としています。
各業界・職種に精通したアドバイザーが採用活動をサポートするため、マッチング精度の高い採用が期待できるでしょう。加えて、主要拠点が東京に集中しており、一都三県(東京・神奈川・千葉・埼玉)での転職支援に定評があります。
【料金】成功報酬型:理論年収35%
【こんな企業におすすめ】
- IT・Web業界、ものづくり系の人材を採用したい企業
- 首都圏での採用を重視している企業
- 企業文化やチームへのフィット感を重視したマッチングを求めている企業
JACリクルートメント
JACリクルートメントは、管理職やハイクラスに特化した転職エージェントです。一般的なハイクラス層に加え、エグゼクティブや専門職領域で実績と高い信頼を得ています。
特に、経営幹部採用や新規事業立ち上げなど、機密性の高い案件に強いのが特徴です。徹底した情報管理と専任体制を敷いているため、企業は安心して採用活動を進められます。
さらに、世界11カ国・34拠点で事業を展開しており、独自のグローバルネットワークを活用した採用支援にも長けています。
【料金】成功報酬型:理論年収35%〜
【こんな企業におすすめ】
- 管理職・ハイクラス層、専門性の高い人材を採用したい企業
- 外資系企業やグローバル展開を強化したい日系企業
- 機密性の高いポジションを採用したい企業
レバテックキャリア
レバテックキャリアは、IT・Webエンジニアやクリエイターに特化した転職エージェントです。
在籍するアドバイザーは、IT・Web業界の技術トレンド、開発言語、プロジェクト管理手法などを深く理解しています。そのため、技術者である求職者のスキルや志向性を正確に把握し、マッチング精度の高い採用を期待できるでしょう。
加えて、企業に対しては、IT・Web業界の技術トレンド、人材の市場価値、競合他社の採用動向などを踏まえ、戦略的な採用活動をサポートしています。
【料金】成功報酬型:理論年収45%
【こんな企業におすすめ】
- IT・Web業界の技術職を採用したい企業
- 求職者の技術スキルを重視している企業
- 人材の定着率を高めたい企業
Geekly
Geeklyは、IT・Web・ゲーム業界の専門職採用に特化した転職エージェントです。
在籍するアドバイザーは、IT・Web・ゲーム業界の技術や職務内容を深く理解しているため、求職者の技術スキルや経験、志向性を正確に見極めるのに長けています。
また、登録から内定までの期間が平均30日という圧倒的なスピード感もGeeklyの大きな強みです。急募のポジションや優秀なIT人材を競合に先駆けて確保したい企業にとっては魅力的でしょう。
【料金】成功報酬型:理論年収35%〜
【こんな企業におすすめ】
- IT・Web・ゲーム業界の技術職を採用したい企業
- スピーディーな採用活動を希望する企業
- 20代~30代の若手・中堅層のIT人材を採用したい企業
転職エージェントの活用がおすすめな企業

採用活動を効率的に進めるうえで、転職エージェントの活用は有効な手段です。では、具体的にどのような企業が転職エージェントの利用で大きなメリットを得られるのか、その特徴を解説します。
採用活動にかけられる時間や人員が不足している企業
転職エージェントは、求職者の紹介だけでなく、求人票作成や求職者のスクリーニング、面接日程調整、条件交渉といった採用業務も代行します。これにより、採用工数を削減し、採用担当者の業務負担を大幅に軽減できるでしょう。
さらに、採用のプロが豊富な実績と市場データをもとに、戦略的な採用活動を全面的にサポートします。そのため、中途採用のノウハウがない企業でも、人手をさほどかけずに効率的な採用を実現できます。
マッチング精度の高い採用を目指している企業
転職エージェントは、単にスキルや経歴を見るだけでなく、求職者の人柄や企業文化との適合性、キャリアプランなどを深くヒアリングしたうえで企業とのマッチングを行います。
これにより、採用のミスマッチを未然に防ぎ、早期退職のリスクを低減できるでしょう。
特にポテンシャル採用の場合、求職者が持つ潜在能力や将来性を正確に見極めるには経験やノウハウが必要です。そのため、ポテンシャル採用に特化したエージェントに依頼することで、マッチング精度の高い採用が期待できます。
採用活動をスピーディーに進めたい企業
求人サイトでは広告掲載の準備から応募が集まるまでに時間がかかることがあります。しかし、転職エージェントであれば、登録済みの膨大な求職者データベースから採用要件に合った人材を素早く見つけ出し、スピーディーな母集団形成が可能です。
さらに、すでにスクリーニングされた求職者が多いため、書類選考にかかる手間も省けます。そのため、特に競争が激しい職種や緊急性の高いポジションの採用を目指している企業におすすめです。
専門職やハイクラス人材を採用したい企業
ITエンジニアや研究職、管理職など、採用難易度の高い人材は市場に少なく、競争も激化しがちです。そのため、求人広告だけで採用を目指すのは難しい傾向にあります。
しかし、転職エージェントであれば、独自のネットワークや専門知識を駆使し、最適な人材や転職潜在層にもアプローチできます。これにより、採用活動を効果的に進められるでしょう。
転職エージェントを選ぶポイント
自社の採用課題を解決し、理想の人材と出会うためには、適切なエージェント選びが不可欠です。そこで、エージェントを選ぶ際に注目すべきポイントを解説します。
転職エージェントの特色と採用ターゲットがマッチしているか
転職エージェントはそれぞれ得意分野を持っています。例えば、第二新卒や若手キャリアに特化していたり、管理職やハイクラス層の採用実績が豊富だったりと、サービスによって強みはさまざまです。
そのため、採用活動を効率的に進めるには、自社の採用ターゲットとマッチする転職エージェントを選びましょう。
専門性の高いアドバイザーがいるか
企業の採用成功には、アドバイザーの質が大きく関わってきます。単に求職者を紹介するだけでなく、採用市場の動向を踏まえた具体的なアドバイスや、自社の魅力を求職者に伝える提案力があるかを見極めることが重要です。
特に初めて転職エージェントを利用する場合は、企業へのフォローが手厚いエージェントを選ぶと良いでしょう。
採用コストと返金規定を確認する
多くの転職エージェントの料金体系は成功報酬型ですが、その料率や最低手数料はエージェントによってさまざまです。採用する人材のスキルや経歴によっても料金が変わる場合があるので、契約前に必ず確認しましょう。
また、返金規定もエージェントごとに異なります。ほとんどの転職エージェントで返金規定はありますが、保証期間や返金の割合などは大きく異なるため、事前の確認が必要です。
中途採用を成功させるには、費用対効果の高い転職エージェントを選ぼう!
本記事では、転職エージェントの費用や各エージェントの特徴を解説しました。転職エージェントの利用は、採用単価が高くなるケースがあるものの、効率的な人材確保に非常に有効な手法です。
ポジションによって求人サイトとの使い分けを検討すれば、結果的に採用単価を抑えることも可能になるでしょう。
採用コストを抑えながら、マッチング精度の高いポテンシャル採用を目指すなら「Re就活エージェント」をご検討ください。20代採用に特化したアドバイザーが、求職者の紹介だけでなく、企業の採用活動を総合的にサポートします。
第二新卒やヤングキャリアの採用をご検討の方は、株式会社学情へお問い合わせください。

株式会社学情 エグゼクティブアドバイザー(元・朝日新聞社 あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)編集長)
1986年早稲田大学政治経済学部卒、朝日新聞社入社。政治部記者や採用担当部長などを経て、「あさがくナビ(現在のRe就活キャンパス)」編集長を10年間務める。「就活ニュースペーパーby朝日新聞」で発信したニュース解説や就活コラムは1000本超、「人事のホンネ」などでインタビューした人気企業はのべ130社にのぼる。2023年6月から現職。大学などでの講義・講演多数。YouTube「あさがくナビ就活チャンネル」にも多数出演。国家資格・キャリアコンサルタント。著書に『最強の業界・企業研究ナビ』(朝日新聞出版)。