

企業の動向
27卒はさらに早期化傾向 辞退対策で企業ごとに柔軟な対応が必要に
7月末時点で9割弱という高い内々定率を記録している2026年卒採用だが、学生の夏休み期間も採用活動には一定の動きが見られた。8月に各地で開かれた学情主催の合同企業セミナー「就職博」では、昨年と同程度かそれ以上の来場者数を記録。採用目標を充足していない企業が多い中、企業・学生双方にとって良い出会いの場となったようだ。
マーケット全体を俯瞰すると、「早期化・長期化」や説明会から選考への「移行率の低下」が大きな課題となっている。インターンシップ等の開催時期を早めたり、コンテンツや日程を増やしたりした企業でも母集団は横ばいか微減。例年通りの施策を続けた企業では3~5割減の例もある。インターンシップ等に参加後、早めに見切りをつける学生や選考途中での辞退・内定辞退が増えており、陸・空のインフラ大手でも内定辞退率が5~6割に達するケースが報告されている。
充足率を補うため27年卒採用はさらに早期化の傾向が強まる見通しで、夏休み明けから早期選考に移行する企業が増えると予想される。年内に内々定を出す「第1クール」、年明けの「第2クール」、3月以降の「第3クール」という3段階の流れが定着しつつあり、企業は広報や選考の前倒しを迫られている。
ただ、学情の調査では、26年卒向けインターンシップ等を実施した企業は前年より4.9ポイント減った。ある中小メーカーでは、インターンシップ等を取りやめて広報解禁後の活動に絞った結果、コストやマンパワーを抑えて目標人数を確保できた。25年卒でインターンシップ等からの早期内々定出しをしたものの辞退が増加。そこで26年卒では思い切って採用活動の時期を絞ったところ、志望度の高い学生と出会えたという。各社のリソースに応じた柔軟な戦略が必要な時代に突入している。
(フィールドセールス本部 大久保 貴彦)
学生の動向
27卒生は複数社のインターン等に積極参加 大学は低学年対応も
2026年卒予定の学生はまだ未内定者がいるものの、状況はかなり落ち着いてきた。夏休みとあって、キャリアセンターへの相談も大幅に減少。大学側は進路報告がない学生に対し電話などで状況確認を行っているが、連絡が取れず把握できていない学生も多い。一方で、企業からの求人は大学に継続して届いている。9月からは大学院進学などからの進路変更者が就職活動を開始するため、今後は相談数の増加が見込まれる。
27年卒予定の学生は夏のインターンシップに参加する者が多く、忙しい様子を見せている。近年は早期選考につながるケースも多く、希望する業界や企業のプログラムを探して積極的に参加している。時間の都合がつく学生はオープン・カンパニーを含め複数社に参加しており、夏休み期間であっても就職活動の準備に追われている。
一方で、部活動などで多忙なため夏のインターンシップ等に参加できなかった学生も一定数存在し、9月以降はオープン・カンパニーを中心に活動を始めるとみられる。大学は今後実施されるインターンシップ等の情報を積極的に収集している。
私立大学は9月中旬、国公立大は10月初旬から授業が再開される。秋学期には業界研究の合同企業説明会などのイベントを準備する大学が多いが、近年は参加者数が減少傾向にあり、参加数向上を目的としたイベント準備講座などを実施する動きも広がっている。逆に、こうしたイベントへの28年卒予定学生など低学年の参加者数は増える傾向にあり、キャリアセンターは幅広い学年への対応が求められている。
(キャリアサポート部 江村 朋裕)
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