企業の動向
10月2日、月曜日。多くの企業で2024年卒学生対象の内定式が執り行われた。ただその直前に内々定辞退が相次ぎ、内定式当日を順風満帆に迎えられた企業ばかりではなかった。弊社の調査によると8月末時点での内々定率は90.6%と高水準であったが、それでも4人に1人は就職活動を継続していた。調査から1ヵ月、いよいよ内定式が近づく中、就職先を確定させる動きが広がり、それが内々定辞退へと繋がったといえる。ある大手IT企業では9月以降、内々定承諾者の25%にのぼる学生から辞退の申し出があり、採用活動の継続を余儀なくされているという。さらに、大手を含め企業側が2024年卒採用を延長していることを受け、活動を再開する学生も増えている。企業としては油断できない状況が続く。
2025年卒採用では「対面回帰」の動きが目立つ。弊社が10月1日に東京・大阪で開催したインターンシップ、オープン・カンパニーイベントは2会場で計4,000人を超える学生が来場し、盛況を呈した。ここ2~3年はオンラインが活動の中心であった大手企業も名を連ねるなど、出展企業の顔ぶれには変化が生じた。「対面回帰」が加速する背景には、学生と直接会うことでミスマッチを防ぎたいという企業側の意図もあるのだろう。インターンシップやオープン・カンパニーも同様で、オンラインだけでなく対面との両軸で構える企業が増加している。各社からは「対面を希望する学生が想定以上に多い」との声をよく耳にする。オンラインと比べ、対面開催は会場のセッティングを始めマンパワーを要する。なかなか収束に向かわない2024年卒採用、そして対面の増えた2025年卒学生への対応と、人事担当者にとって慌ただしい状況が続いている。
(フィールドセールス本部 片井 宏一)
学生の動向および学生を取り巻く就職環境について
10月に入り、2024年卒学生の内定状況は「平年並みか、それ以上」と認識している大学が多い。一方、スタートで出遅れた、志望業種・職種の幅を広げられずにいる、といった一部の学生は就職活動を継続している。大学側もそうした学生向けに数社限定の学内企業セミナーを開催したり、追加求人を紹介したりしながら支援を継続している。
夏季インターンシップ、オープン・カンパニー参加の山場が過ぎた2025年卒学生については、企業情報の収集や応募先の検討に関して、例年よりも早く、かつ積極的に着手する姿が目立った。今年度から三省合意に基づくインターンシップが実施されたこともあり、夏季の活動の重要性が学生にも浸透したといえる。企業も対面開催、人数限定開催など早期選考を意識したプログラムを増加させた。そのため事前の選考で不合格となり、参加したくてもできない学生も多くみられた。大学は後期に入り、早期選考を視野に入れた実践的な就職支援策が計画されている。例年であれば採用情報解禁直前の1月~2月に開催していた学内合同企業セミナーを、年内に、社数や業界を限定する形で予定する大学もあり、数ヵ月早めた支援が展開されそうだ。一方で必ずしも積極的な学生ばかりではない。準備を進める学生は秋季インターンシップ、オープン・カンパニーや学内外での業界研究イベントに参加していくだろうが、そうではない学生は採用情報解禁直前までほとんど何もしない可能性もある。企業の動きが早まっている以上、準備の遅れは将来の可能性を狭める恐れもある。学生の就業観を養い、行動へと促せるかが課題と言えそうだ。
(キャリアサポート部 小島 明代)
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