企業の動向
2024年卒の採用広報解禁から3ヵ月が経過し、政府が定めた「6月から選考解禁」という採用ルールを踏まえれば、いよいよこれから採用活動が佳境に入る時期である。ただ6月より前から多くの企業が内々定出しを進めており、学生の動きは既に収束気味だ。弊社調査によると5月末時点での内々定率は76.3%と昨年同時期を8.5ポイント上回り、学生の4人に3人が内々定を獲得している状況である。さらに6月以降は大手企業が内々定出しを加速させることから、早々に内々定出しを進めてきた企業からは内々定辞退を懸念する声が聞かれる。ある住宅関連商社は100名以上に内々定を出し、その数は採用計画数に近づきつつあるものの、今後の辞退に備えて2024年卒採用をさらに強化するという。
多くの企業では2024年卒採用が道半ばであるものの、採用活動全体の早期化に乗り遅れまいと2025年卒採用の準備も進められている。6月にオープンした「あさがくナビ2025」では、インターンシップやオープン・カンパニーの情報数が昨年同時期と比べ大幅に増加。それに伴い学生のエントリーの分散も予想されるため、ある食品メーカーの人事担当者は「早期から企業PRを強化し選択肢に入れてもらうことが重要だ」と語る。同社はこれまで地元での採用に注力してきたが、全国に視野を広げIターン・Uターン学生を含む優秀層の確保に初期段階から着手する考えだ。採用活動のプレ期は、会社の有名無名を問わず、どのようなコンテンツを用意し、どのようにアピールするかで、学生の認知度を向上させやすい時期でもある。各社の動向を注視しつつ、より目立つ施策を打ち出せるかが鍵となるだろう。
(フィールドセールス本部 今泉 佑太)
学生の動向および学生を取り巻く就職環境について
2024卒学生の就職活動は順調に推移している様子がうかがえる。大学キャリアセンターへ寄せられる相談も、内々定報告やそれに伴う書類提出に関するもの、さらに複数の内々定を保有している学生からの「辞退の仕方」といった相談が多くを占めているようだ。早期の内々定獲得が進んでいることもあり、ある大学では「就職活動終了報告のピークが例年よりも1ヵ月ほど早まっている」という。その一方で、就職活動を始めたばかりという学生も少なくない。6月に開催された合同企業セミナー「就職博」にはそうした学生の姿も見られ、就活相談ブースでは「スタートで出遅れたが、夏の間には就職活動を終了したい。どうしたらいいか」という相談が後を絶たなかった。さらに公務員試験も本格的に始まっており、その結果次第では、やや落ち着きが見られる2024年卒学生の就職活動も再び活発化しそうだ。
2025年卒学生は「あさがくナビ」等でのインターンシップや仕事体験へのエントリーを積極的に進めており、例年の今頃の時期と比べても活発な印象だ。5日間以上など中長期に及ぶ夏季インターンシップの参加には書類提出や選考を課されるケースが多いため、大学で実施される選考対策講座なども賑わいを見せている。ただ、多くの大学では参加学生数が昨年同時期を下回っているようで、「準備が不十分ではないか」「選考を甘く捉えているのではないか」と懸念する声も少なくない。一方で2年生など低学年の学生から寄せられるインターンシップに関する相談は増加傾向にあるという。就職活動におけるインターンシップの存在感が増す中、低学年であっても直接企業と接する機会を持ちたいという学生が増えているようだ。
(キャリアサポート部 江村 朋裕)
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