HR用語の基礎知識

ジョブ型採用

人事の図書館 編集長 大西直樹
「ジョブ型採用」とは、「職務や勤務地、労働時間等が限定された雇用契約(ジョブ型雇用)」を前提とした採用のことです。日本では会社でジョブローテーションを繰り返し、会社に最適化された人材を育成する「メンバーシップ雇用」が一般的です。しかし、年功序列・終身雇用の崩壊に伴い、徐々に成果主義をベースにした欧米型の雇用手法が日本に浸透していくにつれて、日本企業においてもジョブ型雇用を導入する企業が増加しています。

22卒学生の約8割が「ジョブ型採用に興味あり」と回答。

新型コロナウィルスの世界的に流行をきっかけに、テレワークの導入をはじめとする働き方の見直しが進んでいます。また、業務のあり方や勤務制度の見直しが進むにつれ、雇用に対する考え方も変わってきたことも、ジョブ型雇用の導入を後押ししています。例えばKDDIでは、21年度入社でジョブ型採用の割合を4割にまで拡充すると公表しました。この他、日立製作所、資生堂、富士通といった企業がジョブ型雇用へのシフトを進めると発表しています。

株式会社学情が22卒の学生を対象に実施した調査では、約8割が「ジョブ型採用に興味がある」と回答しており、「ジョブ型採用を実施している企業があればプレエントリーしたい」と回答した学生は半数以上になっています。興味がある理由としては「どんな仕事をするかが明確だから」が最多、次に「配属される部署が決まっているから」となっており、入社後の仕事内容が明確な点に魅力を感じている学生が多いことが読み取れます。

メンバーシップ型採用との違い。

ジョブ型採用と対比されるのが、メンバーシップ型採用です。メンバーシップ型採用とは、「職務や勤務地、労働時間などが限定されない雇用契約(メンバーシップ型雇用)」を前提とした採用のことであり、ジョブ型採用とは真逆になります。 メンバーシップ型雇用は、仕事や勤務地が限定していないため、新卒採用でスキルゼロの大学生も雇用し教育します。たとえ、部署や事業部が統合・消滅しても、他の部署に配置換えされ、またそこでOJT等の研修を通し、新しいスキルをセットされます。労働者は、残業や転勤等の辞令に従う必要があるものの、手厚い教育が受けられ、ある程度の雇用の安定性もあるため、安心して仕事に取り組むことができます。

ジョブ型採用とメンバーシップ型採用の代表的な違いは、以下になります。
ジョブ型採用は「仕事に合わせて人を割り当てる」採用です。職務内容や勤務地、給与などがジョブ・ディスクリプション(職務記述書)によって明確に定められており、求職者はその内容に自分の希望・スキルが合っていれば応募します。ジョブ・ディスクリプションが更新されない限り、配置転換や昇給、キャリアアップは生じません。一方、メンバーシップ型採用は「人に合わせて仕事を割り当てる」採用で、仕事内容や勤務地等を限定せず、求職者はポテンシャルや人柄を考慮に入れて採用されます。そのため、メンバーシップ型採用は「就職」というより「就社」に近いと言われています。

ジョブ型採用のメリットとは?

ジョブ型採用には次のようなメリットがあります。

◆ポジションに合った人材を確保できる
ジョブ型採用では一から担当者を教育するのではなく、事業内容に応じて必要なポジションにあった人材を転職市場から募集します。よって環境の変化に合わせてスピーディーに組織を最適化し、育成コストも削減できます。

◆年齢・国籍・性別に依らない多様な人材が活躍
ジョブ型採用は、人柄ではなくスキルや能力を重視するため、そこに年齢・国籍・性別は問いません。人柄を除外した純粋な自分のスキルや能力を測られるため、よりシビアに成果を問われ、プレッシャーのかかる環境になりますが、休暇や働き方は柔軟で自由になります。

◆長時間労働になりづらい
業務内容や労働時間が契約によって明確に定められているため、長時間労働になりづらい傾向があります。また柔軟に契約を交わせる企業であれば、育児や介護に合わせて時短勤務やリモート勤務で働くことも可能です。総合職と一般職、パート・アルバイトといった大まかな採用方法だけではなく、労働側の状態や能力によって柔軟に働き方を変えられます。

◆スキル次第で給与をあげられる
ジョブ型採用では給与は年齢ではなく、業務内容に応じて決定されるのが一般的です。よって、年齢に関係なく社内のポジションや担当する業務によっては高給を得られます。企業側は労働側の仕事内容や成果を明確に把握する必要があり、正しい人事評価を行う必要があります。

◆雇用主と働き手の関係がフラットに
従来のメンバーシップ型採用には、「雇い主>従業員」というパワーバランスが存在していました。しかしジョブ型採用に変われば、雇用主の労働力確保というニーズと、労働者のスキルや能力がマッチするフラットな契約関係になります。ある意味ドライな関係ですが、労働者からすれば非常に風通しがよく動きやすい労働環境でもあり、雇用主も、人情に振り回されることなく、淡々と優秀な人材の採用・確保ができます。

これまでメンバーシップ型採用一辺倒だった日本企業ですが、ジョブ型採用の積極導入、また従来のメンバーシップ型採用の良さを残しつつ、ジョブ型採用との併用による日本独自の「ハイブリッド型採用」を模索する動きも出てきています。まだ一部大手企業に限られた動きではありますが、今後は多くの企業でジョブ型、またはハイブリッド型採用へのシフトが進んでいくことは間違いありませんので、まずは自社に適した雇用にあり方について、検討を始めるきっかけにしていただければ幸いです。

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