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学情レポート【COMPASS】2015.09

学情レポート【COMPASS】 2015.09
『日本の就活を変えるか!?長期インターンシップの取り組み』

採用活動スケジュールが前年から3~4ヶ月繰り下げとなった2016年卒採用。余裕の生まれた期間に各社が注力したものが就業経験の場である「インターンシップ」だ。ただし実態は、実施が1日のみであるなど短期型のものが数多く、就業体験よりも自社認知度向上に重きが置かれる傾向にあった。そのようなインターンシップとは一線を画して実施されているものが「長期インターンシップ」だ。イメージとしてはアルバイトに近く、数ヶ月~数年単位で企業の業務に携わる。もっともアルバイトとは違い、「営業として取引先との商談を行う」「Web担当としてサイトの運営やシステム構築を行う」など、社員と変わらない仕事に取り組むことになる。まさに本来の意味通り、業務を体験するものである。さらに企業、学生が互いをよく知る機会になるため、マッチングが図れればそこから採用にも繋がりやすい。

今号では長期インターンシップ実施企業の取り組み内容やインターンシップ経由での採用等に関してインタビューにより紹介する。実質的な就職活動の長期化、オワハラ(就活終われハラスメント)、内定辞退者の多発など様々な問題が指摘されている現行の就職活動。長期インターンシップは解決の糸口になりうるか、その可能性を探る。

企業インタビュー

長期インターンシップ実施企業の取り組みとインターンシップ経由での採用について

株式会社スマートエデュケーション
プロデューサー 山際 健太

株式会社スマートエデュケーション
《事業内容》学習コンテンツの企画・開発・販売事業

  1. iPad、Androidタブレット等の
    タブレット端末やスマートフォンを活用した、
    乳幼児向け「知育」アプリケーションの企画・開発・販売
    [対象:世界中の一般消費者]
  2. iPad、Androidタブレット等のタブレット端末を活用した、
    幼児向けIT教育プログラムの企画・開発・販売
    [対象:各保育施設]

《従業員数》社員21名、インターンシップ生5名 ※2015年8月時点

インターン生も社員と分け隔てない業務に取り組み、インターン生の存在が社内に好循環を生み出す

インターン生には当社で開発している乳幼児向けの知育アプリの運営・改善や新規アプリの企画からリリースまで、幅広い業務を担当してもらっています。アンパンマンやドラえもんなど有名なキャラクターが登場するアプリもありますので、権利者との打ち合わせなど、社員と分け隔てなく責任を伴う仕事もしてもらいます。もちろん最初の段階ではしっかり面倒を見ますが、ある程度自分で仕事を回せる段階まで来たら何をすべきかこちらで指示するのではなく、仕事の進め方はインターン生に一任しています。ただ全て任せっぱなしではなく、設定した目標に対して2週間に1度の面談を実施したり、機を見て進捗状況を確認することで、やる気の面をフォローしています。また参加期間の長いインターン生が他のインターン生に仕事を教えるといった良い循環も生まれています。

私はインターン生の募集に携わっていますが、インターン採用の決め手として素直さ、賢さ、やりきれるか、自走できるか、といった点を重視してみています。特に自走できる、すなわち自分の力で何かを成し遂げたことがある学生を受け入れているため、責任のある仕事を任せられています。逆に言うと、就職活動に役立ちそうだからという理由で応募してくる学生の受け入れは難しいと考えています。

当社は中途社員ばかりの会社ですので、インターン生である学生が仕事のやり方などを社員に聞きに行くと皆、自分が頼られていると感じて喜んでいます。教える側もどうやったら分かりやすく伝わるかを考えたりと、インターン生がいることでお互いが成長できるという好循環が発生していると思います。またインターン生が社員を巻き込んで、遊び要素も取り入れた様々なイベントを企画するなど、とても良い雰囲気で仕事ができていますね。

インターンで学生の本質を見極め、優秀な若手人材採用に繋げる

現状当社の採用は中途採用か長期インターンシップ経由での新卒採用のみ。いわゆる新卒一括採用の流れに沿う採用手法は採っていません。実は私が当社の新卒入社第1号で、インターンシップ経由での入社でした。私自身も感じていますが、インターンシップを通して会社の雰囲気や社員が取り組むレベルの仕事を体感していたため、入社後のギャップは全くありませんでした。通常の就活ではどうしても要領の良い学生が採用されがちな面があると思います。学生時代、同じ研究室にいたある学生で、研究はとても頑張っているけどコミュニケーションが得意ではなく、面接をなかなか突破できずに研究室で泣いている姿を見たことがあります。面接だけではその学生の本質を見極めるのは難しいですし、実は優秀な学生を拾いそびれている可能性もあると思います。でも長期インターンであればそうした点も見極められます。今後会社が拡大して大幅増員を目指すなら別ですが、当面はインターン経由での採用しか考えていません。若手が発信したり、活躍し出すと社内が盛り上がりますし、若手が自身の成長とともに会社を成長させることで企業カルチャーが育まれる。そう考えるとやはり優秀な若手人材採用に繋がる長期インターンは重要だと思います。

長期インターンシップ参加学生へインタビュー

▲左から金ダソムさん(学部4年生)、
 石地亮介さん(学部3年生)

―――長期インターンシップに参加しようと思った理由は何ですか?

石地 私は大学2年の後期から1年間休学して自分で事業を立ち上げたのですが、思うように事業が進展しませんでした。その理由として自分がビジネスについてよく分かっていなかったからだと思い、実際に企業の中で勉強しようと考え長期インターンを探しました。その中でスマートエデュケーションを見つけ、今年の2月からインターンに参加しています。

 私は韓国から日本に留学に来ているのですが、大学1年の冬休みに知人から「韓国人のスタッフを探している企業があるよ」と紹介されたのがきっかけです。アルバイトをしたことがなかったため、「やってみたい!」と思い面接を受けました。そこで当社のアプリに触らせていただいたのですが、すごく楽しくて、是非ここでインターンをしたいと思い参加が決まりました。ちなみにそのとき当社は韓国進出をするタイミングで、インターン参加後1ヶ月経たないうちに、1ヶ月間の韓国出張があり、その取りまとめ役を任されたときはさすがに戸惑いました(笑)。その時は現地の保護者へのインタビューや韓国のマーケティング会社に依頼してマーケット調査などを行いましたが、慣れた土地でもあるのですんなりと取り組めました。

―――インターンシップを通してどのようなことを学べていますか?

石地 大学で経営戦略を学んでいるのですが、ビジネスの中だとそこに介在する人がどういう感情でその戦略を取ったのかがリアルに感じられる点が大きな学びですね。インターン生にも企業の実情を包み隠さず共有してくれるので良い経験になっています。インターン生側からも意見が言いやすい環境ですし。周りの友人や後輩にも、一般的なアルバイトよりはインターンの方が断然面白いと薦めています。また、試作段階の知育アプリを保育園に持っていき子どもたちに遊んでもらう機会があるのですが、子どもたちがこちらの予想していた遊び方とは全く異なる遊び方をしたりして、とても興味深いです。そうした子どもの視点が学べることも面白さの一つです。

 勉強は一人でいくらでもできますが、仕事は社員やチームで協力し合わないとできません。そうした他者との関わり方が学べるのは大きな点ですし、大学のゼミ活動でも活かすようにしています。

―――学業と両立はできていますか?

石地 私は週4日インターンに入っていますが、半日入る日もあるし、午前会社に来て、そのあと授業に行き、終わったらまたインターンという日もあります。そのあたりは融通を利かせていただいています。

 学校のレポートがある日は出社せずに自宅作業が認められており、学業への配慮はしっかりとしていただけています。

―――現状の日本の就活や長期インターンシップをどう思いますか?

石地 新卒一括採用の良い点はまっさらな状態の学生を一から企業が育ててくれるところ。でも入社後のミスマッチが多いことが難点だと思います。面接の場では過去の実績と人柄でしか学生を判断できないと思いますが、長期インターンなら企業は学生が実際に業務をする上での能力を見る事ができ、学生は内側から企業の様子を見て判断できます。そうすることでミスマッチが防ぎやすくなる。また企業では社員が都度何らかの目標を立てますが、学生生活では多くの場合それをしません。でも目標設定をすることで自分が何をすべきか、どうなりたいかが見えてくる。それが学べることも大きな意義ですね。

 インターンなら実務に関わることで自分の能力が分かりますし、携わった仕事や企業に合うか合わないかが分かります。インターンは自分のことを知るのにとても適していると思います。

▲インターン生も社員と
 分け隔てなく業務に取り組む

―――今後のお二人の進路を教えてください。

石地 最終的にはやはり自分で企業を立ち上げたいと考えています。そのためにも自己成長の機会が多い進路を選びたいので、スマートエデュケーションへの入社も選択肢として考えています。

 最近ですが、私は来年4月から当社で働くことが決まりました。インターンを通して子どもたちにこういうものを提供したいといった自分の中でのやりたいことが明確になってきましたので、当社でそれを実現させていきたいです。

企業と学生が共に成長できる「共成長型インターンシップ」を世の中に提案し、就職・採用環境をより良いものにしていく学情の新サービス

株式会社学情
グローバルメディア事業部
マネージャー 山中 健介

●日本のキャリア教育を次のレベルに

2015年5月にグランドオープンした新しいコンセプトのインターン募集サイト「あさがくナビ インターン・ジョブズ」は、お互いが化かし合う「お見合い型就活」から、お互いが良く知り合ってから就職をする「恋愛型就活」を実現する、グローバルスタンダードな仕事マッチングサービスです。オープン直後から国内に留まらず海外の企業や公的機関にご掲載頂くなど、世間から大きな注目を集めています。これまで日本で行われてきた「就活直前のインターンシップ」の多くは、形式的・短期的のものであり、本来の役割である学生のキャリア形成に寄与していないのが現状です。また、企業にとっても学生を受け入れるメリットが明確でなく、新卒採用活動のPRの一環として実施する企業がほとんどです。そこで当社では、「実務に入り込んだ実践的なインターンシップ(就業体験)」の募集の場である「あさがくナビインターン・ジョブズ」を通して、日本のキャリア教育を次のレベルにステップアップさせるお手伝いをしたいと考えています。学生は「就業意識を高め成長」し、企業は「事業発展の実戦力として成長意欲の高い学生を活用」するグローバルスタンダードなインターンシップや採用手法を世の中に広めていくことが、このサービスの目指すところです。

●今後のサービス展開

現在は国内の学生と企業を中心にマッチングを行っていますが、将来的には、海外人材が日本でインターンシップや就職活動をする際にご利用いただける様なサービス提供を計画しております。また、国内の学生が海外での就業を目指す際のサポートやインターンシップ先の紹介サービスなども同時進行で準備を進めています。“日本の就活を世界標準へ変える”、“世界の企業や組織と求職者の架け橋となる”をコンセプトにグローバルにサービスを展開して参ります。ご期待ください。

地方自治体における雇用創出に向けた取り組み

~夢ある埼玉・就活プロジェクト~

2012年末の第2次安倍内閣発足以降、様々な経済政策が実施され、日経平均株価は右肩上がりで上昇し今年4月には20,000円台を回復した。経済環境の好転とともに各社の採用意欲も高まりを見せ、学生優位の就職戦線に拍車がかかった状況にある。この売り手市場感は、学生にとっては大手企業を目指しやすい環境であるが、その反面、中小企業の採用活動は苦戦を強いられる。特に2016年卒採用においては採用スケジュール変更に伴い、中小企業が大手企業に先んじて選考を実施するという逆転現象が起こった。これが内々定辞退の多発を生み、中小企業を厳しい環境に追いやっている。そのような中小企業であるが、日本各所で地域経済や雇用の下支えをしており、地域活性化には欠かせない存在である。今号では第二特集として、地元の中小企業と学生とのマッチングを図るべく奔走している地方自治体の中から、埼玉県で行われている「夢ある埼玉・就活プロジェクト」について取り上げる。学生と中小企業のマッチングは新卒採用における大きな課題であるが、埼玉県ではどのように成し遂げようとしているのか、その取り組みを追う。

地方自治体の取り組み/夢ある埼玉・就活プロジェクト

埼玉県には独自の技術を活かして世界で活躍する中小企業などが数多くあるものの、学生の認知度が高いとは言えず、人材確保に苦戦している。そこで県内中小企業の魅力を存分にアピールできるよう、学生と企業が“直接会う”ことに主眼を置き、県内の経済団体や大学等と連携しながら様々な形式のイベントが展開されている。これが埼玉県で実施されている就業支援事業「夢ある埼玉・就活プロジェクト」である。5月に行われた大型合同企業説明会(就活スタートアップイベント)を皮切りに、9月~12月まで毎月開催される合同企業面接会、県内企業数社による小規模な合同説明会、企業研究や就職支援のための各種セミナー、県内企業をグループで直接訪問し職場見学や社員交流ができるバスツアーなど、総イベント数は20以上に及ぶ。

5月26日に大宮ソニックシティで開催された大型合同企業説明会には100社以上の企業がブースを構え、1000名を超える学生等の来場者に対して熱を帯びた説明がなされた。イベント内では県内企業が魅力PRのためにプレゼンテーションを順繰りに行う「企業LIVE」や、若手社員との交流会「若手社員と話すホントのところ」など、学生が知りたい情報を得られるコンテンツも同時開催され、「地元にこんな魅力的な企業があるなんて知らなかった」といった声が多く寄せられた。本イベントは大盛況のうちに幕を閉じた。

▲会場の様子

▲企業LIVE

▲若手社員と話すホントのところ

参加者の声

自分に合った企業が分からないまま就職活動をしていたのですが、1日でさまざまな業界の会社説明を直接聞く事ができたので、視野が広がり新しい可能性を見つけることができました。

100社を超える埼玉県内企業の魅力や、地元就職のメリットなど、普段の合同企業説明会ではあまり聞けないリアルな情報を知ることができて、プラスになりました。

埼玉県担当者へインタビュー/『夢ある埼玉・就活プロジェクト』について

 

 

埼玉県 産業労働部
就業支援課 若年者支援担当

主任 的場 啓祐

プロジェクト実施目的や狙いについて

埼玉県内の企業は99%が中小企業ですが、県の調査では約6割の中小企業が人手不足と回答しています。埼玉県は都心部へのアクセスが良く学生の目が都内の大手企業に向きやすいため、県内企業が学生に自社の魅力を伝えづらい環境と言えます。一方で地元就職を希望する学生からは「県内にどういった中小企業があるのかよく分からない」という声がありました。分からないから県内企業に目を向けず、結果として自分たちが良く知る大手企業に目が向いているという状況でもあります。そこで、学生に県内企業に目を向けてもらい、県内企業と学生とのマッチングを促進することを目的に、プロジェクトを実施しています。

このプロジェクトの特徴は、単に面接会を実施するのではではなく、⑴中小企業の魅力に気づく→⑵現場を知る→⑶面接に進む、という一連の流れを想定した上で様々な就活イベントを実施していることです。2016年卒学生の就活スケジュールに合わせ、学生の企業探しが本格化する5月に大型合同企業説明会を実施、その後より詳しく企業の現場を知るための企業訪問バスツアー等を、そして大手企業の選考が落ち着くであろう9月からは合同面接会を連続して開催していきます。学生が様々な角度から中小企業を知り、内定率を高めることを狙いとしています。

学生が参加したくなるイベントへと改善を重ねる

当プロジェクトでは数多くの就職イベントを実施しますが、学生が参加したいと思えるものにすべく改善を重ねました。イベントの運営方法については、学生から提案してもらう機会を設けました。例えばイベント内では参加企業が壇上で自社のPRを行う「企業LIVE」というコーナーがあります。昨年度は1社10分のPRタイムを設けましたが、「もっと短時間で効率的に企業の話が聞きたい」という学生からの要望に応え、1社2分に変更しました。また、口頭では説明しきれない現場の雰囲気をより感じてもらえるよう、県内企業の魅力をまとめた1社5分程度のプロモーション映像を作成してイベント内で放映するといったことも行っています。さらに、イベント周知のためにLINE等のSNSの活用を強化するなど周知方法も改善しました。一方大学には、県職員が足を運び、イベント内容をしっかり説明することで、学生への周知に協力いただいています。そもそもイベントの開催を知らないと来場いただくことはできませんので、大学の協力には大変感謝しています。これらの取り組みの結果、5月に開催した合同企業説明会はこれまでで最多の来場者数となりました。

当プロジェクトは12月まで続きます。これからでも参加可能ですので、就職指導ご担当者様におかれましては埼玉県内での就職を希望する学生へご案内いただけますと幸いです。

 

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