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学情レポート【COMPASS】2013.11

企業・大学アンケート結果に見る、
 2014年卒採用状況と2015年卒以降の展望

 大阪・名古屋・東京の3都市で開催された弊社主催「就職講演会・名刺交換会」には、多くの企業採用担当者ならびに大学就職指導担当者が来場した。各地区の来場者を対象に、採用活動状況や就職指導状況に関するアンケート調査を実施。今号ではその調査結果を元に、2014年卒採用の状況と2015年卒以降の展望についてレポートする。
※以下レポート内のグラフのうち従業員数で比較している箇所について、調査サ
ンプル数の中間値や経済産業省中小企業庁『中小企業者の定義』(例:製造業その他においては、従業員数300人以下の会社および個人を中小企業者とみなす、など)を考慮し、①1~299人、②300人以上で分類している。また文中では便宜上①を中小企業、②を大手企業と表現する。

 

【調査概要】

調査対象:
全国の企業採用担当者942名、及び大学就職指導担当者289名

調査方法:
就職講演会・名刺交換会来場者へのアンケート配布・回収

調査期間:
大 阪/2013年8月26日 ハービスOSAKA
名古屋/2013年8月28日 ウインクあいち
東 京/2013年8月29日 経団連会館

1,企業アンケート結果

2014年卒採用を振り返って(2013年卒採用との比較)

前年度と比べ大手企業優位の採用活動に

採用広報スタート12月1日となり、2シーズン目の2014年卒採用。アンケート結果を見ると前年度と比べ苦戦を強いられた企業が増えた印象だ。特に中小企業にその傾向が見られる。

母集団形成については全体で見ると「前年を下回った」(30.4%)が「前年を上回った」(26.5%)よりも3.9ポイント高く、特に中小企業においてはその差が9.7ポイントに及んでいる。一方、大手企業についても「前年を下回った」社数の方が多いもののその差は僅かである。好転の途にある経済環境が追い風となり、前年に高まりが見られた学生の「中堅・中小企業志向」が一転、「大手企業志向」へと戻りつつある。「現在の採用活動状況」については「継続中」が55.8%と過半数に達しているが、企業規模で比べるとその差に開きがある。「継続中」は中小企業が64.3%、大手企業が50.9%と13.4ポイント差だ。企業規模を問わず半数以上は採用活動継続中ではあるが、中小企業の方が採用終息へは時間が掛かりそうだ。また「選考中の辞退者数」「内々定辞退者数」はいずれも「前年を上回った」企業の方が「前年を下回った」企業よりも多く、前年度と比べ思うように活動を進められない状況であったようだ。


2015年卒採用の展望

採用意欲が一層高まりそうな2015年卒採用

一方、2015年卒採用についてであるが、「採用予定数」は前年度と比べ「並」の企業が63.1%と過半数を占めるものの、「増やす」(16. 7%)が「減らす」「採用凍結」(計3. 6%)を大きく上回り、採用意欲はさらに高まりそうだ。採用予算についても前年度比「101%以上」が「99%以下」を9.0ポイント上回り、より良い人材確保に向け、採用コストをかけることを厭わない企業が増加する模様だ。企業の業績改善の余波が採用局面にも及んでいると言える。

また12月広報スタート3シーズン目となる2015年卒採用では出足の早さがより顕著になりそうだ。「企業セミナー開始時期」を見ると、年々開始時期が早まっていることが分かる。「選考開始時期」も「変わらない」予定の企業が4分の3を占めるものの、22.9%は早める意向である。12月1日スタートになったことで選考までの期間が短縮化され、学生の企業・業界理解不足や志望度が高まらない状況が如実となる中、より優秀でより自社に合う学生を見つけ出し、内定へと結び付けたい企業の思いが早期の活動へと繋がっている。

インターンシップ実施状況について

手控える企業は多いものの、積極的な動きも見られるインターンシップ

安倍首相が経済界との意見交換会で「インターンシップへの支援を強化する」と表明するなど、注目される「インターンシップ」。その今年度における実施状況であるが、「実施する(した)」が半数近い45.5%に上るものの、「実施しない」(54.5%)企業が9.0ポイント上回っている。多くのマンパワーを要するインターンシップに対し、実施に踏み切れない企業も多いようだ。インターンシップ実施時期は、8月が43.8%で最も多く、次いで9月(26.0%)となり、夏休み期間中の実施が目立つ。注目すべきは10月、11月であり、インターンシップを実施している企業のうち10社に1社はこの時期にも実施している。後期授業が始まっているタイミングと考えれば少なくない数である。12月の採用スタート前に少しでも自社の魅力を知ってもらおうと、言わばオープンセミナーのような位置付けで行う企業もあるようだ。

また前年度と比べたインターンシップ実施状況を見ると、「増やした(増やす予定)」「今年度から新たに実施」(計25.5%)が「減らした(減らす予定)」「今年度から実施を取りやめた」(計2.9%)を大きく上回り、今年度はインターンシップを強化する動きが顕著であると言える。その影響もあってか「夏休み中のインターンシップ参加希望者を取り合う結果となり、受け入れ人数が予定を下回った」という企業も多く、夏休みに取りこぼした分を補うべく、10月、11月に追加実施する企業が増えたとも見られる。


2,大学アンケート結果

2014年卒および2015年卒学生の状況

「大卒採用に関する取り決め」に基づく採用スケジュールの変遷

景気回復がもたらす学生優位の状況と高まらない就職活動熱

2014年卒学生の内々定状況は、前年度と比べ「非常に良い~少し良い」が59.0%と過半数に達している。アベノミクス効果により回復基調にある経済環境が企業の採用意欲を高め、前年度にも増して順調に内々定獲得に至っている学生が多いようだ。そうした状況を踏まえ各大学での「学内合同企業セミナーの今後の実施予定」は、「今後実施する」が前年度よりも10.4ポイント低い43.0%、「実施しない」が5.5ポイント高い24.3%であり、未内定者支援として効果の高い学内合同企業セミナー実施を控える傾向にある。ただ「学内で企業セミナーを開いても学生の参加率が悪いため実施を見合わせることにした。企業からの応募は後を絶たないのに・・・」という声も聞かれ、未内定者の就職支援が順調にいかない課題もあるようだ。

また2015年卒学生の状況であるが、「前期就職ガイダンスの参加学生数」は前年度と比べ「減った」「少し減った」(計28.6%)が「増えた」「少し増えた」(計24.4%)を4.2ポイント上回った。前年同時期調査とは逆転した結果となり、動員に苦慮する大学が多かったようだ。9月下旬より実施されている後期の就職ガイダンスでも、学生の動員が昨年を下回っている大学が散見され、3年生の就職活動熱がなかなか高まらない状況が続いている。


2016年卒学生の就職活動後ろ倒しに対する大学の声

2016年卒生の就職活動後ろ倒しへの期待と課題

2013年9月13日、政府の要請に基づき日本経済団体連合会は2016年卒採用について、広報活動開始を「卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降」、選考活動開始を「卒業・修了年度の8月1日以降」と明記した「採用選考に関する指針」を発表した。要請自体は今年4月から出されているが、この就職活動後ろ倒しに対する大学の就職指導担当者の意見を調査したところ、「賛同」「どちらかと言えば賛同」が計27.7%である一方、「賛同できない」「どちらかと言えば賛同できない」が計31.5%と「賛同できない」が多数派となった。なお6月に企業採用担当者にも同調査をしており、「賛同できない」が「賛同」を大幅に上回ったことに比べればその差は僅かであり、肯定的な声も多い。「後ろ倒し初年度は混乱も生じるだろうが徐々に学生にとって良い環境になるだろう」といった声も寄せられている。ただ、賛同派からも「教育現場の改善やキャリア教育の充実が図られなければ早期化是正の意味がない」という“大学側としての努力が必須”という意見が出ている。2016年卒学生の就職活動が本格化する前に、学生の向学心やキャリア探求への意欲を高める施策を講じる必要がありそうだ。

総論

2012年10月、日経平均株価は8,000円台で推移していたが、1年後の2013年10月には14,000円台と日本経済は明るさが見え始めている。ただその状況を就職や採用現場に当てはめたときに、見えてくるものは採用意欲の向上とそれに伴う早期化、学生の就職意識の減退という構図だ。企業側は採用意欲が高まることで、他社よりも早く優秀な学生との接触機会を設け、囲い込む動きが出てくる一方、学生側は焦りが生じず就職に向けた意欲が高まらないというバランスを欠いた状況に至っている。

2016年卒学生からは就職活動スタートまでに余裕のある時間が生じる。学業はもちろんのことだが、この時間にどのような取り組みができるか、そして学校関係者、企業、就職支援会社など学生を取り囲むものがどのような環境を用意できるかが、学生・企業双方にとって納得のいく就職・採用に至る上で重要となるだろう。


※レポート内の各項目は小数点第一位を有効桁数として表記しているため、択一式の回答の合計が100.0%にならない場合があります。

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